一人目:殺意
「離婚しよう。」
まさかの一言が胸を打った。でも急にだった。
昨日までは普通に楽しい日常だった。
「なんで?」
私はあえて、冷静な口調で彼に向かって言った。でも思いもよらない言葉が帰ってきた。
「だって、夜の相手が不満だったんだ。」
え!?私と交際、結婚したのはまさかそれだけの理由?
そうして自然と殺意が芽生えてきた。
「分かった。そのかわり...。」
慰謝料は払ってもらわないと納得いかなかった。
「分かってる。1千万で...。」
生憎夫は大手企業に勤めているので金はいっぱいあった。
だから私はすぐに離婚した。AVばかり観ている夫に飽きてきたところでもあった。
一度、誕生日に私が欲しかったDVDを買ってきてくれた事もあった。
でも、最初に渡したのはAVだった。
そのとき私はこの人とは長くは続かないとは思ったが、こんなに早いとは思ってなかった。
別れてから次の朝になった。
この孤独感が殺意をより一層強くさせた。
今日は偶然にも仕事が無かった。だから久しぶりに、ショッピングセンターに行ってみた。
私はまだ22歳だもん。まだこうゆう場所にいたかった。
でも、何か場違いなふいんきに呑まれそうになりながら一歩ずつ慎重に歩いて行った。
少し回想に入るが、
私は昔モテた。それが私をかえたのだと思う。
今も私を見る男の人が多くなっている。
だからといって、私はセクシーな服装にするつもりも無いし、喫茶や食事に誘うつもりも無い。
「ねぇねぇ、祐也!あれ前の奥さんじゃなぁい?」
黙ってろ!そう思いながらも前に一歩踏み出した。
祐也?あれ?前の夫も祐也だった。そう。同一人物だった。
あえて私は素通りした。でも夫は
「まだ新しい人見つかってないのか??胸が小さいんだよ!」
と言い放ち、今の彼女の胸を揉み、去って行った。
関係ない。私は私だ。でも自然と涙が出た。
どうせあんな奴はレイプや、痴漢でもして、捕まるんだ。
そう思っていた。私は絶対にあの男に復讐するだろう。あの男がどう足掻いても殺すだろう。
それまでよろしくね。卓巳。