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戦う意思

「おとなしくしなさい!貴方は包囲されています!」


暗い森の中、女性の声が響く。


アトランティス学園教頭エリクサーは約3,000年ぶりに地上へと降りた。


普通、神が地上に降りるのには特別な許可が必要不可欠。


しかし、今回はとある事件が起こった為に許可がおりた。


「うるせー!俺に近づくなあぁぁぁ!!」


男が叫ぶと、衝撃波で地面が大きく揺れ、亀裂が走る。普通の人間なら吹っ飛ばされて星になることだろう。


しかし、彼らは人間ではない。


「貴方は、いくつ校則を破れば気がすむのですか!? 人間界で暴れては我々も手の打ちよがありません!」


アトランティス学園には、人間界の学校と同じように校則が存在する。注意で済まされるものもあれば退学ものもある。


しかし、彼が行っている行為は校則などという可愛い範囲では収まらない。


「今すぐ投稿しなさい!警察(ヴァルキリー)が動き出す前に!そうしなければ、貴方は……」


全ての神には守らなければならない事があり、その一つには、人間界での行動について書かれている。


人間界において、特例を覗いて神力の発生を禁ずる


簡単に言うと、人間界で力を使ってはならないということ。


もし破ろうものなら、厳しい刑罰が課せられる。


無許可で人間界にいっただけなら、軽く治めることがでる。彼が神力を使う前になんとしてでも拘束しなければならない。


こういう場合において、私を含めた教師達なら、"生徒の暴走を抑えるため"という理由で神力を行使することができる。


しかし、それでは彼を傷つけてしまう可能性がある。


まずは話し合いでの説得を試み、それでもダメな場合は最悪、手足を吹き飛ばす事を覚悟してもらわなくてはならない。


「ああ、わかってるよ。でもな、俺みたいな落ちこぼれが強くなるには、人間にこの力を認めさせるしかねーんだよ!!」


拳を握りしめ、力を解放しようとする。あたりには、黒色の邪悪なオーラを纏った神気で溢れていた。


「やめなさい!神力を使ってはなりません!」


すぐさま、駆けつけて止めようとするが……


「はあぁぁぁぁぁ!!」


オーラが爆発し、エリクサーは吹っ飛ばされた。


そこにあった、木々は完膚なきまでに破壊され、地面は丸く削られた。


先ほどまで、やせ細っていた彼の体は筋肉が数倍にも膨らみ、目元は凶悪な目つきになり、髪の毛は逆立っていた。


「ふはははははは!!!」


心が壊れたかのように笑ている。


「これはまずい……」


彼、確か名前はブレンダ。本校でも神力がうまく扱えなくて落ちこぼれのレッテルを貼られていた生徒だ。


神力は神であれば、誰にでも等しく存在する。それをうまく扱えるかどうかが、神としての存在と威厳が決定する。


今の彼は、学園で受けた屈辱と辱めによる怒りが爆発し、リミッターが外されとんでもない量の神力が発生している。


神力の暴走。バーサーカーと呼ばれ状態だ。


彼のような、まだ神力の扱いに慣れていない学生はとても危険だ。


肉体が破壊され、いずれは器が崩壊する。


それ以上に恐ろしいのが、心、精神の崩壊である。


敵味方関係なく襲いかかり、下手したら人間界を滅ぼしかねない。


そうなる前に止めなければ。


「仕方ありませんね……」


エリクサーは上着を捨て、戦闘体制にはいると神力を解放した。


エリクサーの神力は、ブレンダの邪悪なオーラではなく、寧ろ、全てを優しく包み込んでくれるかのような優しい黄色であった。


「覚悟しなさい!」


すぐさまブレンダとの距離を縮め、一発腹部に拳を差し込む。


ブレンダの巨体が嘘のように、飛び上がるが、それにすかさず追いかけ、両方の拳を握りしめ脳天に直撃させた。


ズドーーーン!!


地面に突き刺さる音が森にこだまする。


「やりましたか……」


彼の神気は感じない。手加減したはずだから、死んではないはずだ。恐らく、気絶したのだろう。


地面に降りて、彼の安否を確かめる。


予想以上に強かったみたいで、地上との差が2メートル以上だった。


未だに砂埃が舞う中を穴の中心めがけて歩き出す。


普通なら、そのいるはずだろう。


だが……


「い、いない!?」


そこにはブレンダどころか、何も残っていなかった。


確かに手応えはあったはず。


もしかして、落ちる寸前で神気を抑えて逃亡したのだろうか。


それなら、まだ近くにいるはずだ。


そう思い、空を飛ぼうとすると……


ズザアァァァァア!


「しまった!!罠か!!」


地面から、手が出現し、エリクサーの足を掴んだ。


「ぐあぁぁぁぁ!!」


足の骨が折れる音が聞こえた。


「先生、これは遊びじゃない……戦いなんだよ!」


エリクサーの足を掴んだまま、投げとばす。


「戦う意思がなければ……殺すだけだ!!」


右腕にオーラを集中させ、黒色の球体のようなものが出現する。


「死ねぇええ!!」


それを、エリクサーめがけて放つ。


刹那……


ドゴォォオオオオ!!


激しい爆風と爆音が響く。


地面が溶岩のようにドロドロに溶けていた。


「ふははは!!!」


ピュン!ピュン!ピュン!


連続して、黒い球体を投げつける。爆発と爆発が重なり、山一つがこの世から消え去ってしまった。


「なぁ、まだ死んでないよな?お楽しみはこれからだぜ?」


爆発で砂埃が舞う中……


「く……私としたことが、油断しすぎましたね……」


服はボロボロになり、血まみれなエリクサーがいた。


逃げたいところだが、この足では到底無理だ。


「ふははは!!!とっておきだ!!」


両手を天に伸ばすと、未だにないくらいの大きさの球体が出現した。


あれを食らっては私もひとたまりもない。それどころか、ここ一帯が消し飛ぶんじゃないだろうか。


幸いにも、ここは人が全く住んでいない辺境の山の中、人間には手を加えてない。


後は、ヴァルキリーがなんとかしてくれるだろう。


「ふははは!!!」


球体が更に大きくなる。


最後は、教師らしく生徒の気持ちをまともに食らってさよならしようじゃないか。


そう思って決心すると……


「なんだ? 映画の撮影かなにかか?」


一人の人間、男性が現れた。



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