死亡!?
「うお!? また爆発か……」
1度目の爆発が聞こえたところに向かっていたところすぐさま2度目の爆発が起きた。
それどころか、連続して爆発しているではないか。
さっきからドカンドカンうるさいし、爆風で砂埃が舞うから肌に直撃して痒い。
下半身をバスタオル一枚巻いただけの状態なので痛さは倍増している。
一体だれが、こんなことをしているのだろうか。
この辺りの山は鉱脈でもないし、油田があるわけでもない。
工事にしては、火薬の量がおかしいんじゃないかと思う。……てか、工事でダイナマイトなんて今時使うか?
何十年も前なら、経済優先のため環境破壊を繰り返していたが、環境保護が第一優先される現在において使うことはあまりないだろう。
鉱山ならともかく、緑生い茂る山で普通やると思うか?
まぁ、行けばわかることだ。
斎賀は上半身裸のまま、森の奥へと向かっていった。
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しばらくして
「なんだ? 映画の撮影か何か?」
目の前に広がる光景をざっくり紹介するとこうだ。
まず、右斜め前。だいたい10メートル離れた地点には筋肉ムキムキで凶悪な目つきをした巨漢が立っていた。
そして、その男の前には、足が曲がってはいけない方向へと曲がり血だらけで気絶しそうな女性がいた。
かなり美人だ。外国の人かな。
これらの状況を整理すると……
「そうか! 映画の撮影だったか!」
手をポンとならし、納得すると二人の視線がこちらの方向へ。
あ、多分本番中だったのかな? これ多分カットだわ……
「いやー、すみません。まさか、こんな辺境の山の森で映画の撮影をしてるだなんて……」
立ち去ろうとした、刹那
ドゴオオォ!!
男の手から球体が放たれ、斎賀に直撃した。
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「あ、ああああ………」
エリクサーは、生徒が起こした状況に絶望した。
神がこの世において、特別な理由がない限り行ってはならない最大の禁じ手を彼は犯してしまった。
もう、弁解の余地がない。
「ふははははは!!!」
彼は心しか満足そうに笑っている。まさに狂気としか言いようがない。
エリクサーは悔やんだ。
自分が油断したがために、彼を止められなかったこと。そして、教え子が犯罪者になってしまった事。
彼、ブレンダの学園での現状は、エリクサーの耳にも届いていた。神力が上手く扱えないのが原因の差別やいじめ。そした、両親の戦死。
想像を絶するかのような内容にもかかわらず、初めて面を向き合って話し合ったがのが、先ほどだった。
もっと早く手を打ってればこのような事態にはならなかった。
何より、死んでしまったあの男の子。なぜ、上半身が裸だったのかはわからないが恐らく、10代半ばだろう。
人間は寿命が100年前後。何万年と永久を生きる神にとってはちっぽけに思うだろうが、それでも彼らは必死に生きるのだ。時のは神をも驚かす行為を成し遂げたものも過去にはいた。
将来がある若者を殺してしまった。それが、人間となれば彼は間違いな“アレ,,が下される。死刑の方がまだいいと思う。
なんども死に蘇生されて永久の苦しみを味わうのだから……
「ふははは!!!素晴らしい!!!これぞ、俺が求めていたパワーだ!!」
彼の神気は留まるどころか、更に高まっていく。
早く、彼を止めねば……
鉛のように動かなくなった身体に鞭を入れ、立ち上がる。
「はぁ………はぁ、……」
立っているのがやっとの状態だ。
せめて、ヴァルキリーが応援に来るまで時間を稼がないと
重い足を、あげて前に進もうとしたその時……
「いやー、最近のCGだっけ?すげーリアルなんだな〜。」
そこには、死んだはずの男が立っていた。