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俺は美少女とパートナーになった。

同盟国からの橋封鎖拒否の報告を聞き、納得しきれない重鎮達


「自国さえ良ければいいのか⁉それじゃあ何の為の国交正常化じゃ‼」


「仕方があるまい、我々が同じ立場なら恐らく同じ決断を下すはずじゃ」


「貴様どっちの味方なのじゃ⁉」


「味方とか敵とかそんな低次元の話ではない、モノの道理を説いているだけに過ぎん」


「何じゃと、このADSLジジイが‼」


「貴様言ってはならん事を、光回線がそんなに偉いのか‼」


「な~にやってんだよ、タ~メ~‼」〔山本高広風〕


もはや何が何だかよくわからない事で言い争いを始めた重鎮達、この人達に危機感とかあるのだろうか?

 

そんな中、皆のやり取りを黙って聞いていた王女が意を決したかのように口を開いた。


「できなかった事を今更嘆いても仕方がありません、我々の国は我々の手で守るしかないという事です


今までと何も変わりません、私には国民を守る義務があるのです、戦います、そして勝ちます‼」

 

王女の決意の言葉に一同が口を閉じた、さすがは一国の長である


美人でおっぱいが大きいだけではない、俺は純粋な気持ちでこの王女の力になりたいと心から思った

 

そう一点の曇りもない純粋な気持ちで


先程までも〈純粋にお付き合いしたいな〉と思ってはいたが更にその思いが高まったのだ


何故なら美人でおっぱいが大きい事に加えて国民を思う気持ちというトッピングが追加されたのだ。

 

もう俺は魂の牢獄に囚われた囚人となった、この際、魂の牢獄の囚人という言葉が適切かどうかは問題ではない


もちろんその言葉を引用したのは何となくかっこいいからだ。


「王女、私にもお手伝いさせてください、微力ながら力になりますよ」

 

決まった、我ながら何てカッコいいセリフ。録音機能があったなら何度でも聞き直したいくらいだ


その証拠に王女は両目を大きく見開き、少し驚いた様子だった。


「驚くことはありません王女。私とて勇者の端くれ、困っている王女と国民の為に立ち上がりますよ‼」

 

決まった‼トドメとばかりのこのセリフ、これ以上ない程決まってしまった


感動と驚きで固まってしまっている王女、さあ俺に賛辞と感謝の言葉を……


「いえ、私が驚いたのは、最初から勇者様には戦ってもらう予定でしたので


何を今更……という気持ちで驚いてしまっていたのですが……」

 

そっちでしたか?う~ん、決まっていなかった、寧ろスベっていたらしい


穴があったら入りたい気持だ。しかしよくよく考えてみたら、恥ずかしい思いをした者が


逃げ道のない近くの穴に逃げ込んだらそれはそれで余計に恥ずかしいのでは?


だったら恥の上塗りをせず、穴に入らず堂々としている俺はまだ希望があるのだろう


そう考えた俺の心には一陣の光が差し込んだ……あれ?一陣って風だっけ?光には使わなかったっけ?


まあいいや、細かい事にはこだわらない器の大きな男


あくまでクールにそしてエレガントにだ……あれエレガントってどんな意味だっけ?

 

俺はそんな哲学的な事を自問自答しながら冷静になって考えてみた


魔犬の来襲まで二時間弱ひょっとしてその間に聖剣を取りに行くことはできないだろうか?と


「王女、例のヴォルケレスト山に行くには時間がかかるのですか?」


王女には思わぬ質問だったのか口に手を当てて考え始めた


「いえ、ここから三十分もかかりませんが……まさか魔犬が来る前に聖剣を取りに行こうというのですか⁉」


「ええ、その通りです。魔犬と戦うために勇者の必須アイテムである聖剣を何としても我が手にしなければなりません


ご心配なされなくとも必ず聖剣を手にして戻ってまいりますから‼」


心配そうに見つめる王女に俺は優しく微笑みかけた


う~んいいね、自分自身にGOODボタンがあれば連打したい気分だぜ


心配そうな表情を浮かべつつ話し辛そうに口を開いた王女


「あの~帰ってきてくれますよね?そのままトンズラするとか……


いえ、何でもありません」

 

王女が心配していたのは俺が逃げ出すことだった様だ、しかも今時トンズラって……

 

しかし俺は気を取り直して聖剣を取りに行くことにした、勇者としての誇りがそうさせたのだ


決して王女の可愛さとおっぱいに目が眩んだわけではないことをここに明記しておこう


その後俺は城の者に案内されバーニングワイバーンが放し飼いにされているという森に向かった


なにしろ時間が押しているので一刻も早く聖剣を持って返ってこなければならないのだ


〈炎が燃え盛る山に眠る聖剣を時間内にゲットする〉う〜ん何だかゲームぽくてやりがいがありそうだ


その道中、ある村を通過するとき叫び声の様なものが俺の耳に届いてきたのである


「お許しください、ご主人様‼」

 

悲鳴にも似た若い女性の声、思わずその声の方向を見てみると


十代前半と思われる少女が首を鎖につながれ、荒くれ者風の大男に無理やり引っ張られていたのである


「さっさと歩かねーか、奴隷の分際でそんなこともできないのかお前は⁉」


「申し訳ございません、ご主人様‼」

 

いきなり訪れる急展開、そうこれは異世界名物【奴隷少女】だ、キタキタキターーー‼


見た事ありますこのシュチュエーション、主人公が奴隷少女を救いパーティーメンバーに加える


そして美しく育った少女に芽生える恋心、やがて二人は……いいじゃない、いいじゃないの⁉


よく見ると目の前の奴隷少女もかなり可愛い、俺はにやける顔を必死で隠し奴隷商人と思われるその男に声をかけた


「ちょっといいかな、その少女を……」


俺が声を賭けようとしたその時である。左右から先程と同じような叫び声が聞こえてきたのだ


「すみません、ご主人様‼」


「ご主人様、お許しを‼」


「もういたしません、どうかご勘弁を、ご主人様‼」

 

左右から次々と現れる奴隷商人風の男と奴隷少女、俺は何が起こっているのか全く理解できなかった


全員が首に鎖を付けられ、泣きながら許しを請う奴隷少女達


それを容赦なく責め立てる奴隷商人共。そしてその一連の行動が一斉にピタリと止まり


全員が無言のまま俺を一斉に見つめたのだ。

 

ナニコレ?俺に誰か一人を選べという事?ギャルゲーの選択イベントですか? 


そんな戸惑う俺を潤んだ目で見つめる奴隷少女達、しかも誰もが皆、超絶可愛いのである。複数選択ルートってありませんか⁉


中々決められない俺はふと一人の少女に目が止まる、その少女は青みがかった髪に赤と緑という左右色違いの目をしていたのだ


おおおおおおーーー‼俺は思わず心で叫んだ、なぜなら【青髪少女】にはある言い伝えがあるからだ


それは必ず不幸になる運命ながら、【青髪少女】自体は超絶いい女であり主人公の心を動かす最高のヒロインという伝承なのだ


しかもこの少女は男のロマンである【オッドアイ】の持ち主なのである。


俺は一瞬で心を奪われた、フラフラとその少女に近づき思わず手を差し伸べる


「君しかいない、俺と来てくれるよね」

 

俺の一世一代の告白の様なセリフ、我ながら何というカッコよさだろうか⁉少女は一瞬信じられないといった表情を浮かべ、無言で頷いた。

 

俺は奴隷商人と話を付けその少女を引き取った、他の奴隷少女には申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、誠心誠意謝罪すればわかってくれるだろう、だって俺は勇者なんだから……


俺は選ばれずに残ってしまった奴隷少女達に頭を下げた


「すまない。俺には今、君たちを救うことはできなかった。でも安心してくれ


必ずや魔王を倒し君たちを救い出してみせるから、それまで待っていてくれ」

 

慈悲にあふれる言葉を投げかける俺、奴隷少女たちはさぞかし感激し涙を流して……


あれ?どうも様子が変だぞ?奴隷少女たちは皆、大きくため息をついてジロリと俺を見つめる


「あのさ~なんか勘違いしてないアンタ?さも自分が選んでやるとかイミフなんですけど


しかもその上から目線、超キモイし、そもそもアンタみたいに冴えない男、こっちから願い下げだっての」


辛辣で強烈な言葉が俺を襲う。天使かと思っていた可憐な美少女たちがさげすんだ目で俺を見つめ、そのまま背中を見せて歩いていく、思っていたのと違う……


何だろう、俺の目から自然と流れ出る水分は?

 

奴隷少女たちは何やら話をしながら一度もこちらを振り向くことなく去って行った。


「ねえ帰りにスタボでタピって行かない?」


「あげみざわでよいちょまるのもいいね」


「あ~あ、私も髪を青く染めれば良かったな、やっぱ今は青髪がバズるでしょ⁉」


そんなことを言いながら去っていく少女たちの背中を呆然と見つめる俺、そして目を潤ませながらすがるような気持ちで唯一救った青髪少女を見つめた


その空気を悟ったのか少女は苦笑いを浮かべ俺に優しく語り掛けた


「私はそんなこと思っていませんよ、ご主人様に感謝していますとも……」

 

俺はその少女の言葉を信じた、信じるしかなかった、【最後に愛は勝つ】と歌っていたのはニーチェだったか?


俺は気を取り直して自己紹介をすることにした、彼女とはこれから一緒に冒険をする仲間なのである。


そしていずれは……いや、止めておこう、まだ慌てる時間じゃない。


「初めまして、俺は松岡真二だ。一応勇者としてこの世界に来た、よろしくね」

 

俺の言葉を聞き、深々と頭を下げる少女


「は、初めまして、私はサーラといいます。よろしくお願いします、ご主人様」


これがこれから俺とかけがえの無いパートナーとなるサーラとの出会いであった。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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