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エピローグ 魔王アルキメデス

邪神の異世界の書籍第一巻は6月22日発売!

来週の金曜日です!

 

 魔族大陸の西部にある大都市、魔国オルトロス。


 数多の魔族が住まう都市であり、最古の魔王アルキメデスが統治している場所。


 中心部には他の建物よりも威容を誇る魔王城がそびえ立っており、そこが魔王アルキメデスの住んでいる場所である。


 そんな魔王城の玉座には、金色の髪に青い瞳をした少年が座っていた。


 歳の頃は十代前半。そのあどけなくも整った顔立ちを見れば、品のいい人間族の子供かと思ってしまいそうだが、額から生えている角と背中から伸びている悪魔のような翼を見れば一発で魔族だとわかる。


「……つまらないね」


 退屈そうに肘を立てて座っていた少年が、吐き捨てるように言いながら立ち上がる。


 少年が立ち上がると、傍に控えていた黒髪の女魔族が声をかける。


「アルキメデス様、どこへ行かれるのですか?」


 そう、女魔族がその名を呼んだのは少年に対して。この幼い少年こそがこの魔王城の持ち主であり、長きに渡って君臨し続けている魔王アルキメデスである。


「いい加減人間達とチマチマ戦争するのも飽きたんだ」


「恐れながら、今の状況では一気に攻勢を畳みかけるのは愚策かと……」


「そんなことはわかってるよ。いくらエルザガンが頑張ってくれていようと、兵士が整っていなければ意味がないしね」


 魔王エルザガンによるアレクシア法国への侵攻。


 結果的にはエルザガンが一人で勇者を撃退したが、実力のある魔族の幹部や多くの魔族の兵士が勇者や騎士によって屠られてしまった。


 勇者はまだ死亡していないし、撃退した者以外にも勇者や実力者は多くいる。いくらエルザガンの調子が良くとも、すぐに攻め込むことはできない状況だ。


 とはいえ、打って出ることができないのはアレクシア法国も同じこと。エルザガンによって勇者は怪我を負い、各村では魔物が活性化してるという。


 結果的に魔族と人間は睨み合い、互いに力を貯める膠着状態に陥っているのだ。


「でも、だからってこのまま指をくわえて待っているつもりもないよ」


「……何かお考えが?」


「今はエルザガンが頑張ってくれているしね。人間達の意識はそっちに向かっている。その隙に僕は外で戦力を集めることにするよ」


「戦力? 我々に非協力的な魔族や魔物ですか?」


 アルキメデスの言葉に女魔族は首をかしげる。


 アルキメデスといえど、全ての魔族を掌握しきっているわけでもない。


 魔族の中には当然戦争を嫌がる者もおり、オルトロスから遠く離れた田舎で暮らしている者もいる。


「いや、そんな意思も弱いどっちつかずの連中じゃないさ。もっと使える連中さ。わからない?」


 アルキメデスから無邪気に問いかけられて、女魔族はしばらく考え込む。


 彼女は数秒、戦力となりえるものを考えていたが答えは出なかった。


「……申し訳ありません、私には思いつきません。どのような者か教えて頂けますか?」


 女魔族が素直にそう言うと、アルキメデスは悪巧みを披露するような少年の顔で言う。


「あらゆる場所にダンジョンという砦……いや、小さな国を持っているダンジョンマスターさ!」


「なるほど。魔力さえあれば、あらゆる魔物を召喚することができ、攻め込まれればその堅牢な要塞で敵を迎え撃つ。人間達を遊撃するのにピッタリですね」


「そういうこと! 僕はそれらを支配下において、人間の国に大打撃を与えようと思うんだ! いい加減チマチマと戦争をするのも飽きたしね。そういうことだからちょっとダンジョンマスターを支配下にしてくるよ」


 そういって翼を広げるアルキメデス。


 黒い蝙蝠のような羽が一気に広がり自分の身長よりも大きなものになる。


「お待ちください。誰か供回りの者を!」


「いらないよ。僕は魔王アルキメデスだよ? 足手まといはごめんだね」


 女魔族の言葉を切り捨てるように魔王アルキメデスは謁見室から飛び出し、遥か上空へと消えて行った。




これにて3章は終わりです。


すぐに4章に移ろうかと思います。

次の章ではドM冒険者、ビアージュが登場したり、魔王アルキメデスもやってきます。かつてない危機? に幸助たちはどうするのでしょうか。



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