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血色の瞳 3

俺は長椅子にもたれていた。いや、別に好きでこんなだらけた格好をしてる訳じゃないんだが、体にあんまり力が入らないんだ。

「エッジ、だいじょうぶ?」

マリーが俺をのぞきこむ。

「ああ、まだあんまり調子よくないな。ちょっと食うもんもらってきてくれ。できれば肉系の物」

理由は単純明快だ。貧血。ちょっとばかり血を出しすぎた。

「はい、お肉。食べられる?」

「ん、サンキュ」

普通にステーキが出てきた。やたらにデカイが、まぁ今の俺にはちょうどいいかもな。

「しかし、やはり凄いですわね。発想というか、そういったものが」

リリンが嬉しそうにニコニコしている。

俺はステーキにナイフを入れつつ、さっきのことを回想することにした。


ノレルの固有スキル、四大元素。はっきりいって厄介きわまりない。超能力は魔術と違い発動前のモーションがまるでない。それでも普通の超能力者なら能力が一つだから対処のしようもあるんだが、四つってのはちとずるい。

「っらぁ!」

柄まで金属でできたナイフを近くの木に投げつける。それが刺さると同時に雷が落ちる。ノレルが放ったものだ。

「あんなんくらったら死ぬぞ」

と呟くうちに今度は風がくる。

「わっわっ」

マリーはひょいひょい避けていく。ほとんど怪我もねえってのがすげえな。

俺は新しくできた裂傷に血小板を集め、傷をふさぐ。

「うりゃあ!」

マリーがノレルに殴りかかるが、風の鎧はなかなかに難攻不落だ、さっきからこちらの攻撃は一度も通っていない。

「しかも防御に関してはオートマチックっぽいしなぁ」

さっきから隙を見てはちまちまとナイフを投げているんだが、明らかに気がついていないであろう攻撃まで防がれている。

「マリー!殴れ!」

「!」

その指示を聞いてマリーは無邪気な笑顔を見せ、地面を蹴ってほとんど一歩でノレルのそばまで行く。そして振り上げた腕はさっきまでの腕ではない。

かと言って何の腕なのかと聞かれても返答に困る。一応、獣の腕のようではあるが、熊っぽいか?

これがマリーの能力。ライカンスロープの獣化の能力を、デーモンの力をコントロールする能力で腕一本にとどめた状態。

「でぇい!」

金属を金属で殴ったときのような音が響き、ノレルが吹っ飛んだ。地面に三回ほどバウンドしながら木に激突する。人が飛ぶ威力。だから俺の指示がない限り、マリーにはこの能力は使わないように言いつけてある。

「び、ビックリしましたわ」

ノレルは本気で驚いたようで目をみはっている。って、無傷かよ!

殴られた瞬間も吹っ飛んでいる間も防御は健在だったらしく、ほとんど衝撃はなかったようだ。驚いたのは本当のようだがそれだけだったらしい。

「わりと奥の手だったんだケド、効かないわけね」

うん、マズイ。八方塞がり、って訳でもないが六方くらいは塞がった。

「面白いですわね。グロウさん、貴方も何か持っていませんの?」

「かくし球ってのは隠れてるから意味があるんだろ?先に種をばらしちゃ手品だって楽しめないぜ」

勿論、ある。あるけど、使いたくねえなぁ。でも使わないとどうしようもなさそうだなぁ。

「イヴ」

俺はイヴに声をかける。そしてイヴに対して思考を開く。

イヴも意図を汲み取って、おそらく俺の思考を読み取ったのだろう。

「・・・」

と小さく頷いた。

「マリー、しばらくそれ、使ってていいぞ」

「やった」

おもちゃを手に入れた子供のようにマリーは笑い、再度ノレルに突進する。

したから掬い上げるようなアッパー。が、

「キャンッ」

漏電するような、電気がショートするような音が響き、マリーが弾かれた。

「電気の鎧。そんなのまであるのか」

万能かよ。ずるいぜこいつは。

「うー、ピリピリするー」

ブラブラと腕を振るマリー。

「えーと、電圧にはあまり制限をかけなかったので、一千万ボルトはあったはずなのですが、ピリピリする程度なのですか?」

いや、マリーはマリーで最強なんだよ、ホントに。いくつかの制限を着けたら、あの「白き眼の悪魔」とすら善戦できるくらいだ。

「もっかいいくぞー!」

たあー。とマリーが飛びかかる、とみせかけノレルの直前で急停止。ステップでノレル真後ろに回り込み拳を降り下ろす。つい最近ようやく覚えた戦いの中でのフェイント。あいつ基本的に腕力だけで何でもできるせいで、そういう細かい技とか使おうとしなかったからな。

またしても響く電気の音。が、

「我慢!」

あのアホはあろうことか電気の鎧を無視してさらに踏み込んだ。フェイント使ったところで、結局力業かよ。

「きゃあ」

ノレルはまたしても弾き飛ばされる。

「かぜ・・・」

イヴがポツリと呟いたことで俺も気が付いた。今弾き飛ばされたノレルは電気ではなく風で防御していた。

・・・、なるほどね。小さい上に大したものじゃないが隙が見えた。

「ふう、まさか電気の痛みを完全に無視するとは、恐れ入りますわ」

ああ、俺もだ。あそこまでバカだとは。

俺はスローイングダガーを投げる、と、同時に俺も走り出す。

風の鎧にあたって弾き返されそうになるダガーを、

「っらぁ!」

蹴りつけた。

予想通り、今まで弾かれていた攻撃は完全に弾かれず、ダガーは風を突き抜けた。が、そこまで。風の後ろにはさらに水が待っていた。

水流で刃先が流され攻撃は無効化される。

だが、試した甲斐はあったな。難攻には違いないが不落ではないことはわかった。

「マリー!やるぞ!」

「不味いですわね」

余裕じゃねーか。

俺は靴の踵についたストッパーを外す。そして回転蹴り。ノレルまではかなり距離があり、蹴りが当たる距離じゃないが、そもそも蹴りを当てることを目的にしていないから問題ない。爪先から仕込み刃が飛ぶ。同時に俺もそれを追いかけてダッシュ。

マリーも俺とタイミングを合わせノレルのサイドに飛び込み、

「たぁっ!」

例のパンチ。電気を無視し、風にまで到達する。

さらにその風に俺のナイフがぶつかる。マリーのパンチでやや威力の弱まった風の鎧は、今までのようにナイフを弾き返す事なくぶつかった状態を一瞬維持する。

そこに俺の蹴り。

風が破れ次は水流だ。ナイフの刃先は流され水流に弱まりは見えない。が、

「もう!一つ!」

俺の蹴りはそもそも一撃で終わることを想定していなかった。前回し回転蹴りに続けることの後回し回転蹴り。

水流にさらわれるよりも勢いのある蹴りは、水流の盾を突き抜けはしなかったものの、水しぶきを上げ、周りの視界を一瞬奪う。

「いま!」

イヴの声と共に俺も発動させる。

吸血鬼族の固有スキル、血液操作。その応用編。

俺の傷口から血が霧状になって回りに散布される。

それは一気に視界を奪う。もし臭いで追跡しようとしたところでこの周囲はすべて俺の血だ。本体がどこかなど判別できない。

力が抜けてきた。マリーは俺を抱え、イヴとリリンをひっ掴み、猛ダッシュでその場から離脱したのだった。


と、まぁこんな感じで、奥の手その1、強いて名付けるなら「ブラッド・ミスト」を使って逃げ出した訳なんだが、あの技、辺り一面に霧を作り出さなきゃ意味無いわけで、俺の失血限界ギリギリまで血を使うことになる。おかげでついさっき目が覚めたばかりだ。

ちなみに逃げるとき、マリーは足に獣化を集中させて、車より速い速度で矢鱈滅多に走ってきたはずだから、暫くは落ち着けるはずだ。

「失血の方は大丈夫なのですか?グロウさん」

いつも通りの余裕のある笑みの中にも一応の心配を織り交ぜ、リリンがたずねてくる。

「ああ、俺も半吸血鬼(ダンピール)だからな。血を作り出す速度は速いんだ」

ま、そのぶんの栄養はとらなきゃいけないんだが。

ちなみにダンピールってな基本的には人と吸血鬼の混血を指すが、混血の妖が増えつつある最近では、吸血鬼と他の妖の混血でもそう呼ぶことが多くなってきた。ま、吸血鬼間での蔑称だけど。

自分達を高貴だと信じて疑わない、古い考えの持ち主がヴァンパイアには多い。非常にアホらしいが、そんな感じでヴァンパイアは混血を嫌っている。いや、ホントにアホらしい。むしろただのアホだな。

「しかし、なんとか林道は抜けられたが、別にノレルを倒した訳じゃないからな。下手したらすぐ追い付いてくるぞ」

五席の空座、ノレル・ハーム、徳ある悪意。その本質は二つ名の通り徳、正しい行いのための悪意だ。奴は他の誰より行動に徳がある。ただし、悪意をもって。

「あら、グロウさん、その意見を出すのは少しばかり遅かったようですわよ?」

リリンの発言にどういう意味だと問い返そうとしたとき、悪意が流れた。

「見つけましたわ」

玩具を見つけた子供のような無邪気さ。だが、その無邪気さの中には、最後には玩具を壊してしまう、残酷な悪意が混ざっている。

「見つかっちゃったね」

俺の前にマリーが出る。

俺は全快していない。動けるまでには回復したが、今の状態では戦闘などまともにはできない。それをわかっているマリーの行動だ。

俺はイヴに目線を向け、リリンと下がらせる。

「よいせっと」

まだだるいが立ち上がる。そしてナイフをコートの内側から取り出す。

「先程のような手はもう効きませんわ。今度はきちんと戦っていただきますわよ?」

いや、頼まれてもアレは使わないがね。日に何度も使うと失血死するし。

トン、とステップを踏んだのは俺でもマリーでもなくノレルだった。腕には雷が絡んでいる。

っ!

とっさに俺はナイフの腹で攻撃を防ぐ。グリップが絶縁体なんでシビレはしなかったが、こいつ、こんなに動けたのか?俺やマリーが動きを追うので精一杯だった。

と、思っている間にマリーに蹴りがいっている。マリーはあろうことかそれをスパーリングで迎撃しやがった。相変わらず出鱈目だ。

攻撃の勢いは相殺され、二人は反対側に弾き飛ばされる。

着地は同時、だが次の動きはノレルの方が速かった。

一瞬、オレもマリーもノレルを見失う。

攻撃を受けたのはマリーだった。相変わらずノレルの周りには電気が纏われている。

電気?あ、おいこれってまさか。

吹っ飛んでいくマリーを見ながら俺はあることに気づく。

「ノレル、お前、電気を神経に繋いだな!」

「あら、気がつかれました?流石ですわ」

そりゃ速くもなる、パルスに自前の電気を追加させ一回に送れる情報を倍加させてやがる。

認識を脳が理解するまで約1秒。さらに脳から命令が出てそれが行動にうつされるまでおおよそ0.3秒。どれだけ鍛えてもそれくらいはかかるとされている。

だがノレルの場合、認識から理解までが通常より高速化している。だから俺達より速く動けるんだ。

「だぁー!」

吹っ飛んで壁にめり込んでいたマリーが復活した。

マリーはライカンスロープだから動体視力が恐ろしく高い。だからノレルの行動は一応見えてはいるはずだ。だが、そこから先の行動を起こす前にノレルに先んじられる。

幸いノレルが乱入してきた辺りで店の客は大方逃げ出していった。だが、店員は残っている。見上げた根性だと思ったら、どうやら腰が抜けているだけのようだ。

まぁいいか。

コートの中から大型のハンティングナイフを引っ張り出す。使えるナイフがかなり減ってきたな。

逆手に握る。

「でやぁ!」

またマリーが飛びかかる。フェイントなし。どうやらフェイントをもう忘れたらしい、あの鳥頭は。獅子種の癖に鳥頭とは。

見てから動くタイミングが常人より速いってことは、回避も必然的に速くなる。常人には避ける術もないマリーのパンチ、達人だっててこずるそれも超人にはただのテレフォンパンチだ。

ノレルはそのパンチを軽くかわす。が、そのマリーをブラインドにして俺が追撃を加える。

しかし、それは風に阻まれた。くそ、四つの能力を同時に使えるのかよ!

「反則くせー!」

思いっきり地面を蹴り、距離をとる。

んー、これ無理くね?速いし、攻撃当たらねーし。

速いかー、そっちの方だけでも何とかするか。あんまり気は進まないが。

「奥の手その2」

そう呟き、俺はノレルの攻撃をさばいた。

「っらぁ!」

そして腹部へパンチ。こっちは風で止められたが少なくとも電気の高速化は封じた。

「見えるのですか?」

「いや、だが行動の予測はできる。基本的にあんたの攻撃は単純(テレフォン)だからな。あとはそれに速さを付加しただけさ」

ま、もっともそれはそれでノレルには疑問だろうが。

「方法は簡単だ。人体には神経以外にももうひとつ、身体中に巡らされているものがあるだろ?」

いや、一つでもないんだがな。

「血管、ですか?」

「正解」

俺の属性を考えれば簡単だよな。

ただし、使っているのは血管だが流れているのは血だけじゃない。大体、血の流れは時速300キロ程度だ。とてもじゃないが秒速30万キロのシナプスに変わるものじゃない。

俺が神経伝達に使っているのは別のものだ。

「つっても視界は全然追い付かないんだがな」

一秒につき0.5秒くらい遅れる。激しい動きをすればするほど視界は置き去りを食らうことになるわけだ。

だから、勘しかない。次のノレルの動きを予測し、捌く!

攻撃はこいつには向かない。隙がでかすぎるからだ。

「反応速度は私と同じくらいですわね。素晴らしいですわ」

ああ、自分でもこの発想は流石にすごいと思う。

血管に流れるのは血だけじゃない。俺の能力は血だけじゃない。

二つに共通するのは、影だ。影と言うのはすなわち光が当たっていない部分、体の中には当然光が当たらないから影だらけだ。そして影の速度は、そんなものは誰も気にしないが、光とイコールなんだ。いや、正確に言えば光より速い。影は物質でも情報でもなく、現象だからだ。

つまり、俺は血管を伝達網に、影を伝達物に使っているのだ。

かなり無茶してるがな。

ノレルと対等に戦うにはここまでの無茶をしなきゃいけないらしい。無茶ってか無理なんだが。体がミシミシ軋んでる。

「りゃっ!」

ハンティングナイフを使った攻撃はすべて風と水に阻まれ、逆にノレルは炎を駆使してきやがった。

!っと、あぶねえ。一瞬意識がとびかけた。

血液に負荷をかけてるせいで酸素供給が上手くいっていない。貧血と酸欠は両方とも脳に酸素がいってない状態を指している。

俺の能力は血と影。この併用こそが今の状態を維持しているわけだが、正直死ねる。視界が遅れる上に酸欠だ。長くは持たせられない。

「ぐっ」

腹に一発、クリティカルをもらう。

が、いつかは当たると思っていた一発だ、吐きそうになりながらその腕をつかみ、同時に投げる。技術もなにもない力業だ。そして、

「やれ!マリー!」

床がぶち抜ける音がした。

オレがノレルを投げた先の壁に奇妙な生き物がいる。例えるならと言って例えられない。それでも無理に例えるなら二足歩行に進化した猫科の肉食獣。それにしたところで飽くまでも形がそうだと言うだけで、腕はどちらかと言えば熊とかゴリラみたいな腕力重視の形をしているし、二足歩行といったところで全体的に前屈みだ。猫背と言う意味なら猫科か。

言うまでもなく、こいつはマリーだ。マリエーン・シナバーの奥の手、完全獣化。それにデーモンの「力」の能力が混ざってこんな意味のわからん姿になってるわけだ。

「っらぁあーーっ!!」

明らかに声帯の形も変わっているのにそれでもマリーの声が聞こえるのは不思議だ。

マリーが使ったのはただのパンチ。こちらも何の技術も使っていない、全力で全体重をかけた一撃。

壁を蹴って放たれた一撃は正確無比にノレルをとらえる。今のノレルならこれくらいの攻撃ならかわせただろう。だが俺が投げ飛ばしているためそこは空中。見えたところでかわせはしない。

轟音、いや、爆音が響く。マリーの一撃はノレルの壁を風も、雷も、水も、火も、すべてを貫き完全に本体をとらえる。殴った衝撃波で回りの物は吹き飛び、勿論ノレル本人もぶっ飛ばされる。

店の壁に激突。しかしそれでは終わらず、その壁をぶち抜いて隣の店の外壁にぶつかる、それでも止まらずその壁すら砕いて店内に侵入、机や椅子を巻き込んでさらに反対側の壁まで叩き壊し、その次の店の外壁にぶつかり盛大にひびを入れたところで停止した。

・・・死んだんじゃないか?あれは。

とりあえずノレルとマリーが共同で作ったトンネルを通り、ノレルを追いかける。

・・・驚いたな、生きてる。っていうか意識がある。

が、見るからに四肢はあり得ない方向に向いているし、吐血の具合から内臓もいくつかイってるだろう。これはさっさと病院だな。

「お、おどろき、ました、わ」

ゲホゲホと咳き込みながらノレルがしゃべる。

「あんま無理すんな。重要器官もいくつかやってそうだし。つーか俺からすれば、あんたが生きてることが驚きだぜ」

あの悪魔ですらまともに受けようとしない一撃だぜ。体がある以上どんな防御も無駄にする攻撃だ。避ける以外には無効化する方法がないが、かなりのスピードだから避けるのだって割りと難しい。

「そ、それ、は、私が、ゲホ、魔力で、身体能、力をゲホゲホ、強化(ブースト)している、から、ですわ」

「ああ、なるほどね。だが、それはこっちも似たようなもんだ。マリーが、だが」

奴は人型でも動物の身体能力だからな。

「わた、くしの、敗けですわね、こんかい、は、あき、らめますわ」

「そうしてくれ、救急車は呼んどくから。それから、あんたの負けってのは微妙なラインだ」

振り向くと三つの穴の向こうでマリーが倒れている。

「あんたは言いふらすようなタイプじゃ無さそうだから教えとくと、マリーはこれに全力を使うからな、体力も妖力も。だから絶対に力尽きるんだ、文字通りにな。個人戦で見るなら引き分けだ」

避けられたら終わりの諸刃の剣なんだよな。だからあんまり使いたくねえ、切り札の一枚だ。

「そう、で、」

そこでノレルも力尽き気を失った。

やれやれと携帯電話を取り出すともののみごとにぶっ壊れていた。はぁ、さらば四代目よ。支給品なんだが、また文句言われるぜ。

「イヴ、・・・は無理だな。リリン、わりいけど、救急車呼んでやってくれ」

「いいですけれど、我々が呼ぶ必要も無さそうですわね」

リリンがそう言う。確かに、こんだけ派手に暴れれば誰かが警察あたりに電話してるだろ。微かにサイレンの音も聞こえるし。

「やれやれ、これで終わりかな」

だといいんだが、とりあえず、一件は落着したようだ。

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