表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら大仏だった件  作者: 山田クロウ
4/22

転生したら大仏だった件Ⅳ 〜仏界戦記・神を斬る者〜

――すべての神を越えろ、沈黙の仏よ。


【序章】

静寂は訪れた。

《黙天樹》が満ちた世界《浄音界》。

人も魔族も、祈りで通じ合える世界。

だが、外界がそれを許さなかった。

遥か天上、宇宙の果てに、神々の連合国家《天機殿てんきでん》が存在していた。

そこでは無数の神々が「信仰」「力」「秩序」「戦争」を司っている。

彼らにとって、《沈黙》は“信仰喪失”と同義だった。

「無音の仏が神々のバランスを壊した。

ならば――抹消するまでだ」

**神殺し戦争(ラグナ=ディヴァイン)**が始まる。

《黙天樹》が空に裂け、神々が侵攻を開始する。

最初に現れたのは【剣神カルヴァトラ】。

巨大な光の剣を操る、武の象徴たる神。

彼の斬撃は、言葉すら切断する。

「黙って座す神よ――俺に“語れる力”などない。

だから剣で話す!」

仏は人間形態で迎え撃つ。

だが剣神の力は想像以上。

リュミエが叫ぶ。

「仏さまが……傷ついた……!」

その瞬間、仏の中の何かが目覚める。

【進化スキル獲得:「輪廻再臨・六道顕現」】

・かつての六つの生を思い出し、超覚醒

・六形態:天人/阿修羅/人間/畜生/餓鬼/地獄

・各形態で異なる戦闘能力と人格特性を発揮可能

剣神の斬撃を、阿修羅形態が受け止める。

「剣で語る? ……ならば、我が拳で返そう」

修羅の炎に包まれ、仏が暴れる。

その一撃で、神の剣が砕け散る。

剣神は敗れ、静かに笑って消える。

「ああ……沈黙って、すげぇな……」

天機殿の主神たちは仏の覚醒に戦慄する。

「あれは……ただの座す神ではない。

“創造者そのもの”になりかけている」

主神議会が決議を下す。

「仏は、世界を作る存在――我々を超える可能性がある。

ならば、この宇宙から抹消するしかない」

その命を受けて動いたのは、

全神を統括する最上位神メタトラクシア

彼女は宇宙そのものと一体化しており、

時間・因果・空間を司る絶対存在。

戦いの合間、リュミエが倒れる。

彼女の体に刻まれていた“声の呪い”が、かつての戦いの残響で再発したのだ。

「わたし……もう、祈れなくなるかも……」

仏は何も言わず、そっとリュミエの手を取る。

彼女の中に、自らの“心音”を分け与える。

【ユニットリンク:心輪共鳴】

・仏と少女が心臓の鼓動を共有

・一体化することで“無音”の中に“生命の音”を宿す

リュミエが立ち上がる。

「わたし、もう泣きません。

仏さまの静けさが、ちゃんと生きてるから」

メタトラクシアとの戦いは、

物理すら超越した、“神の概念”のぶつかり合い。

仏の六道は、次々と打ち砕かれる。

空間が壊れ、時間が逆行し、記憶すら削除される。

それでも仏は言う。

「……沈黙は、消えない。

言葉が消えても……祈りは、心に残る」

【最終覚醒:「原初仏身・黙示胎蔵」】

・宇宙以前の仏の姿

・沈黙そのもので構成された完全存在

・一切の概念干渉を無効化

リュミエが“祈りの矢”を放つ。

仏が“無音の剣”で穿つ。

――神の玉座が、静かに崩れた。

宇宙の中心に、大仏が再び座した。

その周囲を、無数の世界が旋回する。

「創造は、言葉でも、力でもない。

……沈黙の中で願う心、それが始まりだ」

リュミエが隣に立ち、新たな祈りを捧げる。

そして、ふたりでこう名付けた。

「この宇宙を――《浄寂界》と呼ぼう」


第四部 完

――次回予告:『転生したら大仏だった件Ⅴ ~仏、神界を去る~』

静寂の創造神、大いなる別れと再誕へ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ