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物事は訓練通りにはいかない。

「グガァアアア!!」


森全体に猛獣の雄叫びが広がる。


体の筋肉が何十倍にも膨れ上がり、剛毛が映え、もうゴリラとしか言いようがなかった。


恐らく、10メートル……いや、もっとあるなこりゃー。


ここに来て、まさかの巨大化が来るとは……成る程、流石に簡単にはやられてくれなさそうだ。


「これはまずいですね……一刻も早く応援を呼ばなくては。」


隣の女性の表情が先ほどよりも焦りを感じさせた。


槍を持つ手にさらに力がこもってるのがここから見てもわかる。


なんか、本当にやばそうだな。やっぱプロは違うんだな。


ここで、平気な顔をしているのは斎賀一人だけである。


「グガァアアア!!」


理性を失ってるのか怒り狂ってるのか、暴走してるのは間違いない。


敵味方関係なく遅いそうだ。


すごいなと感心してると、赤く光る巨大な眼球と目が会う。


よく、霊長類とは目を合わせてはいけないとテレビや研究者が言っていたな。


もし目があったりしたら………


「グガァアアア!!」


斎賀めがけて、拳を振り下ろす。


ドガガガガガガ!!!!


地面が大きく揺れ、亀裂が森の奥深くまで走る。


たった一発のパンチでこの威力。まともに食らえばたまったものではない。


明らかに、先ほどよりもパワーが倍以上に上がっている。スピードも比較にならないくらいだ。


巨大化したら、パワーは上がってもスピードは落ちるかと思ったがそうはいかないらしい。


俺はなんとか避けれたが、あっちはどうだろうか。


「ふぅ、危なかったです。」


あっちは、翼で飛んで避けた様だ。というか飛べたんだ………ワイヤーか何かを使ったにしてはリアルだな。


まぁ、細かいことは後にして……


「グガァアアア!!」


この、ゴリラをどうするかだ。


「我、盟約に従い汝に雷の鉄槌を下す!! 雷電(ライジング)!!」


呪文の様な物を捉えると、槍の先に電流が集まり、一つの巨大な塊となり、それを放出した。


ビガァァァ!!


激しい閃光が広がると同時に、ブレンダを拘束するかの様に電流が辺りを走る。


「グガァアアア!!」


どうやら効いているみたいだ。


しかし、それはあくまで一時的なものである。


パワーが上がり、スピードが上がるとなると、体全体の能力が上がるということだ。


水疱瘡やおたふく風邪は人間なら必ずしもなる病気。


しかし、それらは一度かかると、もう2度とかかることはない。


それは体が抗体を作るからである。


また、これらを免疫ともいう。


それと同様なことが、ブレンダの体には起きていた。


電流によって、筋肉が痙攣し動けなくなっていたのが徐々に動く様になる。


この攻撃はあくまで、拘束を目的としたもの。それ故、電力を抑えていた。


彼女もエリクサー同様、ブレンダを甘く見ていたのだ。


彼女がまだ警察官(ヴァルキリー)になったばかりなことと、神気の暴走の恐ろしさを知らないのが原因である。


彼女は訓練通りのことをやっていたのだ。


しかし、実践と訓練は全然違うのだ。


死ぬか生きるかの生命線を彷徨うことを覚悟しなければならない。


一瞬の油断が命取りになるのだ。


「あいつ、電気の抗体でも持ってるのか?」


斎賀はブレンダの異変に直ぐに気がついた。


しかし、彼女は効いていると誤認していた。


斎賀はいつ来るかわからない攻撃に備えていたが、彼女は備えるどころか、槍を片付けてしまった。


「グガァアアア!!」


ブレンダの口が大きく開き、


刹那


ドォォォォォオ!!


彼女めがけて、光線を放った。


光線はとどまることを知らず、岩山を真っ二つに切り裂いた。切り裂かれた岩はドロドロになり溶岩と化していた。


終わった。彼女は死んだと誰もが思っただろう。


しかし………


「油断するなよな……って聞いてるか?」


お姫様抱っこをする形で斎賀が助け出していたのだ。


しかし、彼女は気絶してしまった様だ。


「まぁ、よく頑張ったな。後は、任せろ。」


地面に降りて、優しく彼女を気の根元に下す。


「さて、ここからが本番だ。」


パキバキ!ポキバキ!


指の関節を鳴らして、神経を集中させる。


ここから、本当の戦いが始まろうとしていた。


もちろん、まだ斎賀はこれが映画撮影だと信じている。(ちょっとやりすぎとは思っている)


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