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俺の良心

「では今後どうしましょう王女様、そうだ⁉例のアレをやってみてはいかがでしょうか?」

 

重鎮の一人が何やら王女に提案し始めたぞ、例のアレって何だ?


「ああ、アレですか……でも今回、それで解決するのかはやや疑問ですが」

 

何だ何だ、気になるなんてものじゃないぞ⁉よし聞いてみるか。


「王女様、例のアレとは一体何なのでしょうか?」


「実は以前にも同じような手口で宝物庫に侵入されたことがあるのです


その時も犯人と犯行動機もわからず、困り果てた我々は一般を含め国民全員に助力を頼んだのです

 

〈犯人と犯行動機を見つけた者には報奨金と王家秘蔵の品をプレゼント


そして豪華特典が付いてきますのでドシドシ応募ください〉と」


何だ、そりゃ?TV番組の最後の〈視聴者への応募プレゼント〉みたいなノリだな


そんなので応募する奴がいるとも思えないが……でもこの流れだといたという事か?


「全国より一万二千通を越える応募があり、その中で見事犯人と犯行動機を言い当てた応募者の中から


抽選で一人の男性が選ばれました、こうして事件は無事解決したのです」

 

そんなに来たの⁉という事は見返りが相当良かったという事か⁉︎


〈報奨金と王家秘蔵の品が商品として出る〉といっていたからな。


「そんなに高額な賞金と豪華な商品が出たのですか?」


「いえ、そんな事はありません。我が国の財政状況は非常に厳しく


とても高額な賞金を出せる余裕は無いのです。


ですから賞金は三文、商品は王家のマークが入ったボールペンとステッカーを用意したのです」

 

ショボい、賞金三文って……子供のお小遣いとかじゃないのだから


ていうかこの国の通貨単位って文なの?それに今時ボールペンとステッカーって……


でも待てよ、そんなショボい見返りで一万二千通もの応募があるとも思えない


だとすると残ったもう一つが目当てという事になるな。〈豪華特典〉とは?


「あと残りの豪華特典というのは何だったのですか?」

 

そんな俺の質問に対し、なぜか恥ずかしそうに口ごもり、顔を背ける王女様、何だ?


俺、また何か言ってしまったのか?

 

すると王女様に変わり,バローが説明を始めた。


「豪華特典というのはですな〈王女様が一日恋人になってくれる〉という特典なのです」

 

ソレダ‼間違いない、そしてバローは興奮気味に話を続けた。


「王女様は三年連続で国民人気投票 断トツの一位ですからな。


〇〇坂48でいえば不動のセンターなのです」

 

おお~さすが王女様、この国では人気投票とかやっているのか


しかし不動のセンターって?王女様は何のユニット入っているのですか?


ファンクラブ会員募集していますか?

 

そして再び王女様が語り始めた。


「先ほども言いましたが我が国の財政は非常に厳しい状況で、大した見返りもできなかったのです


にもかかわらずこの国を愛する国民の思いは私たちを救ってくれました


国民の愛国心には頭が下がります、私は本当に良い民を持ちました


彼らは無償の愛を提供してくれたのです


私はそんな国民の愛に応えたいと常々思っているのですよ」


いや、国民が愛しているのは国ではなくあなただと思いますが……


それはおそらく愛国心とか無償の愛とは程遠い〈亡者達の欲望〉に突き動かされた事は間違いないでしょう


ボールペン&ステッカーというハッピーセットだけだったら、多分三通くらいしか来なかったでしょうから


まあそのあたりを追及はしませんが。


「そんなことがあったのですか、犯人はどんな人物で何が犯行動機だったのですか?」


「犯人はアルセーヌ・五右衛門という人物でした」

 

その名前を聞いた瞬間、サーラがビクッと反応し両目を見開いて俺の顔を見つめた


何だ、この反応は?もしかしてサーラの知り合いなのか?


「その人物は連日の就職活動にもかかわらず中々職に就けず


鬱屈した毎日を過ごしていたそうです。


命がけで覚えたというサムターン回しを発揮できる機会もなく


〈むしゃくしゃしてやった〉と犯行動機を述べております」


間違いない、そいつサーラにサムターン回しを伝授した男だな


しかし〈むしゃくしゃしてやった〉って……犯行動機としては一番しょうもない理由じゃねーか


職に就けず鬱屈していたというのは、どこか共感できるが。


「で、その犯人を見つけた人物というのは?」


「それがその犯人の兄、つまりお兄さんだったのです。


中々就職できない弟の事を随分と心配ししていた様です


しかしついに弟が罪を犯してしまい、悩み抜いたそうですが


〈犯罪にに手を染めてしまった弟を許すことはできない、俺の正義が許せない‼〉と決断したそうです」

 

何だろう、凄く犯人側に感情移入してしまうぞ⁉︎


なんだかんだ言ってもそいつは結局、弟を売って王女様とデートしているじゃねーか⁉


何が〈犯罪にに手を染めてしまった弟を許すことはできない、俺の正義が許せない‼〉だ


美人の前でカッコつけて自分を正当化しているだけの話だろうが


茶番もいい加減にしろ、俺の目は誤魔化せないぞ、何故ならお前は俺と同じ匂いがするからだ。

 

しかし考えてみれば身内を売ってしまう程、この王女様は魔性の魅力があるという事だ


確かにそれは理解できる、何しろ俺の本能が〈この王女は危険だ、これ以上近づくな〉と再三告げている。

 

しかしそれと同時に、俺の煩悩が〈この王女とどうしてもお近づきになりたい〉と訴えている


何という愛のパラドックス、どうやら俺はとんでもない愛の迷宮に迷い込んでしまったようだ


しかし困ったな、皆の前でこの事件の犯人を突き止めれば合法的に王女とデートができる


そして俺はその真犯人を知っている、一見何の問題も無いように見える


しかし、一つだけ問題があるとすればその犯人が俺だという事だけである。

 

もし俺が命がけの恋を貫こうとした場合、そんな俺を待っているのは王女様ではなくギロチンだ


仕方がない、ここは戦略的撤退だ。俺がそんな事を考えていた時


バローの爺さんが俺の顔をジッと覗き込んできた。


「勇者様、貴方何か知っていますね?」

 

何だこのジジイ、頭も性格もおかしい癖に、変に勘だけ鋭いな⁉


「何の事ですか?私にはあなたの言っている意味がサッパリわかりませんが」

 

するとバローはニヤリと笑い妙に高い声で話し始めた。


「あれれ~何かおかしいぞ~このお兄ちゃん、何かかくしているぞ~」

 

どこまでもイラつかせるジジイである、しかし証拠はないはず、あくまで冷静に……だ


「嫌ですね~そんな意味不明な事を言われても、私には何の事やら


私が何かを隠しているというのであれば証拠を見せてくださいよ、証拠を」

 

このやり取りを聞いていた他の重鎮が俺を庇う様に口を挟んできた。


「そうですぞバロー殿、何の証拠もないのに勇者様を疑う様な言動は控えられた方が……」

 

するとバローの目つきを鋭く変わり、瞬時に反論する。


「バーロー、犯罪者に勇者も魔王もないんだよ、真実はいつも一つなのだ‼」

 

どこの迷宮無しの名探偵だ、コイツ?

 

その瞬間である、サーラの甲高い声が重い空気を切り裂いた。


「もういいです、シンジさん‼私を庇ってくれなくても


スミマセン、今まで黙っていましたが、私がやりました、その置物を壊したのは私なのです‼」

 

サーラはこれ以上黙っている事に耐えられなくなったようだ


〈良心の呵責〉というやつだろう、彼女は涙をボロボロと流しながら頭を深々と下げた。


「サーラさんが?一体どうして……」

 

不思議そうに王女が訊ねる、するとサーラは正直に事の成り行きを説明し始めた。


「そういう事でしたか……しかし困りましたね、ワザとであれ事故であれ


壊れてしまったことは事実です、隣国に対してどう対応したものやら……」


すると再びバローが口を挟んだ。


「王女様、隣国との良好な関係を継続するためにはこの娘をギロチンにかけ


その首を相手に差し出す以外ございませんぞ、そもそもその娘の話には怪しい点があります


笛を探していたと言いましたが、何故そんな物を探すのになぜ地下の宝物庫に行くのですか?」

 

さすがに俺もこの発言は看過できない為すぐに反論した。


「いや、貴方が教えてくれたのでしょうが⁉笛ならB1倉庫にあるから勝手に持っていけって


だから俺達は地下倉庫に行ったのですよ。それを……」

 

するとバローはニヤリと不敵な笑みを浮かべた、もうコイツの態度には怒りしか沸いてこない。


「フッ、ついにボロを出しましたな。普通B1倉庫と言えばビュッフェ用の食材が置いてある


南館第一倉庫の事に決まっているでしょうが‼」

 

決まってねーよ、どこの普通だそれは?コイツに聞いたのが一番の間違いだった様だ。


「わかりました……わた、私の命で戦争が回避できるのでしたら


私の首をはねてください……」

 

サーラはガタガタと震えながら絞り出すように言葉を発した


無理もないこんな年端のいかぬ少女がギロチンにかけられるというのである


しかしさすがにここで黙っていたら俺は最低最悪の人間になってしまう


仕方がない、真実を話すか。


「犯人はサーラじゃない、俺が真犯人ですよ」

 

俺の発言に一同がどよめく、サーラも驚いた表情で俺を見つめていた。


「いいのですよシンジさん、私をかばって罪を被ろうなんて


ガラにもない事しないでください‼」

 

ガラにもないって……まあおっしゃる通りなのですが


残念ながら決して嘘をついている訳では無いのが理由です、誠に申し訳ありません。


「勇者様、一体どういう事なのですか?」


「言葉のとおりですよ王女様、その置物を壊したのは俺です、それが真実なのです


別にサーラを庇っている訳ではありません」


「止めてくださいよシンジさん、それは私が壊したんです、貴方も見ていたじゃないですか⁉」


涙目で訴えかけてくるサーラ、その姿必至なを見て流石に申し訳ない気持ちでいっぱいになった


すると再びバローが口を挟んできた


「そうですぞ勇者殿、真実はいつも一つ、その娘は絶対にギロチンにかけないといけないのです


そう、それこそが天の意志、正に運命と書いてさだめと読む悲劇


その少女の尊い犠牲を持って、この物語は美しく完結するのです‼」

 

目を血走らせながら熱弁を振るうバロー。アンタ一体何のスイッチが入った?


こうして俺たちはまだ何も活躍していないまま最大のピンチを迎えたのである。




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