白の魔女ミラルダ①
私は白の魔女、ミラルダ。
凍てついた氷原に、たった一人で住んでいる。
「今日も頑張って、働こう!」
私は寒さを感じない。だって魔女だし。
薬の材料である雪月花を探しに出なきゃ。
先が明るくなる杖を持ち、いざ出発。
さくさく。さくさくさく。
足跡を残して、私はどんどん進む。
ぽわっと明るい杖の先が、ちかちかと点滅する。
これは、生き物が近くにいる時の反応だ。
「誰かいるの!?」
慌てて、杖が示すところへと急ぐ。
そこには、こんもりと雪が積もっていた。
「あわわわわ……この中だ!」
ぱっと杖を振るうと、積もった雪が吹き飛んだ。
雪の中には、黒髪の少年がいた。
10歳くらい? なんか、身なりがいい。
「……ううう……姉様……」
「まだ、生きてる……よかった。でも、早く連れて帰らなきゃ!」
杖をもう一度振るい、私の命を少年に分け与える。
魔女は人助けをしないといけない――それが絶対の掟だ。
永遠を生きるため、人間と争わないための知恵なのだ。
少年の顔色に生気が戻る。
これで、命の危険はもうないだろう。
わたしはほいさ、と黒髪の少年を抱える。
少年が、息を吐きながら私にしがみついてきた。
「……もう大丈夫だよ」
元気になったら、ふもとの村へと連れていこう。
でも――それまでは、お世話しなくちゃ。
私は急いで、自宅へと帰るのだった。
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