第8話 『縁界決戦 ― 四人の光と無の王 ―』
空は無色に染まり、大地は音を失った。
世界の“定義”そのものが失われつつある。
創神の創造主――“無の王”ゼロ。
存在しないはずの存在。
世界のすべての物語、神々、時間すらも“それ”の延長に過ぎなかった。
しかし、それでも――
「私たちは、“誰かの記憶”と“絆”の中に、生きてきた」
立ち向かうは四人の魂。
黄金の光背をまとい、仏神へと変生した主人公。
その背に寄り添うのは、三人のヒロインたち――
魔導の姫リシュア。
精霊使いの獣巫女ナヤ。
未来視の巫女セリア。
そして、帰還したかつての光――リュミエ。
四人は、それぞれの魔法を解放する。
リシュアは魔法陣を展開し、純魔力で戦場を構築する。
「魔法は力じゃない。意思よ。私たちの願いを、形にする」
ナヤは契約獣を呼び、虚無に囚われた命たちを解放する。
「死も恐れぬ。この命、彼の光と共に」
セリアは時間の因果を読み、未来の破滅を改変する魔法を紡ぐ。
「未来は見えないからこそ……選べるの。彼と共に、生きる道を」
リュミエは仏の隣に立ち、彼の光を支える存在として蘇る。
「もう離れない。あのとき言えなかった言葉を、今ここで」
「――私は、あなたを愛してる」
仏は一言、静かに答える。
「……私もだ、リュミエ」
その瞬間、四人のヒロインの魔力が仏に集束し、
仏の手に、新たな光が生まれた。
究極魔術:
《縁界無尽式・四諦の剣》
「苦」「集」「滅」「道」――仏教における真理の四本柱。
それを魔術と剣に昇華した、すべての無に打ち勝つ究極の術式。
「ゼロよ。お前が定義を拒むのなら、我が“縁”で貫いてみせる」
仏が剣を振るう。
無の王が放った、“存在の崩壊波”すら斬り裂き、
世界の形が――戻りはじめる。
リュミエの瞳が、涙を浮かべる。
「もう……大丈夫。今度こそ、あなたと共に最後まで行ける」
仏と四人のヒロイン――今ここに、五つの魂が一つになる。
そしてゼロは、初めて表情を歪めた。
『我が、敗北を感じている……?』
次なる一撃で、決着はつく。
次回:最終話 ―『因果を超える者たち』