俺の心の友、豚
王女様からの無罪判定、そして意味深な言葉
それはすなわち〔言質を取った〕という既成事実
これは超レアアイテムのような貴重なお宝をゲットした事に匹敵するはずだ
冒険序盤からいい滑り出しだ、異世界万歳、ルドラン王国万歳、オール ハイル ルドラーーーン‼。
このハッピーエンドの流れに乗り気分上々で明るい未来を想像していた時である
そんな気分を全て台無しにするかのような声が響き渡った
「なりませんぞ‼」
和やかに収まりかけたその空気を引き裂く様に聞こえる否定の声
その聞き覚えのある声の方に振り向くと、ハアハアと息を荒げたバローが王女の決定に待ったをかけた。
「なりませんぞ王女様。いくら修復できたからといっても
こやつらは宝物庫に侵入し、国宝ともいえる貴重な品を破損させた大罪人
見せしめの為にギロチンにかけるのです。
勇者はどうでもいいが、そこの娘は今が旬なのです、花開く前の美しきつぼみ
それがはかなく散っていく姿こそが至高であり、究極の美のといってもいいでしょう
そう今、今なのです‼」
完全に変なスイッチが入ったバロー、もう彼は人には戻れないのだろう……
王女も軽蔑の眼差しでバローを見つめていた
この手の変態が大層お嫌いな王女様は彼にどんな処分をなされるのか、興味深くはある。
「バローの宮廷占術師の任を解きます、貴方にはロネオラのサポートを命じます
速やかにロネオラの後を追い魔王討伐をしてきなさい
期限は三日以内、わかりましたね」
そんな王女の命令を受け、わかりやすく絶望の表情を見せるバロー
あんなに喜んでいた宮廷占術師の地位、それを僅か在任期間一日で失ってしまった訳である
しかも〈三日以内に魔王を倒してこい〉というご命令。
まさにそれは悲劇的であり、喜劇的でもあった。
急いで作らせた名刺は全くの無駄になってしまったわけだ。全く同情はしないが……
この男に贈る言葉があるとすれば何だろう?〔自業自得〕〔因果応報〕〔身から出た錆〕
〔自分で蒔いた種)〔墓穴を掘る〕〔人呪わば穴二つ〕〔自縄自縛〕
あまり浮かばないな、まあこれからの俺たちの活躍を草葉の陰で見守っていてくれ。
バローが兵達に抱えられて退出し、余計な邪魔者はいなくなった
〈さあこれからがウキウキ異世界ライフの始まり始まりだ‼︎〉と思っている時期が私にもありました
そうこの時点までは……そんな和やかな雰囲気をぶち壊す出来事が起きたもである
それは一人の兵士が運んできたある物が発端だった。
「王女様、〔最高神バルド〕を名乗る方から王女様宛にメールが届いていました
〔勇者様から頼まれた例の画像〉というタイトルのPDFファイルが送られてきましたので
プリントアウトしておきました」
伝令兵はそう言って複数枚の紙を王女に手渡した。
「そうでしたね、勇者様が言っていた例の犯行の証拠画像ですね
まあ今はもう不必要な物となってしまいましたが……」
そうか、もうすっかり忘れていたが俺の特殊能力【アイキャッチ】を使って
俺が真犯人という証拠画像を送ってくれる約束をしていたな
もう今となってはどうでもいい証拠だが、珍しくバルドがちゃんと送ってくれたんだし後で礼を言っておくか。
俺がそんな事を考えていた時、プリントアウトした紙を見つめていた王女の顔が急に険しいモノへと変わり
ワナワナと小刻みに震えだしたのだ。何だ、何が起こった?
「どうしたのですか王女様、何か珍しいモノでも写っていましたか?」
俺はそんな言葉を口にしながら王女様へと近づき、手にしている紙に目を移すと
そこには信じられないモノが写っていたのだ
最初の数枚は俺の要求した犯行証拠となる画像で間違いなかったのだが
後の数枚は王女様の胸チラ写真や下ナメ写真が写っており
最後の画像には王女様の胸元から見えるピンクの下着がくっきりと写っていたのだ。
そうこれは俺がこの世界に来たばかりの時に見た映像だ
王女様に最初に会った時に見えた衝撃映像をバルドがご丁寧に同封してきたのである
しかもメッセージとして〈サービス、サービス‼︎〉と添えてあった
最悪だ……あの糞ジジイ、何て余計な事を⁉
俺は恐る恐る王女様の方へと視線を移す、するとそこにはゴミを見る様な目で俺を見つめる王女様がいた
もちろん俺は忘れてはいない。この王女様はこの手の変態が大層お嫌いなのである。
「どうやら勇者様にもお仕置きが必要なようですね、ブタ箱に放り込んでおきなさい」
「イエス ユア ハイネス‼」
王女様に命じられた兵達は俺の周りを囲むと、戸惑う俺の両脇を抱え連れ去り
俺はそのまま牢屋へと連行されていった。
それを黙って見守っていたサーラの残念そうな目がとても印象的だった。
放り込まれた狭い牢屋の中には他の囚人はいなかったのだが、なぜか豚がいた。
呆然自失といった感じで完全に呆けている俺の顔をペロペロと嘗め回す豚たち
何故だろう、こんな豚達が妙に愛おしく感じてしまい目から涙が自然と流れ落ちた
するとその涙をも舐めてくれる心優しき豚達
君達、俺のパーティーに入って一緒に魔王を倒しに行かないかい?
数日の投獄生活を終えようやく出所を迎えた俺
文字通りブタ箱と臭い飯の生活に身も心もズタボロである
娑婆に出た俺を出迎えてくれたのはサーラだけだった。
「お勤めご苦労様でしたシンジさん」
皮肉ともとれるテンプレなセリフだが俺の心には響いた
俺は世界を救うために勇者としてこの異世界へと来たのである
だが今まで経験した事といえば、犬と戯れて、ゴブリンの歌を遠くで聞き
宝物庫に侵入して重要な宝物を破損した為に隠ぺいを図り
そして王女様へのセクハラで牢屋にぶち込まれた、以上
何だコレ?俺は急に自分が情けなくなってきた。
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