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東方  作者: たむろする猫
何時気付くのか・・・・英雄は何処にも居ない
1/2

かくして英雄は現実と言う舞台に上がる

何時の頃からだったか、今ではもう定かではないがある時を境に

世界中から国という概念が無くなっていったそうだ。

原因が何だったのかは、今となってはもう知る事は出来ないけれども、

この世界に何かが起こって世界はゆっくりと、或いは急速に強いモノが支配する、

そんな弱肉強食の世界へと姿を変えていった。

嘗ての栄華を誇った文明の残り香は既に無く、

大きな“(シティ)”は“軍”と呼ばれる武装集団により

支配・統治され、それなりの秩序を保ってはいるが、一歩外に出れば

盗賊に代表される武装集団の存在によって、治安は最悪と言っても差し支えない。

とは言っても、“街”の中が絶対的に棲みやすく心地よい空間なのかと問われれば、

其れに対しては「否」と言うしかない。

“軍”によって統治される“街”は実力主義な上、閉鎖された空間であり

排他的であるために、稀にやってくる物好きな“冒険家”などと言った

所謂よそ者に対しては、劣悪と言った態度を取る“街”も珍しくは無い。


~とある遺跡で発見された日記と思われる書物より~










【旧ユーラシア大陸・南部】

嘗て世界最大の人口の国として繁栄した大国「中華人民共和国」、

その国があった場所に「ローグ」と呼ばれる“(タウン)”がある。

大きさ人口表通りの治安の良さを見るなら

(シティ)”と呼んでも差し支えない“町”だが、

唯一“軍”による支配を受けていない為に、

“街”では無く“町”と言われているのがこの「ローグ」である。

その「ローグ」の大通りを一組の男女が歩いていた。

男の方は青年と言った年の頃で、取り立てて特筆する様な特徴のある容姿ではなく、

あえて挙げるとするならば、開かれているのか

閉じられているのか解らない双眸だけである。

女の方は未だ少女と言った年の頃であり、何より先ほどからすれ違う人の殆どが

振り返るような目を瞠る様な美しい顔立ちをしており、

後数年もすれば敵う者等居ない絶世の美女に成るであろうと予想される。

少女は何が楽しいのか、ニコニコとしながら青年の腕に抱きつき歩いている為、

周りの男供からそれだけで人を殺せそうな殺気の篭った目で見られているが、

青年本人にそれを気にした様子は微塵も感じられない。

―カランカラン―

目的地だったのか、それとも矢張り視線から逃げる為なのか、

青年と少女はとある酒場の前で立ち止まり、何の躊躇いも無く中に入って行く。

酒場の中は、それほど広くは無いが、

未だ昼過ぎだと言うのに既に多くの客で賑わって居る

「ウチは、ガキが来るようなトコじゃないわよ」

カウンターから聞えた野太いが、

女口調の声に青年は苦笑いしながらそちらに顔を向ける

「此れでも、餓鬼やあらへん心算何やけどなぁ・・・」

「なッ!?」

青年の何処か惚けたような台詞に、

青年と少女の方を見てすら居なかったこの酒場のママ、

この“町”きっての漢女、ガーベラは顔を上げ青年の顔を凝視した

「お、お前・・・・・・・・セトか!?」

疑念と驚きその両方が込められたガーベラの声に

セトと呼ばれた青年は手をヒラヒラさせながら

「ん、まぁ・・そのセトゆぅんが、

昔此処に棲んどったセトのことならそうなんとちゃうか?」

と、そう言った。

ガーベラはポカンと開けていた口を一度閉じ

「あんた・・・・・・・・・・・・随分と久ぶりねぇ。」

「そうやなぁ、アッチコッチの“居住区”自分の足で渡りあるいとったら、

同じ所に又行くゆう割合も減るやろ。

特に目的が有った訳でもあらへんし、5・6年ぶりか?」

「そんなバカな事してたのかいあんた」

ママの呆れたような台詞に、セトはタハハと笑いながら、

こっちにも色々あんねんと言居ながら

空いていたカウンター席に腰掛けた、少女も隣に座る。

「む~」

「ん? どないしたん?」

酒場に入るまでは上機嫌であった少女はほって置かれた事に機嫌を損ねたのか

セトの上着の袖をこうツンツンと引っ張った。

「あら、あんた可愛い子連れてるじゃないの。何処から攫って来たの?」

「攫ってへんわ!!」

ママの冗談めかした質問に、セトは慌ててツッコム。

「お譲ちゃん、お名前は?」

「キャッ・・・・・・」

少女の名前を聞こうと顔をヌッっと近づけると、

少女は吃驚したのか怖かったのかセトの後ろに慌てて隠れる。

「あはは、ママは顔怖いんやから、そないな事したらあかんて」

セトが結構ガチで怯えている少女の頭を撫でながらそう言う、

「だぁれの顔が怖いですってぇ?」

「なんや、やるんか? 妖怪ママ?」

笑顔で睨み合う二人。少女は再びおいてけぼりに

「前々から思っとったんや、お前とは何時か白黒付けなアカンてな?」

「あぁら奇遇ね、アタシも昔っからそう思ってたのよ」

バチバチと火花が散りそうな様相で睨み合う二人、

まぁセトは睨んでるのか睨んでないのか解りにくい何時も通りの細目だが

「あ、あの・・・えっと・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・いい加減にしなさい!!」

「「グハッ!!」」

いい加減我慢できなかったのか大声を上げるセナ

至近距離で大声こ聞かされて可也ダメージを受けたセトとガーベラ、

周りで聞き耳を立てていた他の客達も驚いており、

対する少女は、大声を出したのが恥ずかしかったのか、顔を赤くして俯いていた。

「ちょ、セナ・・・耳元で大声は・・・・あかんて・・言うとるやろ・・・・」

矢張りダメージが凄かったのか、耳を押さえながら抗議するセトに、

セナと呼ばれた少女は

「わ、私をほっといて話し込んでるセトが悪いんだよ!!」

と、自分の正当性を主張するが、

「いやほれ見てみぃ。慣れとる俺はまぁ良くは無いけどこの際おいとこ」

「おいとくんだ・・・・」

「・・・・・・・・・・えぇねん俺は、セナの大声にはホンマに慣れとるんやから。

ってそぉやのぉてほれ、慣れてへんママなんて死んどるやんか」

とセトは、ガーベラであった屍(笑)を指差しながら言った

「え、ちょ、私が悪いの!?」

「あ~どうなんやろな? 確かに原因作ったんは俺等やけど、

直接殺()ったんはセナやさかい・・・・・・・・・・・・」

「勝手に殺さないでくれるかしら?」

「ひぃっ」

行き成り起き上がったガーベラの顔が偶然

そう、偶然にもセナの目の前にきてしまった為、

あろう事かセナは余りの恐怖に気絶してしまった・・・・・(笑)

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

気絶したセナを見て動きを止めるセトとガーベラ、

セナに到っては何時も笑っているような顔が、思いっきり引きつっている

「ちょぉママ、何セナ気絶させとんねん」

「アタシが悪いのかい?」


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