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風鈴の巫女  作者: モノクロ信号機
一章 「会いたい」は遠く
5/13

人という天秤



私は、リスクとリターンを天秤にかけて理性的に比べ、未来を見通して選択できる事こそが人間が人間たる証だと考えている。


道なき道を見てはその先を予想し、激しく流れる時を見て己が未来を見定める。


それは犬猫には簡単にはできない事だと私は考えているし、それこそが私達人間の強みだと知っている。

しばしばそれが良くない結果を生み出す事もあるが、それは多くの場合で選択に失敗は付き物だと言い聞かせるしかない。


今、文明的な社会から断絶された私にとっての一番悪い失敗はなんだと問われれば、私は即座に私自身の死に繋がるものが最悪の失敗であると答えるだろう。

もしその結果を避ける事ができるなら、きっとほぼ全ての事柄を天秤の対に置いたところで死へと傾く事はないはずだ。

恐らく全ての人間は、単なる自分の物と自分の命を比べられれば、自分の命を取るに違いない。


私だってそうだ。

生き残るためなら、たとえ重いリスクがあったとしてもそれを飲んで行動するだろう。


…などと、自分に言い訳してみる。

こうやって自己を正当化する事ぐらいしか、私には手段がない。

つらつらと生産性のない考え事をしたが、つまり私が一体何を言いたいのかと言うと。


「ごめんなさい、ごめんなさい…ちょっと借りるだけですから……。」


私は少女の腰に連なったポーチを漁らせてもらう事にした、それだけだ。


何か夜闇を晴らす道具を求めての事である。

既に私の視界は夕闇に閉ざされかけており、

持ってきた蛹も横の地面に一旦置いてしまえば最早どこにも見つける事ができない。

随分と暗くなった空を見れば太陽は木々の奥にその身を半分以上隠し、星すら輝きつつある。

灯りがない現状では夜の帳が落ちればなにも打つ手がない、襲われたって分からない。

そうなってからでは、遅いのだ。


故に、私は他人のポーチを漁っている。

彼女は服に金属が編み込んであったり、弓矢を背負っていたりとサバイバルや野宿など、その手に長けたような格好をしているので火を起こす道具も持っているやもと考えたのだ。


だが、荷物を漁ろうにももはや辺りはかなり暗く、私の目は物の色すら見分ける事ができない。

うすぼんやりと輪郭が見えるのみだ。

私はとにかくポーチに手を突っ込んでは取り出し、片っ端から匂いを嗅いでいった。


彼女の服装から文明を鑑みるに、火起こしの道具を持っているとすれば恐らくライター等の現代的な道具ではなく、火打石かマッチぐらいなのではないだろうか。

そしてそういった道具があるとするなら、使い込まれたそれらは石粉や火薬を連想させるような匂いがするはずだ。

例えば山によく落ちている水晶が混ざった石なんかは、割ればそのような匂いがする。

そういった硬い石は金属に打ち付ける事で火打石となるのだ。

もし、それらを日常的に使っているならば、磨耗したそれらからは必ず特徴的な匂いがするはずだ。


「ん……これ、かな?」


いくつか物の匂いを嗅いで、私はようやくそれらしき物を見つける。


「思ってた物とかなり違うけれど…。」


それは石粉や火薬の匂い等ではなく、どちらかと言うと焼け付いた基板のような焦げ臭い匂いを放っていた。

五角形で、手の平でがっちりと持てるほどの大きさの、ベーゴマのような形をしたからくり仕掛けの小道具に見える。

もしベーゴマとして見るならば破格の大きさだ。

特徴として挙げるなら、横に金属製のつまみのようなものがある点とベーゴマとして見るには軸に当たる部分が判子並みに太く、金属のような物で作られているように見える点だ。


もう一度鼻を近づけてみるが、間違いなくこの小物からは焦げ付いたような匂いがする。


私はつまみをつまんであれこれいじる。

すぐにそれが引っ張ると巻かれたメジャーのような挙動をする事がわかった。

つまみを引くと繋がったワイヤーのようなものが引き出され、カチカチと何か固いもの同士が打ち合う音がなり、つまみを離すと自由になったワイヤーはするすると戻っていく。

引いた時に顔を見せるワイヤーには、かぎ状の金属がずらりと貼られているようで、触った感触は鋭利なジッパーに近い。


「あちっ!」


何度か勢いよく引くと、すぐに変化が現れた。

独楽の軸に当たる部分、金属が赤く輝き熱を持ち始めたのだ。

持ち方を変え、まるで本当にベーゴマを打ち出すような体勢でワイヤーを何度も引く。

金属の軸は十数回も引くと焼け焦げるような臭いと共に赤熱し、赤々と輝きだした。


これなら十分に熱を持っているだろう。

原理はわからないが、やはりこれは火付けの道具で間違いないのだろう。

押し付けて使うようなので、イメージとしてはシガーライターが近いだろうか。


私は川原の石や、川から揚げられていた少し湿っている細かい枝、帰りがけに少しばかり集めていた木の皮、あとは履いている草履から藁を少しだけ拝借し、それらをを簡単に組み合わせ小道具を使って火を起こす。


わが家は田舎にあり、遊び方も限られたものであった。

親随伴の遊びの中で最も楽しいのは火遊びで、その他にもバーベキューなんかのために火を起こす事はよくあった。

都会の人と比べれば、こういった工夫は比較的慣れ親しんだものだ。

流石に少し湿った木材をシガーライターで点火した事はないが…。


十数分ほど挑戦し、ようやく火が点き安定した時分には最早周囲は宵闇に包まれていた。

茂みと河原の間に火をこしらえたので、燃料となる生木は手が届く場所にある。朝まで火は持つだろう。


私は眠っている少女を少しだけ火に近づける。

触った感触は未だ冷たく、死んではいないだろうかと心配になるほどだ。

顔に手をかざすと吐息を感じるので、まだ生きているのだろうが。


生木を燃やしたので、爆ぜる音を立てながら濃い煙が上がっていく。

煙が肺に入れば当然むせかえるが、虫除けにもなるので、これが今のベストだろう。

結局血の付いた服は洗う暇がなく、川が近いというのに血だらけのまま着込むはめとなっている。

白衣は血を吸って黒く染まり最早白とは言えず、肌襦袢も下半身部分はこびりついた血に染色されて清潔とは言いがたい。

血に汚れていない綺麗な服は緋袴だけだ。


「死ぬ…空腹で死んじゃう…。」


ようやく腰を落ち着けると、すぐに目眩を伴うほどの強烈な空腹感が主張を始める。

一般的な感覚で言えば、もう長い間食べていない。

私は横に纏めていた蛹をひとつ手に取る。

幸い、見えない間に逃げ出しているなんて事はなく、行儀よく静かにしていたようだ。

やはり蛹は蛹なのだろう。


手が触れると小さな音をたて静電気が走るが、分かっているので驚きはしない。

危機感を覚えたのか、手の中から逃げようと蛹は跳ねるように動く。


私は焼いて消毒したナイフの刀身に蛹を落とさぬよう置き、火に炙る。

なお激しく暴れた蛹だったが、数秒すればすぐにその体は動かなくなって、代わりに食慾をそそる油を小さく弾けながら吐き出し始めた。

小さいゆえ、存外に熱の回りが早い。

私は火傷する可能性も忘れて、火からあげたそれをそのまま指でつまんで口に運んだ。


「う…凄くおいしい…。」


カリカリに焼いた海老のような感触に、溢れる動物性の油。中は動物の肝のような少しの苦味を感じる。

だが、その苦味が油の旨味をなお引き立てている。

僅かな忌避感こそあれ、一度食べてしまえば気持ち悪さはあまり感じなかった。

むしろすぐにもう一つ食べたくなるほど美味しい、空腹感に苛まれている事を差し引いても十分な味だ。

あっという間に2つ、3つと火にかけて平らげる。


「昆虫食に目覚めそう…塩か、バターがほしい…。」


半分ほど食べた所でようやく人心地つく。

お腹が落ち着いて、物事を考えるだけの余裕が湧いてきたのだ。

すぐに、私はあちこちに引き出した眠る少女の荷物を一ヶ所に纏めた。


彼女から拝借した道具は、とても便利な物だった。あれがなくては今頃私は真っ暗な闇の中で途方に暮れていただろう。

他にも、何か便利な物があるのだろうか?

とにかく、今の私は何もできないのだ。

引き出した物品を少しぐらい改めたって、彼女も許してくれるだろう…。


「……いやいや、何を考えてるの私は…。」


だんだんと自分の罪悪感が薄れている事に私は気付いた。

だめだだめだ。もっと自分を戒めないと、これでは泥棒か蛮族のようではないか。

彼女のポーチに戻すために、適当に道具を纏める。


そんな時、ざわざわと森を揺らして一陣の風が吹き下ろし、通り抜けた。

湿っていて涼しくもない、梅雨の時期に感じるような不快感を伴う風だ。

火から立ち上る煙と灰をその風がさらい、なんの因果か、丁度風下にいた寝ている少女に振りかけた。

湿気を孕んだ空気は、たちどころに灰や煙を重くする。


「ゲホッ!ゴッホ、ゴホ!」


文字どおり、突然舞い降りた災害に寝ていた少女の体が自然に反応する。

その衝撃は、弱っていた意識を覚醒させるに十分だったようだ。


「ゴホ!ケホ!…こ、ここは…?生きてる、苦しくない…?」


目が覚めて、慌てたように周りを見る少女。

喉を押え、体調を確かめるように胸に手を当て、何度か呼吸を繰り返す。

慌ただしく動いていた目が、私をとらえる。

私を見て、彼女は黙りこんだ。

もちろん私も突然の事に思わず黙りこんだ。

焚き火がまた、咳をするように煙を吐き出す。


「あー…、こんばんは?言葉、分かる?」


謎の森での私が他人にかける記念すべき第一声は、そんな言葉だった。




結論から言うと、言葉は通じた。

ただ、ほんの少しだが、違和感を感じる。

私の話している言葉が勝手に翻訳されているような、相手の話す言葉が私の頭の中で勝手に慣れ親しんだ言葉に組み替えられているような…そんな違和感だ。

口の動きと言葉がずれている訳でもないのだが…。


「まさか自分が生きていられるとは思わなかったわ。本当にありがとう。」


「いや、偶然見つけただけですし…。怪我、大丈夫ですか?」


「正直に言うと良くないの。血は止まってるけど、体を動かすのがだるくてしょうがないもの。」


一度は跳ね起きた少女だったが、そのあとすぐに元気を失って倒れてしまった。

今は、寝ていた時と同じように火の近くで横になっている。

体が暖まったお陰か、その顔色には随分と血の気が戻ってきたような気がする。


パチパチと生木が爆ぜる音が、静かな空気を混ぜ返す。

横になっていた少女が落ち着いた、どこか大人びた印象を持つ声音で口を開いた。


「恩人さん、名前を聞いてもいいかな?」


「えと、私の名前、葦切 鈴菜って言うんです。鈴菜が名前です。」


「スズナさんね。私の名前はアジェレナ。他人からはレナって呼ばれてたわ。」


そこでレナは言葉を切る。

この場において、二人が喋らなければ聞こえる音は焚き火と河の流れぐらいなものだ。

また静かに、時が流れる。


不意に、夜空を見上げていたレナの視線がついと私をとらえる。

その瞳には、息を飲むような覚悟の中に僅かな悲壮感をたゆたっていた。


「ごめんなさい、助けてもらったばかりで聞くのは悪いんだけど…あと何日分残ってるの?」


「えっと、食べ物ですか?私も探してるんですが、今は少しの蛹くらいしか――」


「食料の話じゃなくて、金木石の話。あとどれくらい残ってるのか知りたくて。」


「きんもく――ごめんなさい、もう一回言って?」


金木石、とは一体なんだろうか。彼女はさも当然そうに聞いてくるが、少なくとも私はそんな物の名前を聞いた事がないし、欠片も理解が及ばない。

それに、彼女は「あと何日分残っている」と聞いたのだ。推測するにそれは消費物で重要な物資なのだろうが、水と食料以上に優先して貯蓄すべき必須物資とは一体。


私の表情を見て、レナは本当に驚いたようだった。

よっぽど金木石とやらは生き抜くのに大事らしい。


「あなた、金木石を持ってないの?あれはこの森で生きるために必須なのに!?」


「持ってないというよりか、金木石がなんなのかも知らないんだけど……。」


「嘘でしょ……?じゃあなんで私は生きてっ……!」


レナは体を起こそうとして、しかし閉じた傷口が開きかけたのか、痛みに顔をしかめてすぐにもとの体勢に戻る。

私にとって幸いな事に、どうやらその痛みがかえって彼女を落ち着かせたらしく、激しくなりかけた声音はもとの落ち着きを取り戻す。

数度、静かに呼吸してレナはゆっくりと、自身も再確認するように話始めた。


「金木石は、体に溜まる迷宮の瘴気を中和するために必要な石よ。瘴気を中和しなければ人は体の芯から腐って死んでしまうの」


「つまりこの場所は、それが必要な迷宮という事?」


「そう。一口に迷宮と言っても遺跡だったり、森だったり、谷だったり……種類には事欠かないわ。」


瘴気。私は昨日の晩から丁度一日過ごしているが、体が奥が腐っているという感覚も特別ない。

不安にかられ、ついつい二の腕を揉みほぐし、感触を確かめるも違和感はない。

それを見てレナは言った。


「大丈夫よ。腐る時はとても痛いらしいから、痛くなかったらそれは正常ということよ」


「あ、そうなんですか。ちなみになにもしなければ腐り始めるのは何日後くらいに?」


「もし日が出た頃に迷宮に入ったなら、日没には腐り始めるわね」


明らかにおかしい。

それだけ聞くと私は腐り始めているという事になる。だが、実際の私は痛くもなんともないし、おかしな感覚もない。

これは一体どういう事なのか。


レナは自分のこめかみに手をやった。そのままぐりぐりと押し込もうとするが、明らかに力が足りず、マッサージにすらなっていないようだ。


「考えられるとするなら、ここが迷宮でなくなったか……スズナさん、あなたが瘴気をはね除けているかのどちらかよ。」


「私が……はね除けてる?」


そう、とレナは頷く。ただし、自分でも半信半疑なのか、その眉はしかめられている。


「だって、ここに瘴気が漂ってるなら私はすでに死んでるはず。昨日の夜に金木石を食べたっきりだもの。」


「な、なるほど……。」


もう日没はとっくに過ぎている。話が本当なら、彼女は死んでいるか、良くて死ぬほど苦しんでいるのどちらか……。苦しむのは良いとは言えないか。


それにしても、金木石は食べるのものだったのか。石を食べるとは、にわかには信じがたいが。

そういえば、私も土を食べる民族の話を本で読んだ事がある。彼らはそれを食べる事で、栄養分の補給と別の食物に含まれる毒素の分解を両立させるんだとか。似たようなものだろうか。


レナは続けて話す。

正直、これ以上いろいろ聞いても頭がパンクして理解できそうにないのだが。


「ここが迷宮でなくなるのは考えづらいし、私はその線が濃いと思ってる。」


「は、はぁ…。ちなみに迷宮でなくなる、というのは?」


レナはいよいよ私の無知が気になり出したようだった。訝しがりながら、答える。


「この迷宮が破壊されたか、誰かに閉じられたって事よ。……私からも一つ聞いていい?」


「あー……何かな?」


「スズナさん、いつからこの森にいるの?」


どう答えたものか。

多分この質問は、彼女にとって私の正体を見極める重要な質問に違いない。

直前の怪しむような目線が、それを物語っている。

この場を凌ぐ嘘でもつけられば良いのだが、生憎、私にはどれが正解かすらわからない。


正直に昨日と言うべきか。それとも一週間前、一ヶ月前。

どれが一番良い結果を産み出すだろうと、私の足りない頭がぐるぐると回り──。


「昨日、気が付いた時から森に……。」


何の捻りもなしに、そのまま答えた。


「夜、目が覚めた時から森の、生物の巣のような場所で寝てたの。そこからこの森を宛もなく迷ってレナさんを見つけた。……それだけ。何も分からないの。」


「……それだけ?森に来る前は覚えてないの?」


「森に来る前は──。」


なんと話すべきか。月が一つしかあがらない場所から来た、等と言って信じてもらえるだろうか。

掘り返した記憶に、私は望郷を感じた。

そのお陰で私は一瞬言葉に詰まり、燃える薪をつつき火力を調整するフリをして誤魔化す。

気取られただろうか。ちらりとレナの方を盗み見るが、私の話を聞き彼女も同じように考えているのか、その視線は落とされ焚き火を睨んでいた。

言葉の空白を怪しんだ様子はない。


「──森に来る前は、普通に過ごしてたの。あまり人が来ない村で、家族と一緒に過ごしてた。私自身、なんでこんな所にいるかわからないの……。」


「……。」


レナは、何も答えない。

多分、脳内会議の真っ最中なのだろう。


それにしても、我ながらうまく誤魔化したものだ。嘘は言っていない。私の出身は小さな村で、家族とすごしていたのも本当。

おそらく、私の故郷とこの森が地続きでない事を隠して私は演じきった。


それにしても、家族、か……。

今頃、皆は何をしているだろうか。

ここと時の流れが同じだとして、一日私がいなければ恐らく今頃は村の皆で山でも探しているのではないだろうか。


つられて最後に見た兄の顔を思い出す。

兄とは『また明日』と言って別れたのだ。

まさか妹がいなくなっているはずなど考えもしなかったに違いない。

両親だって、友人だって私の事を心配してるだろう。


「絶対、帰らなきゃ……。」


私の呟きが、聞こえたのだろうか。

それとも、彼女の中で結論が出たのだろうか。

レナがふぅと溜め息をついた。


「故郷がどこかもわからないんでしょ?つてはあるの?」


「いえ……何も。でも、絶対に帰りたい。家族に会いたいの……。」


レナは頬を掻いて、視線さ迷わせた。

そのまま一瞬だけ上を見上げて、またため息をつく。


「あなたに色々言いたいんだけど……。そろそろ、涙を止めたらいいんじゃない?」


涙。そっと手を目元にやると、びっくりするぐらい熱い液体が指に触れた。


「……うぁ、わたし、泣いて……?」


いつからだろうか。

私は言われるまで、自分の眼から涙が流れ出しているのに気が付かなかった。

家族の事でも考えていたせいだろうか。突然の事で帰る当てがないのだとしても、一日でホームシックになるとは我ながら情けない。


「ひぐっ……ぐす……。」


意識してしまうとなかなかどうして止める事が難しい。

その日の晩、私は泣きつかれて眠るまで喉から込み上げる嗚咽を止める事が精一杯だった。

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