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負のエネルギー奉納

今回は調整次回の為に少なめです。

 

 あれから冒険者達は目を覚ますと、お互いの顔を見て驚いた後、互いを指さして笑い合った。


 そこまでは和やかだったのだが、冒険者達は自分自身にも落書きがされているとわかると怒り狂って暴れ出した。


 特にエルフが。


 他人が被害を被っているのを喜んで笑っていた癖に、自分も被害を受けていると怒るとは人間らしい事だ。


 エルフなんて、俺が紙に「これでちょっとマシな顔つきになったんじゃない?」と書いて転送してあげたら、きゃんきゃんと喚いていたぞ。


 余りにも金切り声がうるさかったので音量調整をしたほどの煩さだ。


 ディルクと騎士はひたすらに顔の落書きを落とそうとしていたが、擦っても水で洗っても中々落ちない事に気付くと項垂れた。


 それからエルフは、ひとしきり暴れると疲れたのか保護者である騎士に連れられてダンジョンを去っていった。ディルクも亡者のような足取りでそれに続いて。


 彼らは下腹部や胸部に書かれた落書きには気付いていないよう。


 顔にしろ下腹部等にしろ、あの冒険者達はまだまだ恥をかくはめになりそうだ。


 街に帰ったらすれ違う人に指をさされ、哄笑されることであろうな。


 汚れを落とそうと大衆浴場に入ろうものなら最悪だな。


 大衆の面前でダガーやら、ボーンククリやら、まな板といった落書きをさらしてしまった時は大爆笑されるであろうか。


 きっとあいつらは未来永劫そのネタでいじられ続けるに違いない。


 そんな時がきたら是非とも「今どんな気持ち?」と聞いてみたいものである。


 殴られるし顔がバレるので会いに行く事はないが。


 いやー、今回の仕事は実にやりがいのあるものだった。やはり相手の反応がいいと仕掛けるこっちも気分がいい。


 特にエルフさん。たくさんの負のエネルギーの回収にご協力いただきありがとうございます。


 お陰で負のエネルギーのゲージがマックスになりました。


 現在、俺の目の前にある水晶は紫色の光に包まれている。


 息をするように明滅を繰り返して、負のエネルギーが満タンになった事を俺に伝えてくれている。


 水晶にタッチしてみると、マックスになったゲージが表示されており、その横には、


『負のエネルギーが一定値を満たしました。邪神界に転送しますか?』


 と表示されている。


 ゲージが満タンになった以上、これ以上負のエネルギーを集めることはできないであろう。邪神達と約束もした事だったし、俺は素直に転送をタッチ。


 すると、ゲージが勢いよく減っていき空になっていく。そして、


『転送が完了しました』


 と表示された。


 これで負のエネルギーとやらがあの邪神界に送られたのであろうか?


 そこから邪神達が魔王や魔族達、魔物へと負のエネルギーを与えて強化するのであろう。


 あの邪神達のことだからノリノリで力が欲しいか? とか魔王達に囁いて負のエネルギーを与えていそうだ。負のエネルギーがどれだけ魔の者を強化するのかはしらないけど、そうすれば信仰心を得られること間違いないだろうしな。


 俺にも何かしら恩恵があるのだろうか? まあ、あまり期待はせずにしておこう。



 さて、ゲージも空になったことだし、また負のエネルギーを集めもとい、冒険者達に嫌がらせをする日常だ。


 今日は罠を多く設置したり、魔物を召喚したりで魔力の消費が著しかった。魔力を動力とするダンジョンの罠は、一度発動するとまた再生する仕組みだ。


 その時に貯蔵していた魔力が使われることになる。また罠を設置するのにも、移動させるのにも同じくかかる。


 それらのせいで今日の俺の魔力はすっからかん。ほとんど残っていない。


 今日は微調整をするだけで休憩とするか。たまにはゆっくりベこ太と過ごすのも悪くはない。


 そう思った時、奥の部屋からピーピーという機械音が聞こえてきた。


 ああ、そういえばエルフのパンツを洗濯していたんだっけな。


 奥の部屋にある洗濯機を開けて、ぽつんと置いてある布一枚を掴んで広げてみる。


 するとさっきまでの泥の汚れが嘘のように綺麗さっぱりと落ちていた。


 真っ白に輝くパンツを眺めてみると、レイシアという文字もちゃんと残っていた。


 ふう、この文字まで落ちていたら意味がないしな。


 まあ、落ちちゃったら落ちちゃったで、俺がマジックペンで書いてから奉るんだけれどな。


 さーて、このパンツを一階層の大広間に奉ってやるか! 


 俺はレイシアと書かれた純白のパンツを人差し指で引っ掛けて、ブンブンと振り回しながらいつもの席へと歩いた。




次回は奴等が……。

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