最終章 儀式 『三度目の審判』解釈
~『三度目の審判』全文~
その神が初めてこの地に降り立った時、無力な人間達に己の身を削りて魔力を与え給うた。
二度目に神が降り立った時、魔力に溺れる哀れな人間達に怒りし神は、豊かな土地を二つに切り裂いた。
神は投げ掛けた。
次に我が降り立つ時、お前達が見るのは慈愛か残虐か………
その日を楽しみにしていると。
~『三度目の審判』解釈~
今から二千年前、神と呼ぶべき我らが教祖様が初めてこの世に生誕した。
魔力を持たない我々人間達に己の血を与えて魔力を授けた。
しかし、愚かな人間共はその亡骸から血を抜き取り、多くの者に死を与えた。
それから千年、再びこの地に降り立った神は魔法の力を過信し争いを繰り返す人間達を見ることになる。
傲慢な人間は世界を二つに分ける壁を作れるかと神に迫った。
必要なのは自分達だけの楽園なのだと……
神は嘆いた。
次に私が生まれし時、この身を投げうる価値のある世界になっているのかと。
願わくば、これ以上私を悲しませないで欲しいと……
諸説あるが、これが我がマフマディー教団に代々伝わる『三度目の審判』の解釈である。
ただ言えることは、魔法は未来永劫に続くものではないということだ。
そこに永遠などはなく、いつかは跡形もなく消えてしまうことを
我々人間は
肝に銘じておかなければならない─────