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さよならにはまだ早い  作者: 岩本ヒロキ
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第2.5話

抑えた手が真っ赤に染まる。


指の間から流れ出る一滴ですら、恋しくて、愛しくて。それでも、必死に押さえても流れ出続けた。

真っ白な制服のシャツを真っ赤に染めるその赤色に、自分だけが取り残される恐怖を感じていた。


赤色の水溜りの中に黒縁のメガネを見つける。

ふと、我に帰る。微かな息が聞こえる。

どれだけ叫んでも、腕の中のその虚ろな目はこちらを見つめ返してはくれなかった。


レンズの汚れたメガネに触る。

間に合え、間に合え。


涙が止まらなかった。

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