俺は次の戦いへと向かう
完全に俺の軍門に降った自称最高神バルド。ここで俺はトドメの言葉を投げかけた
「まあアンタがそこまで言うのであればこちらとしても事を公にせず内密にしておく事もやぶさかではない
問題を大きくしても俺に得があるわけじゃないしな。だがそれはもちろんアンタの誠意次第ということになる
わかっているとは思うけれどな」
〈もちろんじゃ、何せワシらはマブダチだからの。親愛なる同志シンジ君
心の友として協力は惜しまないぞい‼」
相変わらずの変わり身の早さ、ある意味感心するぜ。
「じゃあ早速、戦闘に役に立つアプリ〈モンスター図鑑〉の使い方を教えてくれ」
〈ああわかった、その〈モンスター図鑑〉というアプリは名前や画像で検索すれば
そのモンスターの特性を細かく教えてくれるという優れモノじゃ〉
「名前や画像?じゃあ音声認識や画像検索が可能って事なのか?」
〈平たく言えばそういう事じゃ。音声は画面のマイクの部分をクリックして
調べたいモンスターの名前を言えば、そのアプリが回答してくれる
画像検索も同様でスマホのカメラで撮った画像をそのアプリ内で検索すれば正確な回答を教えてくれる〉
「へえ~凄いじゃないか、そのぐらい簡単ならば戦闘中でも使えそうだし
今ちょっと試してみるかな」
俺は〈モンスター図鑑〉のアプリを起動しスマホ画面のマイク部をクリックした。
「じゃあ、まずは手始めに、【ゴブリン】で」
するとアプリはカタコトの言葉でちゃんと答えてくれたのである。
〔ゴブリン 属性ハ亜人 体ハ小サク知能モ低イガ群レデ行動スル事ガ多ク
武器ヲ使用シタ集団戦法ヲ得意トスル〕
「おおぉぉ~~これは凄い、じゃあ今度は画像検索を使ってみるか」
俺はそばにいた魔犬をカメラで撮り、その画像を使って検索をかけてみた。
「カースド・マッド・セメタリードッグ 属性ハ魔犬 俊敏性ニ優レ 集団デノ狩リヲ得意トシテイル」
「おおぉぉ~~凄い凄い、ちゃんと機能しているじゃないか⁉
それにしてもこの魔犬、正式名はカースド・マッド・セメタリードッグというのか
〔呪われた墓場の狂犬〕という意味だな。なんか凄く雰囲気出ていてカッコいいじゃん
ちょっと名前が長いけど」
俺が魔犬の名前に感動しているのを見て魔犬達は頭をかいて照れていた。
「シンジさん、この魔犬の正式名称はカースドマッドセメタリードッグですが
なにぶん長いので皆略称で呼ぶんです、それぞれの頭文字をとって〔かませ犬〕呼ばれているんですよ」
台無しだ……誰だ、そんなニックネームを付けたのは?
「シンジさんはかませ犬を撃退したので〔かませ犬スレイヤー〕ですね⁉」
無垢な笑顔でニッコリと笑いかけてくるサーラ、しかしそんなニックネーム、ちっとも嬉しくない。
「おおぉぉ~~かませ犬スレイヤーだ‼」
「俺達にはかませ犬スレイヤーついている、もう怖いモノなんてないぜ‼」
「勇者かませ犬スレイヤー、後々まで語り継がれる事になるだろうな‼」
なんだかわからないが変に盛り上がり始めた村人たち
だけどそんな不名誉な二つ名はいらない、ドラゴンスレイヤーとかならともかく、かませ犬スレイヤーって……
「シンジさん、私もこれから〔かませ犬スレイヤーさん〕とお呼びしましょうか⁉」
「頼むから普通にシンジって呼んで」
何だかわからないが急激に疲れた、しかしサーラの笑顔には何処か癒されるなぁ……
そうだ、このアプリでサーラを検索したらどうなるのだろう?
戦闘には関係ないがちょっと興味が湧いてきて、俺はスマホのカメラをサーラに向ける。
「ちょ、ちょっと何ですか急に⁉止めてくださいよ、恥ずかしいです」
いきなりカメラを向けられたサーラは戸惑いながら恥ずかしそうな表情を浮かべた
しかし、しっかりとキメ顔をしながら両手でハートを作りポーズをとっていた
小さくてもやっぱり女の子なんだな……
俺は早速サーラを取った画像を〈モンスター図鑑〉のアプリで検索してみた。
〔サーラ 属性ハ天使 小柄ナガラ非常ニキュートデプリティー
個人的ニハ ゴスロリファッションガ似合ウト思ウノデ 是非見テミタイ〕
何だコイツ、ゴスロリファッションで見たみたいとか言い出したぞ⁉
アプリの癖に個人的な好みを押し付けてきやがった
バルドと同様ロクなモンじゃないな、まあサーラは褒められて嬉しそうだし、良しとするか……
「シンジさん、このアプリ凄いですね⁉ちなみにシンジさんを検索したらどうなるのでしょうか?
一度やってみましょうよ‼」
アプリに褒められたのがよほど嬉しかったのか、やや興奮気味のサーラ
ここで拒絶すると空気を読まないと言われかねないし、勇者として器の大きさを見せておくか。
「しょうがないな、じゃあ自撮りして検索してみるか……」
俺は早速、自撮り画像をアプリで検索した。どんなカッコいい事を言ってくれるのか楽しみではある。
〔松岡真二 属性ハクズ人間 三流大学ノ受験ニモ失敗シ 現在二浪ノ引キコモリ
ニートノ癖ニ妄想ダケハ一丁前デ 自分ヲ勇者ダト勘違イシテイル痛イ奴 プゲラww〕
「ちょ、おま、ふざけるなよこの糞アプリが‼プログラムの分際で、誰が痛い奴だコラ‼︎
しかも最後にプゲラwwとか、今すぐ削除してやる‼」
人間様をナメたらどうなるかを思い知らせてやる、俺はやる時はやる男だ。
俺は怒りのままにこのアプリを削除しようとしたのだが、それを見たサーラが必死で止めた。
「止めてくださいシンジさん、一時の感情に流されてはいけません
このアプリは今後の戦闘で役に立つはずです、気持ちはわかりますが、ここはグッと堪えてください‼」
サーラの必死の説得に俺は我に返った。
そうだな、今後を考えれば感情的になってこのアプリを削除するのは愚策と言える
落ち着け俺、クールにそしてエレガントにだ。
「わかったよサーラ、引き止めてくれてありがとう。感情的になって削除してしまう所だったよ」
「いえお礼なんて、シンジさんの為になったなら嬉しいです
このアプリは私を褒めてくれたので削除するには忍びなくて……
それにしてもシンジさんの事を引き籠りニートは言いすぎですよね⁉
シンジさんが痛い奴なのは認めますが決して引き籠りニートと同じ扱いとは流石に失礼ですよ‼︎」
ニコリと眩しい笑顔を向けるサーラ。だけどちょっと待て、痛い奴なの俺?
むしろ引き籠りニートを肯定してもいいからそこは否定してほしかったんだけど
あと自分が褒められたらそれでいいのかい、サーラさん?
複雑な思いをの飲み込みながら俺はスマホを握り締めアプリに向かって語りかけた。
「おい糞アプリ、今回はサーラに免じて許してやるからありがたく思え
でも今後ナメた口をきいたら速攻で削除するから覚悟しろよ、命拾いしたな‼」
言ってやった、ハッキリと言ってやったぜ。俺は勇者シンジ、反撃してこない相手にはトコトン強い男だ。
「ウルサイ糞ニート 汚レノ癖ニ調子ニ乗ルナ ソレトヤッパリ サーラハ天使」
「この糞アプリ、今すぐ削除してやる‼」
「止めてくださいシンジさん、この子は私を褒めてくれたんです、だから削除は止めてあげて‼」
今すぐにでも削除しようとする俺を必死で引き止めるサーラ
この茶番の様なやり取りは夜更けまで続いた。
一夜明け落ち着きを取り戻した俺は改めて村長に話を聞くことにした。
「昨夜の話なのですが、森から来襲するモンスターへの対応ですよね?
今まで国軍に出撃要請とかしなかったのですか?」
「要請はしているし国軍も駆け付けてくれるのじゃが
なにぶんゴブリンジャイアントが来るのは決まって深夜でな
国軍が駆けつけて来る頃にはもう森に帰ってしまっているのじゃ
だから我らも自警団を結成し備えているのじゃが、この村は森に囲まれていて
ゴブリンジャイアントが何処から現れるのかさっぱりわからん
そして奴が現れた時、それを伝える連絡手段が無いのじゃ
だからいつもいつも後手に回ってしまっていてな、連絡を受けた頃にはもう間に合わない事がほとんどなのじゃ」
そうか、まずは緊急を伝える連絡手段の確保から始めないといけない訳だな、そういう事なら……
「ゴブリンジャイアントが現れたら狼煙を上げるとか火をたくとかの手段で皆に知らせるいうのはどうでしょうか?」
「う~ん、さっきも言いましたがゴブリンジャイアントが現れるのは大体深夜だからのう
狼煙などを上げても他の者は気が付かないだろうしのう……」
「じゃあ矢倉を組んで高い位置から半鐘を鳴らして皆に知らせるというのは?」
「突然襲ってきたゴブリンジャイアントから逃げるので精一杯じゃからな
矢倉に上って鐘を鳴らす余裕はないじゃろうて。
そもそもゴブリンジャイアントが矢倉を壊してしまうじゃろうし……」
う~ん困ったな、いきなり暗礁に乗り上げてしまった……
いや待てよ、ゴブリンジャイアントが現れたら村人は逃げ出すしかない、それならば逆にそれを利用できないか?
「村長、ならばこれならどうでしょうか?ゴブリンジャイアントが現れたら
その家で一番
足の速い者が次の家に走って行きそれを知らせる、それを聞いた者が更に次の家に
それを伝える、そうやって次々と伝達していけばかなり早い段階で知らせを受けることができますよね⁉」
「おお~~それはいい考えじゃ、さすがは勇者様。その作戦で行きましょう‼」
「私もしばらくはこの村に滞在させていただきます、村の中心にいれば
ゴブリンジャイアントが何処から現れても早急な対応ができるはずです」
「ありがたい、ではワシの家に来てくだされ、ワシの家は村の中心部の
Dブロックにありますからちょうどいいと思います」
「Dブロック?この村はブロック別に区分けされているのですか?」
「いやワシの地区の正式名称が〔田園調布地区〕というのだが、面倒臭いからDブロックと呼んでいるだけじゃ」
随分と良い所にお住いの様で……
さてゴブリンジャイアントは深夜に現れるとの事だから夜中に備えて早めに寝るとするか
昼間寝て夜中起きているというのは俺の超得意分野だ。
そんな時、俺よりも年下と思われる一人の若者が何やら深刻な表情で俺に近づいて来たのである。
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