ファイル08 自殺課研修会にやってきた
今日はいつもの職場を離れて…
研修会(?)に来ています。
「やぁみんな。お久しぶり。」
「どうですか景気は??」
「ボチボチだよ…ってこの仕事に景気は関係ないっしょ。」
「むしろ不景気の方がうちは繁盛するかも??」
「違いねぇ。はははは。。」
私の名前は叩一人。詳しくは第一話参照。
前話までは詳細に書いてたけど…さすがにしつこいって。
本日は年に一度の自殺課所長研修会に参加している。
…とはいえ研修会とは名ばかり。
世間から批判の多い公務員の慰安旅行をこんなかたちで
残しているって感じかな。。
えっ??税金使って宴会なんてとんでもない??
…そう言わないでほしい。。
だってほとんどの出張所が毎年100人以上もの
自殺者を見送ってるんだから。
なにせ日本の年間自殺者は年平均で約3万人。
自殺課ができてその総数は少しだけ減ったけど、
ウチを利用する自殺者の数は年々増加。。
いまや毎年2万人以上を見送る重職になってしまったのだ。
これを全国120か所の出張所で処理してるんだ、、
おまけに最近は軽い気持ちでの相談者も増えている。
初めの頃は訪れる客の約半分が成就していたが…
今では訪れた客の中で本当に自殺するのは二割程度。
品内さん(ファイル01参照)や小池さん(ファイル07参照)のような
性質たちの悪い常習犯も増えて…
最近は自殺課の職員もかなり疲弊しているのだから。
その心労くらいは理解してください。。
それにただ遊びに来てるってわけでもない。
自殺課のような普段は単独の部署では、他の出張所の様子を
知る機会は実はほとんどない。
だからこの場で最近あった特異なケースを皆で
持ち合うのがこの研修会の一応の趣旨。。
そして本日もその手の話題には事欠かないわけで、、
「それでキミの出張所…変わった人は来たの??」
「毎度おなじみのが来たよ。四年に一度のお客さんが…」
「あぁウチも。。特に今年は多かったらしいな。」
…毎度おなじみというのは…W杯関連だ。
国の威信をかけた戦いで敗れた民は意外なまでに脆い。
特にW杯は歴史的に【代理戦争】とも言える戦い。
…そこで敗れて誇りを失う人は多い。。
一大会で100人以上の自殺者を出した国さえ実在する。
しかも今回は世界一のサッカー大国で開催されたのに…
日本にはその国からの出稼ぎがいっぱいいるのに、
その国が本戦で歴史的な惨敗をして…
ウチにやってきた人もいるというわけ。。
「…迷惑な話だよな。」
「わざわざ地球の反対側まで来て…
母国のサッカーの結果で死んじまってどうするよ。」
「…そう言うな。それだけ国に誇りがあるんだよ。
俺たちだって日本が立場を失ったら辛いだろう。」
「それはそうだけど…極端だよ。。」
「だが国の名誉に殉ずるのだからな。
今大会では日本人も何人か来てたらしいぞ。」
「…確かに日本も惨敗だったっけな…」
「そう言えば最近、在日のK国人が来たな…」
「国に殉ずるためにか??」
「…少し違うな。母国の捏造に耐えかねたらしい。。」
…曰く…
最近の日K関係から自分なりに調べたらしい。
当時の文書…記録…証言…
それでわかったこと。
…K国は自ら頼んで日本に併合されたこと。
…植民地でさえなかったこと。
…慰●婦には給与があり強制性はなかったこと。
…戦後問題は解決済でK国政府は賠償金を受けながら…
…知らないふりをして金をたかり続けていること。
しかも頼りにしていた新聞社が実はウソつきだったことも
知ることになり…何も信じられなくなったらしい。。
「そりゃ…しゃぁないわな。」
「日本にいればいくらでも調べられるから。
ネットでも新聞や教科書よりは正確に学べるから、
事実を知れば死にたくもなるだろうな…。」
「…それでどう対応したんだ??」
「帰化を勧めたよ。そんな母国とは縁切りしろって…」
「そしたら??」
「できないって。帰化して日本人になったら…
在日特権がなくなって生活保護がもらえないって。」
「なんじゃそりゃぁ!??」
「だから今回は…粛々と逝ってもらったよ。。」
「そりゃ…しゃぁないわな。。」
まったく毎年のことなのだが…
ろくでもない連中がこれでもかとばかりに出てくる。。
ウチは本来の存在意義は、真面目で不器用な人のため。。
生きたくても生きられない人のためなんだけど…
こういうケースも少なくないから余計に疲れる。。
とかくロクデナシが多いから…
マジメな人生相談ができないってのも問題の一つだ。。
「それより叩さんは大活躍だったらしいな。。」
「ああ例のいじめ問題…大反響だぞ。」
「お陰様で法律が変わって…
いじめによる自殺も激減したって評判だそうだな。」
「いやいや…大したことはないって…」
…そうなのだ。
以前、私はいじめの調書を公表した。【ファイル06参照)】
実名で公表された加害者一家の凋落ぶりは、世間に対する
強力な見せしめとなり…イジメは激減したんだ。
それ以来、政府も教育委員会もまじめに取り組んで…
イジメの調書は事実関係が確認できれば、自殺課以外でも
実名で公表していいことになった。
反対勢力もあったけど…今のところは好評だ。
いじめ加害者に対して見せしめ以外の方法で対処するのは
不可能だと…ようやく認知されたらしい。。
いじめ被害者が問題を表沙汰にするために…
命をかける必要はなくなったんだ。。
…そのことを命を捨てて訴えてくれた彼も…
…少しは報われたことだろう。。
「でもなんか最近、目新しいのがないな。
新しいタイプの奇人変人とかどこかにいない??」
「変人ではないけど…去年は一つ珍しい対応があったな。。」
「珍しい対応??」
「ほら。自殺課の相談者が年間10万人を超えただろう??」
「そういえば10万人は去年が初めてらしいな。。」
「それでウチにお偉いさんが来てイベントをやったんだよ。
<あなたは今年10万人目の相談者ですぅ…>って。」
所長一同は唖然とした。。(´゜д゜`)
…何やってるんだ??
…自殺課に相談に来る人にイベントやってどうする??
…くすだまを割ってどうする??
…記念品??死んだら持って帰れないだろう??
まったくいつものことながら…
お偉いさんのやることは理解できない。(*_*)
「それでどうなったんだ??その10万人目の相談者??」
「バカバカしくなって帰っちまったよ。。
ま、でも記念品の名産品の詰め合わせを食い終わったら
今度は満足な顔で戻ってきたよ。。」
「じゃぁ…結果オーライじゃないか。。」
「10万と1人目の客とやってきたのか??」
「いや、年明け一発目の客としてだ。。
正月を迎えられないってやってきた自殺志願者が、
記念品で正月を乗り越えたってだけさ。。」
「そりゃ…しゃあないわな。。」
…まったく…
この仕事をしていると本当にわからなくなる。。
何が正しくて何が間違いなのか、、
考えれば考えるほどバカバカしくさえなってくる。。
ただ…我々の仕事は人間の裏側に触れる仕事ではある。
世間で言う表面的な正義はあまり関係ないのかもしれない。
でもだからこそ我々は悪になってはいけない。。
自分の正しさを自問自答し続けなければならない。。
だって我々はあくまで必要悪なのだから。。
正義の味方には決してなれない存在なのだから。。
だけどその悪役の実態はいたって普通の公務員。。
人の生死に関わり続けて平気でいられるほど強くはない。
明るい顔で話していても、みんな心は闇なんだ。。
…だからせめて…こんな時くらいは…
「ようし、今夜は飲むぞ!!」
「…どうしたんだよ叩さん。急に張り切って…」
「いいからみんな飲め!!日頃の憂さを晴らすんだ!!」
「でもさ…今日は飲み放題じゃないよ。。
税金での飲み食いにはとにかく風当たりが強いから。。」
「えっ??じゃぁまさか…今夜の酒はこれだけ??」
「そう…たったこれだけだって。。」
…そんな殺生な…
みんなこんなに苦労してるのに…
酒くらい鱈腹のませてくださいよぉ!!
このままじゃ誰か…過労で自殺しちゃうよ!!
書き始めの頃はそうでもなかったけど…
最近は自殺課の苦労が分かるようになってきました。。
…酒ぐらい飲ませてやりたかったな。。(・_;)