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魔法大国の花嫁様!?  作者: ルナ
陰謀に巻き込まれる少女
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第十八話 ~攫われた少女~

 第五王子カインは、目覚めた時

一瞬最後の場面が思いだせなかった。

 頭に鈍痛が走り、ようやくはっきりと覚醒する。

自分の婚約者であり、愛した少女、アイザワミフユ

は誘拐された。彼女が友と信じた、エルダという

少女によって。カインは彼女の協力者に

頭を殴られ、気絶していたのだった。

「ミフユ……」

 立ち上がりかけて呻くと、足音が聞こえた。

カインは振り向いてその人物を睨むつける。

「誰だ!!」

 人物はためらいがちに彼を見つめた。

その人物は、エルダに雇われていたという

おかみさんだった。

「何の用? 僕を笑いに来たの?」

「手当てしに来たんだよ。

あの子を、エルダを悪く思わないでおくれ」

「悪く思えないはずがないだろ!!

 あいつはミフユを攫ったんだ!!

事情があったって許せるものじゃない!!」

 叫んだ後、カインは頭を押さえて呻いた。

バタバタといくつかの足音が響き、見知った

ものたちが現れた。

「フィレンカ!! ルー!! 皆!!」

 そこにいたのは、カインの実妹・フィレンカ、

美冬の親友であるルーとシーレーン、

そしてカインの幼馴染であるアクアだった。

「お兄様、助けに来たわ!! 早く帰りましょうよ」

 フィレンカは以前見た時よりも大人びて見えた。

ルーがその手を握っているのを目ざとく見つけたが、

あえてカインは黙っていた。

「お姉さまは?」

「あれ、ミーがいないじゃん」

 カインはためらうような様子を見せたが、

口を開いて事情を説明した。

「攫われた……」

『え?』

 全員の声が見事にかぶった。カインはため息をつき、

もう一度説明する。

「美冬は攫われたんだーー」

『ええええええええっ!!』

 再びはもった全員の悲鳴がその場に響き渡ったーー。


 その頃、美冬はエルダに連れられて彼女の

故郷に来ていた。エルダの力はかなり強く、

美冬には逃げることなどできない。

 それに、エルダの協力者の少年が片手を握っていた。

「エルダ、私をカインのもとへ帰して!!

 帰りたいの!!」

「駄目よ。大事な人柱を逃すものですか」

 エルダは彼女が世界を呪い、自分の運命を

呪った頃からずっと狙いをつけていた。

 自分の死を願っていた美冬。

だから構わないと思って召喚しようとしたのに、

先に魔法大国の王子が召喚してしまった。

 その後も彼女を狙って襲撃をかけたが、

魔法大国の人間にはかなわずに彼女を

連れていくことができなかった。

 そんな時に聞こえたのが、美冬と王子が

婚約旅行をするという話だった。

 だからエルダも出かけ、手ごろな孤児の

少年と中年の女を雇った。

 そして、エルダは巫女姫としての任務をはたした。

村のために、死んでもらう生贄、人柱を

連れて来たのだ。

「村長、人柱です」

「エルダ、お願い!! 私を帰して!!」

「うるさいな、黙っていてくれる?」

 闇の色をした光がエルダの手から放たれた。

美冬は直撃を受けて倒れ込む。

 彼女が気絶する寸前見たのは、彼女の

悲しげな顔だったーー。


 アクアが作ってくれた水枕を額に

あてながら、カインはエルダが雇ったという

女性の話を聞いていた。

 金で雇ったという話だったが、

エルダは何でも彼女に話していて、

彼女はまるで本当の娘のように感じていたという。

「あの子だって、本当は辛いんだよ。

ずっと一緒にいたんだ。情が芽生えないはずがないだろう」

「でも、エルダは美冬を攫ったーー」

「あの子は巫女姫なんだよ。責任も義務もある。

だからって、やっちゃいけないことだけどね」

 ルーたちは黙っていた。彼らはエルダの事を知らない。

だから何も言うことができなかった。

「ミフユ……お姉ちゃん……」

 ぽつりとシーレーンが呟いた。甘い香りのお菓子が

たくさん出されていたけれど、誰も手をつけることは

なかった。ただ悲しげにうつむくばかりだった。

「あなたは、知っているんですか?

 エルダの居場所を……」

「知っているよ」

 カイン以外の全員の顔が輝いた。アクアだけは、

その後で顔を赤らめてそっぽ向いたが。

「あの子は、そこで彼女を生贄にするつもりだよ。

早く行っておあげ!! 間に合わなくなるよ!!」

「あなたは、エルダの味方ではないんですか?」

 カインはあくまで冷静だった。女性はうつむく。

「味方だよ。このままミフユを生贄にしたら、

エルダは一生後悔する。あたしは、あんたたちより

エルダと一緒にいた時間が長いんだ。

そのくらい分かるよ」

 カインは黙った。シーレーン、アクア、フィレンカ、

ルーを見つめる。彼らはしっかりと頷いた。

「一緒に来てくれる?」

『もちろん!!』

 全ては彼女を助けるために。

全員は団結して彼女を救うために動き出したーー。

執筆が大幅に遅れてしまいすみません。

それと、カインが活躍と書いていたんですが、

あまり活躍できませんでした。

それは次回に見送ります。

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