表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1歩目

竜とはなんぞや。

大抵の生物はトカゲに羽を付けを巨大化した形や、蛇が空を飛んでいる姿を思い浮かべるであろう。

中には三つ首だったりする奴もいるし、骨だけでも知的生物として活動している奴もいる。まぁ私の周りにいるのは殆どがトカゲに羽が生えてるタイプ。カラーバリエーションは様々だが。

だがそれ以外も存在していることを知ってほしい。


人型だっているんだよ?


見た目が完全に人というわけではないけれども、肉体を魔法で変化させていない状態であっても人型。

卵から生まれたその瞬間からほぼ人間。

人ではない証明として一応控えめながらも角が生えている。臀部には短い尾もあるし、肌色の柔らかい肌はある一定以上の刺激を加えられると鱗に切り替わる。

だが周りの仲間はこんな生態の同種を見たことがないため、若いころは散々な侮辱を受けた。


「おい馬鹿女! ろくに飛べやしない半端者のくせに一人で旅に出るとか本当に馬鹿じゃないのか?!」

「羽はなくても魔法で飛べるから問題ないよ…」


亜竜と呼ばれるワイバーン―――基本的に知能が低く動物的な行動をする連中―――でも飛ぶことはできる。

そのかわり私が翼の代用として使う魔法の才能は一切ないが。


「爪も牙もなくて狩りはどうするんだ」

「剣も弓も扱えるよ。別に素手でもある程度の相手なら無傷で倒せるし…。

というか私は人型だから人間の住む町に行けばご飯くらいは食べられると思う」


今だ竜から人の形に変化できない幼馴染たちが言い募る。

恐らく自分が竜の里から出かけられないことへの苛立ちを私にぶつけているんだろう。

竜族が暮らす隠れ里で生まれた連中は、人型になれなければ旅は許されない。脱走程度であれば数時間で連れ戻されるし。その分生まれてこの方人型以外になったことのない私は掟に背くことなくこうして里の外に繰り出すことができる。

まったく。羨ましいのなら素直に言えばいいのに。


「お前みたいな弱い奴が一人で里を出るなんて危ないぞ」

「少なくとも君よりは強いからね。里から出る基準くらいは満たしてるんだからそんなに心配しなくてもいいよ」


あぁ…うっとしい。

目の前に立ちふさがる年の近い―――といっても軽く百は違うが―――男連中をどうしようかと頭を悩ませる。

特に真正面に立つ二人組は面倒だった。

普通竜というのは巨大化するほど強いというイメージを持たれるが、ある一定ラインからはそのサイズが関係なくなる。デカければ勝てるなんて次元ではないので今度は強さを保ったまま低コストの体を手に入れるため縮小化が始まる。目の前にいるのは同世代の中でもずば抜けて小さくなった個体だった。


「………行くのか?」

「うん」

「………………俺たちを置いてか?」

「君たちを待ってたらあと何十年かかるか分からないからね。先に行ってどんどん差をつけてあげるよ」


5m級の黒い蛇型竜が悲しそうな顔をした。


「そんなにかかるか馬鹿野郎!絶対ぇすぐに追いついてやる!!」

「はいはい待ってるから早くしてね」

「糞ぉぉおお!なんでテメェはいつもそう受け流すんだこの野郎!!」

「だって構うと面倒なんだもんしょうがないじゃん」

「黙れ馬鹿あほブス女!」

「煩い馬鹿あほ単細胞のツンデレボーイ」


元から赤い鱗をさらに赤く染めた3m級のトカゲ型竜が怒り泣きしていた。


里の中でも特に仲が良かっただけに邪険に扱えない。

ぽんぽんと腕や頬のあたりを叩くとすっと引いてくれるあたりはいい奴らなのだが。

そして二人に従い道を開けるその他大勢。




「じゃぁ、いってきます」




こうして広い大地に人の形をした一匹の竜が放たれた。

此処まで読んでいただきありがとうございます。

思いついたことやら寝て見る夢にいい感じのがあった時に書こうと思っているので不定期更新になってしまうと思いますが、気に入っていただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ