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第一回邪神会議

書籍化決定!

HJノベルス様より6月22日発売! Amazonでも予約開始されてますので、よろしくお願いします。

 

『最近さあ、女神とか神とか異世界から勇者とか召喚しすぎじゃない?』


『『『それな!』』』


 一人の男の言葉に、三人の男の声が唱和される。その息の合いようは心からの同意を如実に表している。


『ズルいでしょっ! 勇者を呼んだり、異世界人を大量に召喚したり能力や伝説の武器を分け与えたり! もう魔族も魔物も大変だよ!』


『これじゃあ俺達の信仰心も薄れていく一方だよ!』


『……最近は負のオーラが少なすぎる』


『俺達だって神なんだぜ?』


『ちょっと邪だけど』


『ちょっと個性が強いだけだって』


『俺達そんなに悪じゃない』


『お前は悪人だよ』


『邪神だよ! ちょっとウザいから上司斬っただけじゃん!?』


『『『それで?』』』


『神界から追放されて邪神認定された』


『邪神だね』


『ああ、邪神だ』


『そう言うお前こそ、魔王に神殺しの剣を持たせただろう! あのクソ爺一刀両断されていたぜ』


『『『あれは面白かった』』』


 一人のリーダー格らしき男が咳払いをして、本題へと入る。


『まあ、そんな事今はいい。とにかく今の世界は不公平だ。この世界の人間を使うならともかく、異世界から呼び寄せて能力を与えるなんて女神達は介入しすぎだ』


『それも一人や二人じゃない。一時期は三十人とか召喚されたな』


『ゲームは公平だから面白いというのに』


『ちょっと魔王が強いからってやりすぎ』


『もう、魔族困惑。勇者ってば、追い詰めたら覚醒とかして理不尽な強さを手に入れるし』


『全くだ。意味が分からん。大体――』


 口々に不満を零す邪神たち。よほど溜まっているのかその声は止まることがない。


『皆の不満ももっともだ。勇者達のせいで世界からは負のエネルギーが減るばかり。我々の信仰者である人間や魔族も数を減らすばかりだ。こんなのはおかしい』


 リーダー格の邪神が熱弁をふるい、三柱の邪神もそれに同意の声を上げる。


『『『そうだそうだ!』』』


『ってな訳で今回は俺達も異世界から召喚してみないか?』


 ザワ


『できるのか?』


『魔力は有り余っているけど方法がわからん』


『全くだ』


 口々に疑問の声を上げるなか、リーダー格の邪神は高らかに一冊の書物を掲げた。


『じゃーん! 神界からパクッてきた! 異世界召喚のススメ』


『『『悪いなぁ』』』


『よせって照れる』


 邪神たちの間では「悪い」「卑怯」「外道」などは最高の褒め言葉とされている。リーダーが照れるのは当然である。


『と言う事は俺達でも召喚できるんだな?』


『ああ。軽く読んでみたが問題ない』


 邪だが神は神。神字を読むことは造作もないことだ。


『じゃあやるか! 俺達邪神も異世界召喚ってやつを!』


『『『賛成!』』』


『で、呼ぶ人数は?』


『一人だな。女神クソビッチのように大人数を召喚したくはない。一人の方が観察もしやすい』


『まあそうだな。世界を不安定にするのは良くないし』


女神クソビッチと同類はごめんだな』


『中途半端な力を複数人に与えるよりも、一人に強い力をつぎ込んだ方がいいしな』


『じゃあ一人で問題ないか?』


『『『問題なし』』』


『ところで召喚する奴の種族は?』


『おう、それだそれ』


『何にする?』


『そりゃあ勿論人間でしょ。あっちも人間なんだから』


『それもそうだな。何より人間は他の生き物よりも面白いからな』


 それから邪神たちは黒い笑みを浮かべ笑い合う。


 不気味な笑いが収まったところで、リーダー格の邪神が静かに告げる。


『……それでは、俺達邪神の異世界召喚をはじめる』


活動報告にて表紙が公開されてます。

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