エピローグ ずっと続く青空の下で
はい。カウントダウンとかいろいろしてましたけど…今回で本当の終わりです‼︎今まで本当にありがとうございました‼︎
早いことに、あれから…あのラスト・ラグナロクから、それと、ラグナロードとの最後の戦いから、もう五年が経ったみたい。
…ん?私は誰かって?私は日向みのり。私はあの日、聖因子を全部使い切って消えちゃった。だけど、消えた後も砂時計を通して、外の世界の情報を見たり聞いたりすることは出来るみたい。何かを食べたり触ったりとかは、流石に出来ないんだけど。
今は、金城さんの砂時計は愛さんが、木村さんの砂時計は影山さんが、千春君の砂時計は雫ちゃんが持ってるみたい。そして私の砂時計は、アースが。
何かは分からないけど、アースが言うには、大事な実験があるみたい。で、それをするには私の砂時計じゃなきゃダメだったらしい。まぁ私としても、アースを通していろんなものを見たり聞いたり出来るし、それはそれで楽しいから特に不満は無いんだけど。
でも、その実験っていうのの詳細が未だによく分からないのが怖いんだよね。目的も聞かされずに砂時計をいろいろ弄られたりするのも、やっぱり不安だし。
「準備、出来ましたよ。」
雫ちゃんの声が聞こえる。ちゃんと周りのみんなを信じている。みんなが信じてくれてる自分を信じてる。そんな明るい声。
「愛さーん‼︎こっちも大丈夫そげだよー。」
火野さんの声が聞こえる。初めて会った日から変わらない。みんなへの思いやりを感じる。でも、今はそれだけじゃない。みんなを幸せにすることで、ちゃんと自分の道も探してる。そんな前向きな声。
「じゃあ、始めるわよ。」
「ちょっと〜月美ちゃ〜ん?それ私のセリフなんだけど〜。」
影山さんに愛さん。二人とはもうちょっと早く会えたら良かったな。もっと、いろんなことを話したかったな…
で、みんなは今何やってんだろ。正直な話、なんか嫌な予感しかしないんだけど。なんかゴテゴテした良く分からない機械の四隅に、それぞれ一つずつの椅子があって、真ん中には緑色の砂時計。どこかオカルトチックな光景…うん。やっぱ嫌な予感しかしない。何?悪魔召喚の儀式か何か?
「じゃあ愛さん‼︎スイッチをどーぞ‼︎」
火野さんがノリノリで言ってるけど…大丈夫なのかなぁ?あーあ、愛さんも押しちゃったよ…え?何これ、みんなの椅子の一部が光ってる‼︎光ってるのは…砂時計⁉︎真ん中の緑色の砂時計も光ってるし、これ本当に大丈夫なの⁉︎
…ん?この感覚…時間が止まった?すごい‼︎アースに頼らずに時間を止める機械なんだね⁉︎流石愛さん‼︎疑っちゃってごめんなさい…
「あり?愛さ〜ん。時間止まったっぽいけど、ドユコト?」
「うーん、完全に計算外だね〜。どーうしよっかなぁ…」
…え?ふぇぇ⁉︎時間を止めたのはこの機械じゃないってこと⁉︎それじゃあ、これは何の為の機械なの⁉︎あ、視点が動いた‼︎アースが動いたみたい‼︎
「久しぶりね、アース。まさか、私達の実験を邪魔しに来たの?日向さんの砂時計を使った実験をしたいだとか言っておきながら、随分と暇そうじゃない。」
うわぁ、こうやって睨まれる側になると、やっぱり影山さんって怖いなぁ…
それにしても、いつもよりなんか怒ってるような…これって、影山さんにとってそんなに大事なことだったのかな?
「ほう。君達もいろいろと試行錯誤しているようだな。だが、私はそれを邪魔する気はない。」
「じゃあさ〜、何で時間を止めたの〜?」
あ、今気付いた。愛さんも動いてる。私が知らない間に、疑似聖因子でも精神体を作れるようになったんだ…ってそんな場合じゃない‼︎
「説明しようと思ったが…その必要も無いようだな。見るといい。ちょうど、元凶様がお出まししたところだ。」
アースが指差してる方を見ると…見たことが無いトカゲ型のデビル。なんか鱗が鎧みたいになってて強そうだなぁ…じゃなくて‼︎
「…デビルは、当分は来ないって言ってませんでしたか?」
うわぁ、雫ちゃんの目が冷たい…いや、私がこんな目で見られてるって訳じゃ無いけど…年下の娘にこんな目で見られると、なんか、こう、胸にくるよね。うん。
「あれは、私にとっても想定外だ。」
うん。アース。それって絶対胸張って言うことじゃ無いよね。
「全く、どうするのよ‼︎今の実験で、私達の聖因子も残りわずかよ‼︎」
…ねぇ、みんな。本当に、何の実験してたの?
「うっわぁ…かなり厳しい状況になってるね。」
そう思ってる私の後ろから、一回だけ聞いたことがある声。振り返ると、そこには一人の女の娘がいて。
その娘を見て思い出したのは、ずっと前に影山さんと話したときのこと。
『ねぇ、影山さん。影山さんと一緒に戦ってた木村さんって、どんな娘だったの?』
『そうね…簡単に言うと、変態かしら。』
『…え?』
『あの娘と出会った日。私は彼女から、交際を申し込まれたわ。』
『…え…え?』
『しかも彼女は本気だった。だからこそ、彼女は私の為に…』
『そう、なんだ…』
『でも、不思議なものね。最初こそ嫌悪していたけれど…今では、あと一回でも会いたいと思ってるわ。』
『この影山さんの作戦が上手くいったら、一回だけだけど、また会えるんだよね。』
『そうね。今までは、聖因子を使い過ぎたらいけないと言い訳して、舞の砂時計にムーン・リコレクションを使うことから逃げてきたけど…向き合おうと思う。もう一度、あの娘と。』
それからラグナロードとの最後の戦いで、影山さんの『ムーン・リコレクション』の力で記憶の結晶として私達を助けてくれた木村さん。そんな木村さんが、何故か今ここにいる。
…ん?木村さんの精神体の足元にあるのって…成長した木村さんの本体⁉︎まさか…
「お⁉︎愛さん‼︎これってさぁ‼︎これってさぁ‼︎」
「うん…実験、大成功だねぇ〜‼︎」
聖因子を使って木村さんを生き返らせる実験だったの⁉︎ってことは…
「うん。どうやら、聖因子が満タンの状態で復活出来たみたいだね。そういう訳だからさ…月美ちゃん。ここは僕に任せておくれ。」
「格好つけてんじゃ無いわよ…でも、ここは頼めるかしら?」
「うん‼︎頼まれたよ‼︎」
そう言う二人は、どこか申し訳なさげに笑ってて。それに気付いて、ちょっと照れ臭そうに苦笑いして。その苦笑いをギュッと抑えて、木村さんはデビルの方に向かった。
私も、また元に戻れるの?いつか、私もみんなと会えるかな?みんなと話せるかな?
いつの間にか木村さんの戦いが始まってた。見渡す限り続く、雲一つ無い青空。その下で、一人で強そうなデビルと戦う木村さんの姿を見てたら…うん‼︎きっとまた会える気がする‼︎
ちなみに、「じかんよとまれ‼︎」の方で言っていたタイトル云々について。
プロローグ 赤い空の下で→A
第1話 ブレない少女達→B
第2話 changed world→C
↓
エピローグ(第二十六部分目) ずっと続く青空の下で→Z
といった具合に、A〜Zを順に並べたものになっていました。分かる人にはこのエピローグがあるというオチもばれたかもしれませんね。
何はともあれ、本当の最後を見届けていただき、ありがとうございました‼︎また縁があれば次回作でお会いしましょう‼︎