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俺は神を論破した

俺がそんな現実と二次元の間で葛藤を繰り広げていた時


再び村長が近づいてきて俺に話しかけてきた。


「ちょっといいですか勇者様、折り入ってお話があるのですが」


「何ですか村長、改まって?」


「実は我々の村にはもう一つ大きな問題が未解決のままあるのですじゃ


この村の裏手に〈コーカスの大森林〉という森が、広がっているのですが


ここには数種類のモンスターが生息しており、度々村に降りてきては悪さをするのです


夜にこっそりと現れては畑などを荒らして帰っていくといった具合に


だから我々が慌てて援軍を要請しても国軍の兵士たちが来る頃には


もうすでにモンスター達は森に返ってしまっているという次第でして


ですから勇者様に何か良い知恵をお貸しいただくか


しばらくここに留まって森からのモンスターを撃退してほしいのですじゃ」


なるほど、イノシシや猿の様な獣害が出ているという訳か


魔犬問題が解決したので次の問題に対処しようという事だな、それぐらいの事なら簡単に……


いやちょっと待てよ、この村長もバルドのジジイと同じで中々の食わせ者だ


一応念の為に聞いておくとするか。


「その〈コーカスの大森林〉という森にはどのようなモンスターが生息しているのですか?」


「なあに心配いらぬ、大したモンスターはおりませんぞ


ゴブリンとかスライムとかスケルトンとかインドミナス・レックスとか弱いモンスターしかおりませんぞ」


「おい、ちょっと待て。今最後にサラッと変な名前のモンスターが混じってなかったか?


しかも一種類だけ随分と毛色の違うとんでもない奴が⁉」


「何の事ですかな?勇者様ともあろうお方がゴブリンやスライムが怖いのですか?」

 

このメンディジジイ、あくまですっとぼけるつもりの様だな。

 

さらに村長は話を続けた。


「この森に凶悪な大型モンスターは殆どおらぬ、昔はいたらしいのじゃが


今はほぼ生息していない状態なのじゃ、何故だかはわからないが……だから安心してくだされ」


「いや、それ食われているよ‼︎大型モンスターは全部インドミナス・レックスに食われたんだよ


凶悪なモンスターはほぼ居なくなってもとびっきり凶悪な奴が残っているじゃん、ダメでしょそれ⁉」


村長はもう誤魔化すのは無理と考えたのか、チッと舌打ちした後、再び話始めた。


「確かに〈コーカスの大森林〉にはとびっきり凶悪なインドミナス・レックスが生息しておる


しかし奴は村には降りては来ない。なぜならば昔に高名な魔法使いが相手をして


その戦いでインドミナス・レックスは命からがら森に逃げ帰ったと伝えられていてな


それ以来、頭の良い奴は絶対に村に降りてくることがなくなったそうじゃ」

 

なるほど、まあそういう事なら協力することもやぶさかではないか。


「話は分かりました、そういう事でしたら私も協力しましょう


ですが油断はできません、ゴブリンは単体ならば大して強くありませんが集団行動をとることが多く


数が集まればかなり厄介な敵です。スライムは剣などの物理攻撃が効きにくく


魔法やアイテムなどで攻撃する必要があるでしょう。


そしてスケルトンは最下級とはいえアンデッド、完全にバラバラにしてしまわないと


活動を停止させられないという点でも厄介な相手と言えますから」


俺の話に〈おおーー‼〉と感心する村人たち。


「さすがは勇者様だ」


「勇者様がいればゴブリンやスライムなんて怖くないぜ」


「我々はどこまでも勇者様とこくらゆいについていきますぞ‼」


いい反応だ。俺はこの日の為にあえて勉強をせず、ゲームをしたり、ラノベを読んでいたのだ


怠惰とは明らかに違う、そうあれは崇高な行為だったと自負するものである‼


「勇者様、どうかこの村を救ってくだされ」

 

村長が俺の手を握り、大粒の涙を流しながら訴えてきた


ただ今までの事があるので、どこか芝居じみたものに見えてしまう


いかんいかん、人をそんな風に疑っては。村長は純粋に村を救いたいという一心で涙ながらにお願いしてきているのだ


男の涙というモノはそんなに軽いモノではない……はずである


それにしてもなぜ村長は右手に玉ねぎを持っているのだろうか?今夜のメニューはカレーなのかな?


村長は顔を上げ帰ろうとした時、去り際にボソリと俺に告げた。


「勇者様、一つ言い忘れておりましたが、ゴブリンの中に非常に強力な力を持った亜種


〈ゴブリンジャイアント〉という奴がおりましてな、ゴブリンの癖に背が高く2m近い巨体の持ち主で


その体を使った怪力で暴れまわるという非常に厄介な奴なのです


どうかお気をつけてくだされ


ちなみに村の被害のほとんどはコイツによるモノなのです、じゃあよろしく頼みましたぞ」


村長はそう言ってそそくさと帰って行った。このメンディジジイ、いちいち情報を小出しにしやがって……


俺が断らないとわかった途端、本当の情報を出しやがった


本当に食えないジジイだな。しょうがない、こちらも万全の態勢で迎え撃つか


それにはもう一人のジジイに連絡をしないとな。


俺はおもむろにスマホを取り出した。


〈何じゃ今度は?ワシも暇ではないのだぞ⁉〉


「うるせーよ。アンタに聞きたいのは、このスマホに入っているアプリの機能の事だ


どの様なアプリが入っていて何の役に立つのか、それを聞きたい」


〈う~ん、教えてやりたいのは山々じゃが、今は立て込んでおる


アプリの説明ならそのスマホに説明用のアプリが入っておるからそれを見ろ


ワシは今忙しいから切るぞ⁉〉


バルドの後ろからかすかに聞こえる音が俺を苛立たせた。


何が立て込んでいるだ、トラ〇セ〇ルのライブDVD見ているんじゃねーか


こっちは命がけで戦おうって時にこの糞ジジイ

 

俺は込み上げる怒りを押し殺しスマホを開くが説明アプリがどれなのかサッパリわからない


バルドのジジイが役に立たないとなれば自力で調べる他ない


仕方がないのでスマホ本体を使って検索をかけることにした。


「え~っと、〈アプリ〉 〈戦闘〉 と検索すれば出てくるかな……げげっ」

 

俺が〈アプリ〉と検索するためにカタカナで〈ア〉と入力した際


検索ワードのトップに〈アナル巨乳〉と出てきたのだ


あのスケベジジイ何を見てやがる、ちゃんと検索履歴を消しておけよ


全く、ジジイの性癖とか全く知りたくもない情報が頭に流れ込んできて不快の一言である。


検索をかけると〈神様ちゃんねる〉という言葉が出てきたので画面に戻ると


確かにスマホ画面の右上に〈神様ちゃんねる〉というアプリが入っていた


どうやらこれの様だ、俺はすかさず指でクリックしそのアプリを開いた


するとかしこまったバルドが丁寧にお辞儀をしながら挨拶している動画が出てきた


先程の検索ワードの事を思い出すと神様どころか単なるピエロだがそこは華麗にスルーだ


俺はその動画を食い入るように見つめる、何せこっちは命がかかっているのだ。


「え~この度、私が開設した神様ちゃんねるの動画を見ていただいてありがとうございます


この動画は戦闘に役に立つアプリの紹介とその操作方法について説明いたします


戦闘に役立つアプリ、ランキング一位は〈モンスター図鑑〉じゃ


これは全てのモンスターの特徴や性質、弱点などを調べることができる画期的なアプリなのじゃ


その使い方も実に簡単で……」

 

さあこれからアプリの説明というところでなぜか動画が途中で静止状態になってしまった。


何だ、またフリーズか?肝心なところで、全くどうなってやがる

 

しかし次の瞬間、画面が切り替わり再びバルドがにこやかに挨拶をしてきた。


「え~無料の放送はここまでです、ここから先は有料チャンネルとなります


続きを見たい方は月額たったの三千五百円で会員登録をしていただければ見られますので


よろしくお願いします。それとヨウチューベの方でも動画を上げておりますので


そちらの方もチャンネル登録と高評価の方をお願いします、ではまた」

 

そう言い残しバルドの動画は終わった。


「ふざけるなコラ‼︎有料とか何言ってやがる、しかも月額三千五百円とか高けーよ‼って

 

ツッコミ所が多すぎて追い付かないじゃねーか⁉」

 

俺は怒りに任せて再びバルドに電話をした、何度もコール音が鳴るが中々でない


「あの糞ジジイ、まだDVD見てやがるな」

 

ようやく電話に出たバルド、しかし明らかに面倒臭そうな口調で出てきたのだ。


〈今忙しいと言っておるじゃろ、全く何度も何度も……で、今度は一体何の用じゃ?〉

 

そんな態度が益々俺を苛立たせた、あ~殴りてえ……この自称最高神のクソジジイに神の鉄槌を食らわしてやりてぇ


「おいジジイ、そんな態度とっていいのか?お前が職務をさぼってトラ〇セ〇ルのDVD見ていたと上にバラすぞ⁉」


〈うっ、何の事じゃ?ワシにはさっぱりわからんがな


それに何度も何度も同じ手でワシを脅迫しようとしても無駄じゃ


もうワシは絶対に脅しには屈しないぞ。やりたければやるがよい、上にでも何でも報告すればよかろう‼〉

 

何だ?珍しく開き直ったぞ、このジジイ。DVD鑑賞を邪魔されて逆切れか?


大体何度も何度も同じ手で……って、そもそもアンタが毎度毎度、同じ失態をしいてるからじゃねーか⁉


このジジイ、モノ凄い棚の上げ方するな。しかし今はそんな事を言っている場合ではない


仕方がない、使いたくはなかったが最後の切り札を使うか……


「なあバルドさんよ、俺にそんな口きいていいのか?」


〈何じゃ⁉︎脅しても無駄じゃと言っておるのじゃ


このワシを脅すとは神をも恐れぬ所業じゃがワシは絶対に脅しには屈しないぞ‼〉


「さっきアンタに言われてこのスマホで検索したんだが、カタカナのアと入れた時点で


検索ワードに〈アナル巨乳〉って出たんだが、もちろん心当たりあるよな?」


〈……〉


「ちなみにその画面はスクショで撮って保存してあるし、念の為クラウドにも上げておいた


確かこのスマホのクラウドってアンタの管轄外だよな?もみ消しとか考えているのなら無駄だぜ」


〈何を言っているのかサッパリわからないのう、シンジ君が自分で入力したんじゃないのかい?〉


「この問題のワードでいつ検索したか?調べればすぐわかるだろ


だったらこれを検索したのが俺じゃない事はすぐにバレるぜ⁉


散々見苦しく犯行を否認しておいて、決定的証拠を突き付けられたら観念して白状するって


一番マズいパターンじゃねえの?裁判なら〈反省の色が見えない為、情状酌量の余地なし〉ってやつだな


まあどちらを選ぶのかはアンタだから好きにしな」


〈……〉


完全に沈黙してしまったバルド、おそらく今頭の中で必死に保身の方法を探っているのだろう。


もはや完全に勝敗は決した。


「どうしたバルドさんよ、何ならこの事を王女様にリークしようか?


あの人はこの手のいやらしい事が大嫌いだから、すぐにでも神様倫理委員会に提訴してくれるぜ


しかもこのスマホって確か仕事上の公的な物としても使っていたはずだよな?


それを使ってエロサイトを見ていたなんて事が上にバレたらアンタの処分はどうなるのだろう?


それを考えただけで俺はアンタの事が心配で心配で夜も眠れないよ


でも規則と風紀は守らなきゃならないからな。俺も私情を捨てて

上に報告するよ


本当はそんな事やりたくない、やりたくはないんだけどね」


しばらく無言のまま言葉を発することの無かったバルドだったが


意を決したかのように猫撫で声で話し始めた


〈シンジ君。我々はもっと理解を深めて、いつまでもよい関係を築けていけると思うのだが、どうだろうか?〉


神が脅しに屈した瞬間だった。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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