映画撮影!?
「うお!?」
迷惑かなと思い、ここから立ち去ろうとしたら突然巨大な球体がこちらに向かってきた。
そして、そのまま爆発に飲み込まれてしまった。
山をも撃ち抜くこの球体をまともに食らっては神でも致命傷は免れない。
それが、人間に当たったりでもしたらどうなるか。気づいたときにはこの世から消えていた……何てことがあり得るかもしれない。
誰もが“死んだな,,と思っただろう。
しかし……
「いやー、最近のCGだっけ?すごいんだな。」
灰すら残らないはずが……目の前には、先程とほぼ変わらず、下半身を巻いたタオルが少し焦げただけの斎賀が立っていた。
あたりの空気がポカーンとなり、斎賀も戸惑ってしまった。
そんな中、筋肉ムキムキの男。がニヤリと笑いこちらに近づいてきた。
取り敢えずこの大男をブ○リーと呼ぼう。髪の色が違うが、どこからどう見てもブ○リーだ。トラ○クスにしては、目つきが凶暴だし、ぴったりだ。
遠くからでも、そのデカさで目立つが、近寄るとさらにでかい。目線を上に上げても顎しか見えない。
「お前、人間か?」
ブ○リーが口を開いた。さて、何て返事したら良いのだろうか。
Yes or No
ギャルゲーのような選択肢。間違えればバットエンドが待っている気がする。
まぁ、ここは取り敢えず正直に……
「おら、地球で育った、光林寺斎賀だ!」
刹那……
トゴォ!
斎賀の腹めがけて、拳が振り下ろされる。見事に腹部にストレート……のはずが……
「くう、中々良いパンチだな。」
30センチはありそうな拳を右手一つで止めていたのだ。
「う、うそ!?」
その光景を見て、エリクサーは驚愕した。自分はその攻撃を受けて、致命傷を負ったのだ。
その、攻撃を片手で受け止め、しかも、それが人間。驚くのは無理もない。
斎賀は拳を受け止めたまま、エリクサーに話しかけた。
「なぁ、映画の撮影ならこのブ○リーに俺は見物客だって伝えてくれないか? 」
一体彼は、何を言ってるのだろうか。どう返したらいいか、わからないがこれだけは言える。
「と、とにかく、逃げなさい!」
先程の爆発を食らっては生きているのは奇跡としか言いようがないが、今度ばかりはそうはいかないだろう。
これは、彼のためでもあり、ブレンダの為でもある。
まだ誰も殺してないなら、“アレ,,は免れる
このまま、彼が逃げてくれれば、後は警察がなんとかしてくれる。
そう思った矢先……
「逃さん!!」
ブレンダの右足が斎賀の頭部に直撃……
ドゴ!!
瞬時に腕を離して、防御。危うくクリーンヒットするところだった。
流石のブレンダも2度の攻撃をあっさりと防御されるものだから、目つきが変わる。
彼は確信したのだ。
目の前にいるのが、人間などではない、“敵,,なのだと。それも、とてつもない化け物だと。
すぐさま、後ろへ下り、斎賀と距離をとる。
「ハァァァァァア!!」
両腕の拳を握りしめ、神気を高める。その反動で地面が大きく揺れ、石がうかんでいた。
ブレンダの体に電流が走り、更に筋肉が膨れ上がっていく。そして、髪も徐々に伸びていった。
それはまさに、スーパー○イヤ人3だった。
「これは、すごいな……」
蛇に睨まれたらカエルは身動きが取れないと聞いたことがあるが、今まさにそんな状態だ。
圧倒的な捕食者を前にどうやって立ち向かうべきか。
簡単なことだ
「よし、俺も協力しようじゃないか。」
ダメかもしれないが、諦めたらそこで終了だ。正義は絶対に勝つ。それを小さい子達に教えるために映画撮影に協力しようじゃないか。
成り行きだが、映画ぽくする為になるべく手加減しよう。
そう思い、斎賀は構えをとった。