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違和感と温度(3)
シャワーから戻ると、
蓮さんが電話をしていた。
「……今日は戻れない。
明日でいい」
低く、冷静で、命令のような声。
テーブルに置かれたスマホが目に入る。
『社長、確認お願いします』
……社長?
視線に気づいたのか、
蓮さんはすぐに画面を伏せた。
「仕事です」
「……会社、やってるんですか?」
少し迷ってから聞く。
「ええ。
小さいですけど」
違和感が胸に溜まる。
この人、何者なんだろう。
「……私、帰ったほうがいいですよね」
そう言うと、
蓮さんははっきり首を振った。
「行くところ、あるんですか」
答えない私を見て、
声を落とした。
「今日は、ここにいてください」
その目は、優しいのに、逃げられない。
「無理に何か話さなくていい」
胸の奥がざわつく。
――まだ信じきれない。
でも、少しずつ、
この人の存在に気持ちが揺れ始めていた。
本人も気づかないうちに。




