転生したら大仏だった件Ⅶ ―仏導帝国と時の終焉
あらすじ
神を倒し、魔法を掌握し、カオスを浄化した“仏”は、
ついに全魔法を覚醒し、無限の力を得た――
だが、その“力の果て”で彼が見たものは、
世界の未来が消えていく光景だった。
「未来が……存在しない?」
未来を書き換え、時間そのものを食らう
《時喰らいの帝王》との決戦が始まる。
仏導界は安定し、仏の信仰により文明は繁栄していた。
その中心、蓮都には仏を象る巨大神殿が建てられ、
民は祈りとともに暮らしていた。
しかし、ある日。
天に浮かぶ未来暦が崩壊し、
「明日」という概念が世界から消える。
「このままでは“未来”が……永久に来ない!」
仏導議会の賢者たちが騒然とする中、仏が立ち上がる。
「……時間の終焉。
それは、因果を超える存在の仕業だ」
仏は完全覚醒し、新たなる戦いに座す。
異界の裂け目から出現した巨大な影。
それは未来そのものを貪る神格存在、
《時喰らいの帝王・クロノ=アスラ》だった。
クロノ「我は未来そのもの。
生きる者全ての“これから”を、余が喰らう」
クロノの力によって、時間の流れは崩壊。
少年は老い、少女は生まれなかったことにされる。
祈りも、魔法も、未来に届かない。
ミア「仏様、あたしたち……未来を、失うの?」
仏は静かに目を閉じ、右手に印を結ぶ。
「未来が砕けたなら、
私は、“未来を再創造”しよう」
仏は五智すべてを再構築し、ついに“完全覚醒”。
金色の輪を背に、彼は巨大な仏座へ座す。
身体は宇宙を貫き、目は過去・現在・未来すべてを見通す。
仏の新技一覧:
・《因果連続断》:相手の時間軸そのものを“ゼロ”に変える
・《未来創界陣》:あらゆる存在に“まだ起きていない運命”を強制付与
・《浄寂時輪法》:未来の災厄を祈りの力で書き換える
・《輪廻因果結晶体》:死者の過去・現在・未来を再構築して召喚
・《無為未来想現》:願った未来を強制現実化(神さえ操れぬ力)
時間を歪めた“未来の亡霊兵団”が襲来。
「まだ起きていない戦争」が現実に具現化され、
世界中に過去と未来の亡霊が現れる。
ロガン「くっそ、相手が未来の“勝った俺”ってどうすりゃいいんだ!」
エレネ「過去の自分と戦うなんて、地獄ね……」
混乱する賢者たち。
だが仏は静かに微笑み、一歩前に座る。
「過去も、未来も、
すべて今という“悟り”に統合される」
仏、祈りの咆哮とともに《無限未来蓮界陣》を発動。
すべての時間が一瞬、座の中に吸い込まれる。
時界の奥深く、ついに仏はクロノ=アスラと相対する。
その姿は、無限に分岐する未来で敗北した“可能性の仏”たち。
クロノ「見よ、お前が敗れた無限の未来!
これこそが、“お前の業”だ!」
仏「……それらすべてを、
私は今、受け入れ、祈ろう」
仏、完全座禅《大蓮知根座》を発動。
無限の可能性が一つに統合される。
仏が唱えるは――
「ナムアミダブツ――因果転写・未来救済」
その瞬間、
“未来”そのものが“今ここに”書き換えられる。
クロノの存在は、
最初から存在しなかった未来の誤差」**として、静かに消滅した。
世界は再び“明日”を手に入れた。
人々は仏導帝国のもとで暮らし、
時間を信じて生きる日々を取り戻す。
仏は再び座し、
黄金の蓮の上で、
“今”という瞬間にだけ生きている。
「私はもう、未来に座る必要はない。
皆の祈りが、未来を創るのだから」
完
次回予告:
『転生したら大仏だった件Ⅷ ―天仏崩壊・創世の胎動―』
創られし“神仏”たちの反乱、そして――大仏自身の起源に迫る。