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第二回邪神会議

少し短くてすいません。

 

『『『きたきたきたー!』』』


 邪神界の円卓の間にいる邪神達は雄叫びを上げた。


 たったいま邪神界に負のエネルギーが届いたからである。


 ダンジョンから届いた負のエネルギーは邪神界に届くなり、邪神達に吸い寄せられるかのように吸収された。


『おい、負のエネルギーが来たぞおい!』


『ダンジョン内で冒険者に嫌がらせをして集めたようだな』


『俺も見ていたけれど面白酷い事をやっているようだ』


 基本的に邪神界から出る事ができない邪神達は、世界の状態を眺めつつも幸助の様子を面白半分に眺めていた。


 ダンジョンマスターとして君臨し、日夜嫌がらせを行う幸助は邪神達の間で大人気となっていた。


『確か名前黒井幸助だろ? 幸せを助けると書いて幸助』


 邪神の一人が空中に指を躍らせて「幸」「助」と書く。


『『名前をつけた親が可哀想だ』』


『親泣かせな子供じゃねえか』


『真反対の方向へと突き進んでいるよな』


 邪神達はひとしきり笑うと、リーダー格の男がパンパンと手を叩く。


『さて、幸助のお陰で私達は負のエネルギーを手に入れる事ができた。それはつまり――』


『『『つまり!?』』』


 邪神達はもちろん理解している。それがどういう事なのか。それがわかっていながらの唱和。リーダー格の言葉を今か今かと待ちながら獣のような黒い笑みを浮かべている。


『女神共に一泡吹かせてやって世界を面白おかしくする事ができる!』


『『『いえええええええええええい!』』』


 リーダー格の邪神もこの時は大いに叫んだ。


 いつも落ち着いているリーダー格が叫ぶほど、女神達に対する鬱憤が溜まっているのである。


『問題はこの届いた負のエネルギーをどうするかだ』


 落ち着いたリーダー格の邪神が席について咳払いをする。落ち着いた切れ者のような雰囲気をだしてはいたが、心の奥底にある黒い邪悪な心を抑える事ができなかったようだ。


『魔王に力を渡して強化してやろうぜ!』


『いや、魔物だろ。数の力を強化するんだ!』


『ここは新たな魔王を誕生させてみてはどうだろうか?』


『いや、それはリスクが大きいぞ。弱いうちに勇者にでも狩られてみろ。大損だ。幸助はダンジョンに籠って大人しくしているから大丈夫っぽいけどな』


『今、我々がもっとも欲しているのは何だ?』


『『『女神共の屈辱にまみれた表情!』』』


『そう! その為には我々の力がいる! 信仰を増やすのだ! その為には現在すでに何かしら力のある魔王に力を与えるのが最も良い!』


 邪神達の熱き言葉を聞いて、リーダー各が拳を握りしめる。


『となると魔王だな! 今一番強い魔王に負のエネルギーを与えてやるか?』


 邪神の一人の提案にリーダー格は首を横に振る。


『魔王アルキメデスは大きな力を持ち、勇者を何人も返り討ちにしてきた力のある魔王だ。そんな奴に新たな力を渡しても大して信仰はされまい』


『という事は、中堅どころの魔王……その中でも勇者とギリギリの戦いをしている、もしくは勇者達に責められて殺られそうになっている魔王に力を与えるんだな!』


『その通りだ。自らの命の危機に囁く我等の声』


『『『力が欲しいか? 汝が望むのならば力を与えよう。我が望は世界の混沌。存分に力を示せ!』』』


 邪神達の中で最も有名な台詞だ。かつて邪神達が猛威を振るった時期は世界中の魔物や魔族に語りかけ、ところかまわず力を与えたのだ。


『なるほど。命を助けてもらえれば信仰するし、中堅どころの魔王も上位陣へと組み込み、戦力アップだもんな』


『いい演出だな。魔王だってちょっとくらい覚醒してもいいだろう!』


『それで、今絶賛ピンチ状態の魔王とかはいるか? 勇者と一騎打ちしているとか、勇者と騎士に包囲されているとか』


『『いるぞ!』』


『人間の大陸の比較的近い場所にある魔王城が囲まれているぞ!』


『魔法が得意なタイプの魔王だな。確か魔王エルザガンだったか?』


『よし、こいつに七割くらい負のエネルギーを与えるか』


『『『三割は?』』』


『田舎の村の近くの魔物にでも与えて村を襲わせれば勇者も散らばって忙しくなるんじゃないか? 田舎には冒険者も騎士もいないしな。上手くいけば国力も落とせる。時間が稼げれば魔王が軍に邪神信仰を煽ってくれるし、幸助から次のエネルギーが届くさ』


『お前えげつない事しやがるな』


『悪いな』


『ああ、邪悪な発想だ』


『よせって照れるだろ』


 もちろん、これらの『悪い』『邪悪』は邪神にとっての最高褒め言葉。リーダー格も思わず照れる。


 それからリーダー格は生真面目な表情をして、マントを振り払い、厳かな声を出す。


『それじゃあ、七割は魔王エルザガンに与えて、三割は田舎にいる魔物達へと与えることにする!』


『『『賛成!』』』


 邪神達の意見が一つのまとまった事により、世界は大きく変わる。



次は魔王エルザガンの一人称視点の話にしようかと。


その次は幸助に戻ります。次の幸助パートも結構楽しいことになる予定です。


転生して田舎でスローライフをおくりたいと同時更新です!

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