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只今、修行中

「99978……99979……」


ここは、とある山の辺境の森。気温35度、湿度80パーセントのアマゾンの熱帯雨林を思わせる中、一人の男がいた。


「99989……99990……」


男の名は、光林寺斎賀(こうりんじさいが)。高校生になって初めての夏休みの全部を修行費やしていた。


入試試験の為に、修行を一時中断しやく、4ヶ月ぶりの修行だった。


逆立ちの状態からの、腕立て伏せをやる筋トレはとあるアニメをみて率先したものだ。


「99999……100000……と!」


目標の10万回に到達した。


「ふう、だいぶ感が戻ってきたみたいだな。」


4ヶ月も修行を中断すると、案の定、身体がなまっていた。


いつもなら、汗ひとつもかかずにこなしていたのに、今の斎賀は息も切れ、顔が汗でテカっている。


それでも、だいぶ感覚が戻ってきた。この調子なら、登校日までには完全な状態になるだろう。


「よーし、今日の修行はここまでだ。」


気がつけば、既に日は落ち、あたりが暗くなり始めていた。


お腹の虫もなっていたのだ食事の準備をしようとしたが、汗の匂いが酷かったので、風呂を沸かすことにした。


「よし、こんなもんでいいか。」


円を描くように石を置き、その上ににドラム缶を設置した。


石とドラム缶の隙間に枯れ木と樹皮をいれ、後は火をつけるだけだ。


ライターやマッチでつければ楽なのだが、斎賀は修行の為に必要最低限(調味料や洗剤など)な物しか持ってきていない。


そのため、最初の頃はを石とハガネをこすり合わせたりと原始的な方法で火種を作っていた。


しかし、今の斎賀には必要ない。


手頃な大きさの枯れ木を取り出し、指をパチン!と弾き、擦れた部分が勢いよく燃え始めた。


それをすぐさま、マキの中に入れるとメラメラと燃え始めた。


あとは、いい湯加減になるまで待つだけだ。


30分後……


「お、いい感じ」


指先で温度を確かめてみる。ちょっと熱いが火を止めればちょうどよくなるだろう。


身体の隅々を石鹸で洗い、ドラム缶風呂にはいる。


「ああ、いい湯だな……」


汗をかいた後の風呂は最高だ。


そして、この景色。


都会は光が多いから星が見えないが、ここは山間部なので月の明かりぐらいしかなく、星空がよく見える。


森からは虫たちがオーケストラを演奏するかのように美しい鳴き声を出していた。


その、気持ちよさにウトウトしていると……


ゾワ!


空気が一瞬で変わり、虫達の鳴き声もやんだ。


吹いた風からは、生臭さを感じた。強いて言うなら、口臭のような感じ。それも、腐った魚の匂いと血の匂いが混じり合ったかんじだ。


刹那


ドゴォーーン!


突然、山の奥から火柱があがり、地面が揺れ、ドラム缶ごと倒れてしまった。


噴火……な訳はない。この山は活火山ではなく、元々海底だった所が大陸の衝突により押し上げられて出来たものだからだ。


着替えたいところだが、あの爆風で予備の服がどこかえとんでしまった。


しかたなく、タオルで大事な所を隠し、火柱が立つ方へと向かっていった。


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