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Storia di molti  作者:
序章
4/4

3



穴は花の咲き乱れる丘にあった。

花と草に囲まれた穴は昼間だというのに、奥が見えないほどに深い。

そんなに大きな穴ではないのだが、誤って堕ちてしまえば、戻ってくるのも骨が折れるのだろう。


私はどうにかして、奥をのぞき見ようと、少しずつ身を乗り出していく。


きらり。


太陽に反射してか、穴の奥でなにかが光った。

ゆっくりと手を伸ばしていく。

指先に触れる。

あと、少し。

胸の下まで乗り出した私は、穴の奥から吹いた風に驚いてあろうことか、手を滑らせてしまったのだ。



上半身の半分以上、穴に入っていた私は、ずるりと滑ったまま、まっさかさまに穴へ堕ちていった。


パニエで膨らんだスカートが風でバタバタと揺れる。

セミロングの髪はぶわりと上がり、体もうまく動かせなかった。



ずいぶんと穴を下っただろう。

しばらくそのまま落ちていると、少しずつスピードが落ちていき、ゆっくりとつま先から地面に降りることができた。



ぺたり。

地面に足をつけると、長く落下していたためか、うまく立つことが出来ず、そのまま腰をおろしてしまった。



そのままで辺りを見回す。

水色と黒の市松模様の床に、黄色の扉がひとつだけの、狭い部屋だった。



私は上をみあげてみたが、まっすぐに落ちてきたはずが、もう穴の出口は見えない。

上るための階段や、はしごも見当たらないので、他に出口を探すしかないようだ。



私は立ち上がると、黄色の扉へと近づき、ノブを回した。




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