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【2】戦争とその後

「この女の子の魔力は著しく低下していた。なのになんでこうもはやく回復が早いのか…薬も飲ませていないのでしょう?それにこの子の処遇もだよ。こんな子に責任を取らすなんて最低な王(親)だったのね」


「最後まで必死に「命だけは」ってほざくもんだから脳天ぶち抜いてやろうと思ったけど、あの方が相当怒っていたから逆に冷静になれた。まさか”あれ”を使うとはね」


「こうなった状況を彼女らに伝えるのと今までの経緯を聞くのが先じゃないかな?」


そんな会話を聴きながら私は重い瞼を開ける


「ここはどこ、、、?私はあの時……」


「目が覚めた?」


「!ヒルは!あの子はどこにやったの!」


「落ち着いて君の妹さんはまだ眠っている。それにここはチェシーヌ王国君も聞いたことはあるんじゃないかな?」


(チェシーヌ王国!?まさか敵国に来てしまうなんて)


「あの、私達のマレーアはどうなったのでしょうか」


「滅びたよ。それに君の親の王も王妃も全員ね。城の生き残りは君たち2人のみ。国民は難民として私達の国で保護してるよ」


「やっとあの人たちの呪縛から解放されたのね。それで私はどんな罰を受ければいいのでしょうか。あの子には罰はかさないで、私が全部あの子の分まで償うので」


言葉を発したあとにドアが開く


「君の罰はね」


「アレイ様何故ここに?」


「君たちのおかげであのマレーア王国を滅ぼす事に成功した。ご苦労様。それで君たちのいや、君の罰はねチェシーヌ王国、南の国の統括者として活躍して欲しいんだ」


「アレイ様本気ですか?“あれ”を使っておかしくなった訳ではないですよね」


髪を後ろにくくった男性がそういう


「あの国を治めるのは相当の実力がないと無理ですよ。それにマレーアに国を滅ぼされた者もいる中で簡単に統一出来るものではは無いでしょう」


銀髪の彼がキセルをふかしてそういう


「リード、それにルーファ彼女はあの国を治めるのに相応しい器をしている。それになにも彼女1人に任せるほど君らは見て見ぬふりが出来ないでしょう?」


「確かにそうですが……」


顔を隠した男性が、考えるように俯く


「彼女達の境遇を聞けば納得できるんじゃないかな」


(私達の境遇……)


「でも決して無理にという訳じゃない。こちらとしても罰を与えるというのはあくまで形だけというものなんだ。それに国民達は君達を処刑させたいわけでもないらしい」


「ですが、統括者になることとそれに何の関与が?」


「国民達はみんな南の国に移してある。もちろん元々住んでいる者の了承を得てからね。そして彼らが君を統括者として君臨して欲しいと強く願っていたんだよ」


アレイがちょうど話し終えた所でドアの扉がノックされた


「黎舞だね。入っていいよ」


入ってきた者は昨夜私が見た黒服の男だった。


「先程ソフィー様の妹様が目を覚まされました」


「報告ご苦労。引き続き彼女の護衛に当たるように」


黎舞と呼ばれた人物は頭を下げた後部屋を出ていった


「良かったね。君の妹さん目を覚まして」


エルフの女性がそういった


「挨拶がまだだったわね。私は霧桜廻花きざくら えんかよ。左から順番に華來かく様、アレイ様、リード様、ルーファ様、先程来たのはルーファ様の側近の黎舞らいむ様よ」


慌てて立ち上がろうとするとアレイに制された


「ではこのまま失礼します。マレーア王国の第一王女ソフィー・ブランドと申します」


「うん。よろしくね」


ニコニコと笑顔を向けてくる顔が目の前に現れビクッとする


「普通の登場の仕方は出来ないのか?」


リードが銃口を目の前に現れた者に向ける


「嫌だなぁ。オレはさっき来たばかりなのにさ〜。オマケに雑用までやらされて、なのに君ときたらこの子とお話してるなんて」


ギュっと抱きしめられる


「その薄汚い手を離せ!変態野郎が!」


「彼はイリヤ。ソフィーちゃんの事随分と気に入ってるみたいだね」


華來がそういう


「気に入ったのはほんとだね。それにあの悪名名高い悪魔を抑え込むソフィーの術には驚きだったよ。普通悪魔を祓うには取り憑いた者を浄化もしくは殺さないといけないというのに

それにソフィー君の妹も凄いね。きちんと悪魔を制御出来ていた。感服したよ。昨夜のはきっとビックリして制御出来なくなっていたんだろうね。全くどこかの誰かさんの兵士たちは翻弄されて全員倒されるなんて」


「何こいつムカつく。アレイ様コイツ殺してもいいですか」


「う〜んダメ!2人とも仲良くね。じゃないとしばらく《いつでも一緒♡手錠生活》してもらうよ」


「コイツとは死んでもしたくない!!」


と言って部屋を出ていってしまった


「あらら。せっかく私特製の手錠を作ったのに」


アレイはそう言って落ち込む


「そんなことより!今は私達があった出来事と彼女が見たもの聞いたものなどを聞いていこうよ」


廻花がそう呆れたようにいう


「そうだね。まずは何故マレーアが襲ってきたのか、そして君達が何故迫害されてきたのか、最後に君が城にいなかった理由を聞かせて欲しいな」


華來がそういう


「マレーアが先にチェシーヌ王国を襲ったってことですか?!私はマレーアの高圧的な態度で戦争が勃発したのかと思っていました」


「確かにマレーアはいつも他国にも高圧的だった。それで戦争を起こす程みんな暇じゃなかったんだよ。でもねマレーアの兵士たちが他国に宣戦布告を意味する黒煙を各地に放ったせいでこうなった訳だけど、ソフィー、君はこの事実のどこまでを知っている?」


「私はそんなこと全く知りませんでした。父と母は私達を忌み物のように扱ってきましたから。昔からマレーアではこの赤い目は悪魔の象徴とされてきたので虐待や差別は当たり前でした。ただ国民の前だけでは目の色を変えて傍に置くことで私を引き立て役として扱っていました。そして妹のヒルは禁忌である悪魔召喚の際に悪魔が入る器としてその身に宿されました。今ではコントロールが出来るものの昔はコントロールが出来ずに酷く暴れた為に牢獄地下最深部に閉じ込められてしまったのです。私はそんなヒルに寂しい思いをして欲しくなく抜け出せる時は抜け出して会いに言ってましたが、バレた時は鞭などで叩かれていました。でもそんなのは痛くないヒルがあの子が味わった苦痛の方が痛いから

それに私が城にいなかったのはたまたまじゃないんです。別に別荘があってそこで隔離されたり死なない程度にメイド達からの暴力も受けていて、ある日窓を見ていると黒煙が上がった。私はマレーアがとうとう終わるのかと安堵しました。でもその時に牢獄にいるヒルを思い出して抜け出そうとも考えましたが、足枷で繋がれて動けなかったんです。それでひとつ質問なのですが、蛇神ウエルをご存知ですか?彼が城までの道を教えてくれたんです。」


私は一息ついてからアレイの方を見た


「蛇神ウエルってかつての魔神だね。でも彼の気配は遠くの昔に消えていたからてっきり、消滅したのかと思っていたけど、、、」


「今はこの宝石にウエルが入っていて」


ポケットに入れていた宝石をアレイに渡す


「………」


「これはあの蛇神ウエルに渡されたものかな。でもかなりその名を聞かなかったけど神として信仰するものがいなくなって力尽きる前にその宝石の中に宿っているんだね。渡された時に何か言われなかった?」


華來が説明をする


「はい。何となくですけどこう言われて『汝が我と契約する時、我の力を貸し全ては汝のものとなるだろう』っと」


「蛇神ウエルはかなり前の方法で契約を結ぶ事が出来るんだけどね。これは結構好条件な契約だ。契約を結ぶのなら手伝うけどどうする?」


華來は宝石を見ながらそういう


「契約したら何か特別な事が?……」


「特別も何も凄い事だよ。『全ては汝のものとなるだろう』って全ての力から魔力まで君に渡すことを約束することになるんだ。もちろん蛇神ウエルもかつての力とは程遠いけどそこらの神より強いからね。君にとっても好条件だよ」


イリヤが興奮気味に話す


「まさか最近は姿を見ることがなかったけど力が奪われていたとはね。私のかつての命友だったんだよ。」


アレイは少し寂しそうに言った


「ですが、召喚儀式契約になりますよね。すると魔力が足りるかどうかの問題にもなりますよ」


(私の魔力……)


「う〜ん。そこ考えてなかった。あはは……今魔力が凡そどのくらいあるか測るからちょっと待ってね」


イリヤにそっと手を取られ少しビクッとする。


「リラックスして。自分の中に流れる魔力を想像してみて」


私はゆっくりと深呼吸をして目を瞑り自分の中を巡る魔力を読み取る


「上手だね。そしたら魔力を1点集中させるように想像してみて」


彼に言われた通りにする。


(魔力を1点集中……器に注ぐような感じ、、、?)


「うんうん。上手上手。……………うんある程度読み取れたからゆっくり魔力を分散させるように意識してみて」


(魔力を分散……)


「シャボン玉がパッと割れたような感じをイメージするといいよ」


(シャボン玉…………)


私はますます集まる魔力の負荷に汗を滲ませる


「魔力を操る訓練が必要だね。そしたらその抑えられなくなった魔力をオレに向けて放っていいよ。大丈夫」


言われた通りに魔力をイリヤに向けて放った


勢いよく放たれた魔力の砲はイリヤによって止められた


ホッと息を吐く


「今ので見て分かったけど魔力を分散させることが上手く出来てないみたいだね。メリットとデメリットがそれぞれあるんだけどこの話は後で、先に測った魔力の量を教えるね」


するとイリヤは15cm定規を取り出した


「だいたいの人達の魔力はこのくらい」


といって定規の3あたりを指さす


「で、君の魔力はこのくらい」


といって定規の8の位置を指さした


「普通の人より多い傾向にある。昨日使った魔力と回復している今の魔力を合致してだいたい事あたり、だから召喚儀式契約は可能だね。ただ、著しく魔力が低下するから魔力不足で倒れる場合もあるから、まあそこは華來がどうにかするから大丈夫。あとは君次第だね」


「私、ウエルと契約します。統括者になるためにも」


「その返事を聞けて嬉しいよ。儀式は今日の午後にでも行おうか。その方が君にとっても都合がいいと言えるし」


私はこくりと頷いた


「私にとっても喜ばしいことだ。儀式に使うものを揃えてくるからしばらく華來と一緒にいるといい。イリヤ、ルーファ行くよ」


アレイはイリヤを引っ張りその後ろで微笑むルーファ達は部屋を出ていった


「ふぅ、私もそろそろ行くわ。薬を作りに行かないと」


そして廻花も部屋を出ていく


静まり返る部屋に私と華來2人きりで残される。


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