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ぱちぱち、と火の音だけが聞こえる。
感情の無い、更には僕を余裕で見下ろすくらい身長の高い人に見下されている。
はっきり言って怖い。でも、帰りたくない。
目の前にいる幽霊よりも、外の方が僕は怖かった。
「………おーい、子供にそんなにガン飛ばすなよ。大人気なさすぎるぞー」
「…ふん」
もう1人の軍人さんの言葉で、外套の軍人さんは僕を見下ろすのを辞めてくれた。
正直な話、あんな目で見られたのは初めてで、怖くてドキドキしてた。なんていうか、流石大戦で戦っていた人だなぁ…
「ごめんごめん、ここに留まりたいって言う人は偶にいてな。大抵はあいつにガン飛ばされたら止めてくれるから…」
「そ、そうなんですか」
「…どうして外に帰りたくないんだ?」
「……そ、れは…」
言いたくない、言いたくない、言いたくない。
言っても受け入れられない、きっと。
…この人達もきっと……
「……………」
あからさまに暗い顔をする少年。
身長はそこそこあるが、無造作に括られた白い髪、弱気な青い目、良く言えば儚い印象を持つ自分達よりもずっと幼い子供。
言いたくない事を言わせるのは、流石に憚られた。
そっぽを向いた相方の方に目を向けると、不機嫌を隠そうともしないでむくれていた。
「ま、言いたくないならいいさ。俺にもこいつにも、言いたくないことなんて山ほどあるからな」
「…いえ」
「そういや、名前聞いてなかったな?俺はルカ。君は?」
「僕は………レクトと言います」
相方が少年の方を見る。俺とレクト君も相方の方を見…るが、少年を見たまま話さない。
レクト君は相方が自己紹介するのを待ってるんだろうが…いやまあこいつがこういう態度なのは今に始まったことでは無いんだけど。
「おーい、お前の番だぞー。ていうか話してくれるの待ってるじゃん、レクト君」
「すぐ出ていく奴に名乗る必要性はあるのか?」
「なんでさも当たり前なんですけど?みたいな顔してんの?」
「俺は自分の名前が嫌いだから呼ぶなら適当に呼べ」
流石にレクト君が動揺した。そりゃそうだよな、自分の名前が嫌いだからって理由で年上に適当に呼べとか。俺もそう思う。
「えっ……でも…」
「いいよいいよ、今まで迷い込んできた人に対しても同じ事言って来たから…」
「じゃあその…軍人さん…て、呼びますね?」
「好きにしろ」
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