西条索人の入院生活
事故から1週間後、俺は自分の身体が異常に発達していることに気付いた。
初めは、食事の匂いを嗅いだ時だった。
目を覚まして、個人部屋を使用していたが食事の時間に近づくと、部屋が密閉されている状態でも外からの匂いから、その日の入院食を当てることができた。
そして、人の匂い、ベッドの匂い、窓を開けると自然の匂い、都会の匂いなど、色々な匂いを認知できるようになった。
匂いに敏感になって、最も苦労したのはトイレの匂いだ。
人間の排泄物がこんなに臭いとは想像もしなかった。
それから、俺は病院で鼻栓をしながら生活するようになった。
お陰で多少、一般的な入院生活を送れたが、それでも微かな匂いは入ってきて大変だった。
それから俺はたった1週間でほとんどの怪我を奇跡的に回復し、リハビリができるようになった。
担当医からも、あの事故から1週間でリハビリができるようになるなんてありえないと言われていた程だ。
鼻栓をしながら、歩行のリハビリをして思ったことは身体の内側から力が溢れていることだ。
リハビリを初めて、たった3日で走れるようになった。勿論、鼻栓をしながらのランニングだったが、その日は朝食後から昼食までの2時間の間、休まずずっと病院内の敷地を走った。
入院生活中、鼻栓をしながら走っている俺の姿を見た子供に「鼻栓おじさん」と呼ばれたりもした。
俺はまだ、24歳だっつーの!、おじさんじゃねぇ!
そして、リハビリ開始後、たった5日、事故から12日で俺は退院して、両親が待っている実家に戻った。
入院生活中に気付いた、俺の身体の変化をまとめると、1つ目は匂いに非常に敏感になっていること。2つ目は身体から力が溢れていること。3つ目は鼻栓をしながら2時間走れた点から、肺活量が異常になったと推測できた。
自分の身体が異常になったのは「白い世界」が原因だと考えた俺は、退院後、携帯で「白い世界」についての情報を検索したが意味不明な求人サイトや、海外の宗教がでたりと、結局、有益な情報は何も掴めなかった。
結局、死の淵で経験した「白い世界」はなんだったのだろうか・・・?
がんばります