俺の天使はそっと俺の首を切り落とした。
スパイシードッグを加えた三人?で今後の事を話し合うことにした俺達
未来の将来設計とか以前の俺では考えられなかった事である。
「では、まずシンジさんの考えを聞きたいです。最終的な目標として魔王を倒すとしても
段階と言いますかシンジさんが世間に認められ、王女様からの信頼も回復した後に
国民全員の支持を受け堂々と戦って欲しいのです。その大まかなプランを聞きたいのですが?」
「それは任せろよ。俺はこの世界に来る前にそのあたりはもう考えてある」
俺が自信満々に言い放つとそれを聞いて驚きの表情を浮かべながら
思わず顔を見合わせるサーラとスパイシードッグ。
「やるじゃねーかシンジの旦那。伊達に俺を倒した勇者じゃねーな」
「シンジさんにしては珍しくビジョンがあるのですね、おみそれしました
で、どんな計画なのですか?」
やれやれ、ようやくこの連中に俺を見返させるチャンスが到来したようだ。
周りに認めさせる前に、まずは仲間から信頼されないとな。俺を讃えよ、そして語り継げ‼
「ふっふっふ、こんな事もあろうかと、もうすでに用意してあるぜ、驚いたか?
さあ見ろこれが俺の異世界生活における〈松岡真二 幸福補完計画〉の全容だ‼」
俺は懐からある一枚の紙を取り出す。正直これを人に見せるつもりはなかったが話の流れで致し方なしと判断した
何故ならあまりの素晴らしさに賛美と称賛を浴びかねないからだ
俺は結果で判断してほしかったからこの紙を見せるつもりはなかったのである
そんな俺の思いなど知る由もない二人は俺の差し出した紙を覗き込み言葉を失っている
ヤレヤレそんなに凄かったのか俺の幸福補完計画は?
そんな俺の思いとは裏腹になぜかジト目で俺を見つめるサーラ。
「シンジさん、これは何ですか?」
「いやいや何言っているんだいサーラ、瞬間的に記憶喪失にでもなったのかい?
これこそが俺のビジョン、〈幸福補完計画〉だよ。さあ遠慮せずに誉めてくれていいぜ」
「こんなモノを自信満々に人に見せるなんて、貴方はどういう神経をしているのですか⁉」
サーラは俺の未来設計プランの紙を俺の顔の前に突き付けた。
それにはこう書き記していたのだ。
〈松岡真二 幸福補完計画 【英雄への道】 松岡真二 著〉
①神様の力を借りて最強の勇者が爆誕 (暗い過去よサラバ、幸福人生のスタート‼)
②王女との運命の出会い (将来の嫁候補の登場、ここからヒャッハーな生活始まる〉
③美人の仲間加わる (リア充の仲間入りを果たすパリピになった俺、仲間とイチャラブ)
④順調に魔王軍を倒し民衆より絶大な支持を受ける (なんかチョロくね?マジ卍)
⑤王女と仲間の女とで俺の取り合いに (ラブコメ並みのハーレム展開)←イマココ
⑥何やかんやで魔王を倒す俺 〈やっぱORETUEEEE―――‼〉
⑦全国民から讃えられ、英雄の称号を受ける俺 (讃えよ国民、語り継げ伝説)
⑧最後に王宮で王女と仲間から求愛される俺 (最終分岐点、どちらエンドを選ぶか?)
「何ですかコレは?」
「何って、だから俺の未来予想の設計プランだよ、何度も言わすな」
「この落書きがですか⁉今時の子供でもこんな馬鹿な計画は書きませんよ‼
そもそも何で私が一方的にシンジさんに求愛してフラれる感じになっているのですか⁉
非常に心外ですし、不快の一言に尽きます‼」
どうやら本気で怒っている様子のサーラ。仕方がない、ここはフォローに回るか。
「いやいや、コレはあくまで予定計画であって決定ではないぞ
そもそも最終段階では、俺が王女様を選ぶかお前を選ぶかは書いてないだろ?」
俺の言葉を聞き、更にスネた様な表情を浮かべるサーラ。
「私なんか王女様と比べるのもおこがましいです。
あのお方は超絶美人でスタイル抜群、そして全国民から愛される王女様なのですよ⁉︎
私みたいな貧租な元奴隷が太刀打ちできる様なお人ではありません
だからもし万が一、こんなシュチュエーションになった場合、
私がフラれるのは決定じゃないですか‼︎」
そうか、サーラは自分の魅力にまだ気が付いていないんだな、よし、ここは俺が……
そう思った矢先である、スパイシードッグさんが食い気味に話に割り込んできた
「そんな事ないぜ、お嬢ちゃん‼アンタは魅力的だ、花ならまだつぼみだが
もう花開こうとしている最中、いや今まさに花開いたところだ‼︎あの王女にだって全然負けていないぞ‼」
謎の開花宣言と共にほとばしるパトスを熱く語るスパイシードッグさん。
「そんな、気を使ってくれなくてもいいですよスパイシードックさん。
王女様は三年連続で国民人気投票の断トツ一位なのですよ、私なんか……」
スパイシードックの熱い思いも自分を卑下するサーラには届かなかったようで寂しそうに視線を落とした。
「そんな人気投票が何だっていうんだ‼︎
だったら俺が今年の人気投票用紙を全部買い占めてお嬢ちゃんに投じてやる
俺がお嬢ちゃんを必ず一番にしてやるぞ‼」
再び謎の熱意で熱く語るスパイシードックさん。
何だ、この無駄に熱い追っかけファンみたいなノリは?お前は千葉県のYさんか⁉
「有難うございますスパイシードッグさん、私みたいな女にそんな事を言ってくれるなんて、嘘でも嬉しいです」
再び笑顔を見せるサーラ、その微笑みは正に天使の笑顔と言っても過言ではなかった
そんなサーラを俺とスパイシードッグは赤面しながらボーっと見つめてしまう
だが俺は見てしまったのだ、スパイシードッグの尻尾が激しく動いている事を
どうやら心とは別に体は正直のようである、またまた欲しがっていますねスパイシードッグさん。
「私の事はもういいですよ。肝心なのはシンジさんですから
王女様と仲良くなりたいと思っているのはわかりましたから
具体的にどうやってそれを実現するのか考えましょう
いきなり恋人というのはハードルが高そうですから
まずは友達になるところから始めてみてはどうでしょうか?」
「俺はそんなまどろっこしい事をせずにいきなり恋人でも問題はないと思うんだけれどな」
俺の発言を聞いて再びジト目で俺を見つめるサーラ。
「その無駄にポジティブな所は何の副作用ですか?
ハッキリ言って今の時点では王女様と友達になる事ですら結構なハードルの高さだと思いますよ
そもそもシンジさんって友達と呼べる人はいたのですか?」
「失礼な事を言うな、俺にだって親友と呼べる人間は一人いたぞ‼」
「それは意外ですね、でも〈いた〉という言葉遣いから察するに今はいないという事ですか?
もしかしてその方と何かあったのですか?」
俺の頭に苦い過去の記憶がよみがえる、あの頃味わった青春の一ページを俺は静かに語り始めた。
「高校二年の時だった、俺には杉山という親友がいた
同じオタク趣味で話も合っていつも一緒に行動していた、本当に気の合う親友だったんだ……」
「その杉山さんと何があったのですか?」
俺は唇を噛みしめ、絞り出すように言葉を紡いだ。
「そんな俺の思いとは裏腹に杉山の奴はとんでもない裏切り者だったんだ‼︎
ある日あいつは俺の目の前で信じられない事を口にしたんだ、まさかって……俺は自分の耳を疑ったよ‼」
「信じられない裏切りって、杉山さんは何を言ったのですか?」
「あいつは一言俺に告げたんだよ、〈彼女ができた〉って……」
「……」
「なあ信じられるか?あいつは俺と交流しながら裏で女を作っていやがったんだ
許せない、許せるはずもない‼︎わかるだろ俺のこの怒り
あいつはとんでもない裏切り者だったんだ‼」
興奮気味にまくしたてる俺に対し、何故か呆れ顔のサーラとスパイシードッグ
あれ?君たちどうしてそんな顔をしている?
「いやその……今のはもしかして、ツッコミ待ちですか?」
「そんな訳ねーだろ⁉」
「いや、普通友達に彼女ができたら祝福してやるとか
彼女との馴れ初めとかノロケ話を聞いてやるのが友達というモノではないのでですか?」
「そんなのは本当の友達じゃない‼︎俺はあいつを信じていたのに……
それ以来アイツとは絶交している、苦い思い出だよ」
「そんな遠い目をして青春の一ページ風に語られても……
シンジさんがどうして今まで〈ぼっち〉だったのかはなんとなく理解できました
気の毒ですね……もちろん杉山さんがですが」
どうやら複雑な人間関係の感情を理解する事は、サーラはまだ早かったようだ。
「要するにシンジさんは彼女ができた杉山さんが妬ましくて絶交したということですね?」
「なんだそりゃあ?俺がそんな了見の狭い男に見えるのか⁉」
「いや、そんな男にしか見えませんけど……
今の話をどう聞いてもそうとしか理解できませんよ
恐らく百人が聞いたら百二十人がそう思うはずです」
俺はサーラにまで裏切られた気分になった、俺の味方はどこにもいないのか?
「サーラは……俺の味方じゃないのかよ?」
「私はいつでもシンジさんの味方ですよ、心境的には杉山さんの味方をしたいですが」
神は死んだ……目の前の天使は可愛い笑顔で死神の鎌を振るい俺の首を切り落としたのである。
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