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七・首都アリソン

「明日、シンシアと一緒に便利屋スカイまで来るのじゃ。仕事の詳細はその時に伝える」


 そう言って、リンフォードさんは帰っていった。

 ヴィンスも「じゃあ、また」とだけ言って、帰ってしまった。

 残されたのは、あたしとシンシアさんの二人。

 シンシアさんに「その格好、とても可愛らしいんですけど、目立つので……服屋さんに行って新しい服を買いましょう」と言われ、あたし達はシンシアさんの家の近くにあった服屋までやって来た。

 服を買ってもらうなんて申し訳ないので、最初は断ったのだが、あたしの服装はこの世界の人達から見たら相当奇異らしく、街中を歩いている間、周囲の視線が痛かったので、結局買ってもらう事になった。

 そして、服屋にて。

 試着を終えたあたしが、試着室の中からカーテンを開けるとーー。


「きゃああああ! アカリさん、すごく似合ってますわ!」


 シンシアさんが、欲しい物を見つけた子供のように目を輝かせ、大声でそう叫んだ。

 周囲の視線が、一気にあたし達に集まる。

 あたしは、自分の顔が熱くなるのがわかった。


「ちょっ、シンシアさん! そんな大声出さないで!」

「だって、すごく素敵なんですもの!」

「それは何回も聞いたよ……」


 シンシアさんは、さっきからずっとこんな調子だ。うるさい客だと思われている事だろう。

 今のあたしは、赤いブラウスに黒いミニスカート、ニーソックス、そしてブラウンのショートブーツという格好だ。

 シンシアさんが、あたしに似合いそうな服を見繕ってくれたのだ。

 あたし自身も、この服は悪くないと思う。


「店員さん! これ、全部買います!」

「ありがとうございます」

「えっ!?」


 あたしは、驚きに目を見開いた。


「シ、シンシアさん! こんなに買って大丈夫なの? もう結構買ったじゃない!」

「ふふっ、ご心配なく。服がたくさんあって困る事はないでしょう?」

「そ、それはそうだけど……でも、悪いよ。これで最後にして」

「そうですか……。残念ですけど、仕方ありませんね」


 そう言って、シンシアさんは手に持っていた服を元の場所に戻した。

 その後、会計を済ませ、あたし達は店を出た。

 あたしは、最後に試着した服をそのまま着て帰る事になった。


 * * *


「ここ、首都アリソンは、火、水、地、風、氷、雷、光、闇の八人の守護者が集まる街なんです。とても大きい街でしょう?」

「うん……すごいね。圧倒されちゃう」


 あたしとシンシアさんは、まっすぐ家には帰らず、街の大通りを見て歩いていた。

 大通りには様々なお店があり、多くの人々で賑わっている。

 と、その時、不意にシンシアさんが足を止めた。


「あら?」

「ん? シンシアさん、どうしたの?」

「あそこにいるのは……」


 突如、シンシアさんは駆け出し、ホットドッグ店の前にいる男性に近寄った。

 あたしも、小走りにシンシアさんの後を追う。


「カルロスさん」


 シンシアさんが男性に声をかけると、男性はこちらを振り返った。

 年は二十代前半だろうか。琥珀色の瞳と、癖のある金色の髪が特徴的な男性だった。


「おお、シンシア。偶然だな! こんなところで何してんだ?」

「私は、こちらの方と一緒に街を見て歩いていました」


 シンシアさんが、あたしの方を見る。


「えっと、シンシアさんのお知り合いの方ですか? こんにちは」


 あたしがそう言うと、男性はぱあっと花が咲いたように笑った。


「おう! オレはシンシアの幼なじみのカルロス・ブロウだ。君は?」

「あたしは、シンシアさんの家でお世話になる事になった、柏明里って言います」

「カシワ、アカリ? 変わった名前だなぁ。ま、いいや。よろしく!」

「はい。よろしくお願いします」


 あたしとカルロスさんは、握手を交わした。


「ところで、シンシアの家で世話になるって、どういう事だ?」


 カルロスさんが、不思議そうに首を傾げる。

 その質問に、シンシアさんが答えた。


「実はアカリさんは、新しい火の守護者になるべく、リンフォードさんに他の世界から連れてこられたんです。行くあてがないので、私と一緒に暮らす事になりました」

「へえー、そうなのか! ……あっ、そうだ!」


 不意に、カルロスさんは持っていた紙袋に手を入れ、ホットドッグを一つ取り出すと、口にくわえた。

 そして、ホットドッグが入っているであろう紙袋をあたしに差し出してくる。


「ホットドッグ、やるよ! この店のは美味いんだぞー」

「え……いいんですか?」

「ああ! お近付きのしるしってやつだ。シンシアの分も入ってるから」

「あ、ありがとうございます!」


 あたしは、カルロスさんから紙袋を受け取った。


「それじゃ、オレはもう行くから! またな!」


 そう言って、カルロスさんは足早に立ち去ってしまった。


「何だか、良い人そうだね」

「はい。明るくて優しい方ですわ」


 シンシアさんは、微笑を浮かべている。

 幼なじみって言ってたけど、二人の間に恋愛感情とかないのかな。ちょっと気になる。


「では、帰りましょうか」

「あ、うん!」


 あたし達は、再び大通りを歩き出す。

 その後、あたし達は家に帰ると、カルロスさんにもらったホットドッグを食べた。

■カルロス・ブロウ

・年齢:22歳

・誕生日:8月1日

・身長:175cm

・外見:癖のあるショートカットの金髪に、栗色の瞳。


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