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公園の片隅で、キズの痛み〈小学2年生 男子〉

開いちゃったね。大丈夫ですか?


読んだら俺のネガティブに引きずられて暗くなっちゃうかも。引き返すなら今のうち。



こういう体と心の痛み、わかる人、ここにはいるのかな‥‥?

 公園の植込みの隅っこには、デッキにはヒビが入り、ノーズも割れてめくれ上がってるボロボロのスケボーが草に紛れて転がっていた。誰も見向きもしてなかったけれど。


 それでも誰かのかもしれないから僕はずっと触らずにいたんだけど、誰もいなくなってもそのまま放置されてる。ってことは、もう誰のでも無いってことだよね?


 もう辺りは暗いし、この時間にはみんな家に帰って夕ご飯を食べている頃だよ。



 誰のでも無いって確かめるために、ずっとひとりここに残って待ってたんだ。



 僕は僕の物にした僕の宝物を見つけて拾い上げる。



 ずっと欲しかったんだ、これ。一度でいいからやってみたかった。


 いくらお母さんにねだっても僕には買っては貰えない。なんなら友だちほとんどが持ってるものだって僕には買っては貰えない。


 ゲーム機もその一つで、僕はみんなの話題に何一つついて行けなくて、だんだん輪に入れなくなった。みんなが話題にしてるヨーチューバーや有名な人だって僕は誰一人知らない。面白そうなアニメだって映画だって、題名くらいしかわからないや。


 学校で必要なものだって用意しては貰えないんだから、他のものを買って貰うなんて、夢のそのまた夢。


 新学期に持っていかなきゃいけない雑巾だって、指に針を何度も刺しながら古タオルを使って自分で縫った。だって、家では用意してくれない。こんなの学校に持って行ったらきっとバカにされるって思ったけど。でももう、忘れ物として注意されて5回目だったし、持って行かなかったらますます先生に怒られるし。



 僕は孤独な小学2年生。



 早速、月明かりの下で、僕は壊れかけのスケボーに乗っかる。ドキドキワクワク‥‥‥



 ふふふっ‥‥スッゲ、ガタガタする。この音、今にも下のウィールが取れそうだ。


 それでも僕は地面を蹴ってスピードを上げてみる。



 うわー、風‥‥‥



 途端、見事に尻もちをついた。それでも、何回も何回も繰り返す。



 何回目かに思いっきり見事にすっ転んで、地面をゴロゴロ転がった。すっげー痛い。脚も肘も擦り傷だらけになった。


 アハハ、クッソ痛いのにクッソ楽しい!



 そのまま地面に座り込んで、腿の外側一面に出来たジンジン響くキズを確かめる。


 縦に揃って大小並んだ擦りキズの筋から血がジワジワ滲んで来て、小さな玉の列が皮膚の一面に出来てた。


 その赤い小さな玉は少しづつ大きくなって横と繋がって線になって行くのを、痛みを堪えながら何となく眺めた。


 これ、どうやって隠そうか。手のひら広げでも隠せない大きなキズ。



 お母さんは、僕が熱を出したりケガをすると不機嫌になって僕を責めて来る。このキズが見つかったら、原因を探られて、スケボーを拾ったことがバレて、きっと怒られて叩かれる。


 暑いけど、明日からは長いズボンをはこう。




 ああ、今日は楽しかったなー‥‥‥


 明日も来れたら来よう。絶対晴れますように!



 誰も入らないような、ススキの葉っぱの繁った大きな草むらに慎重にスケボーを隠した。この葉っぱは皮膚が切れるから、みんな避けてる。



 お陰で僕はさらに当たるとチクッとする小さな切りキズを増やした上に、虫の餌食になってしまった。痒くて痒くて、手足のあちこちつねったり叩いたりするけどまったく収まらない。痛いわ痒いわ痛いわ痒いわ、僕の肌は、ボロボロのぼっこぼこ。


 スケボーのためだ。ガマンガマン‥‥‥



 さあ、もういい加減帰らなきゃ、妹たちがお腹を空かせて僕の帰りを待ってる。


 あいつらはまだ小さいから、台に乗っても電子レンジには届かないんだ。僕がやってあげないと。



 本当はもう少しだけ遊びたかったなー‥‥‥




 後ろ髪を引かれながらも、僕は公園を後にした。




次回はネガティブはもうちょい抑えて行く m(_ _;)m

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