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違和感と温度(1)
「……本当に、少しだけです」
蓮さんはそう言って、
私にハンカチを差し出した。
「風邪ひきますから」
その言葉が、
まるで前から私を知っているみたいで。
「ありがとうございます……」
通されたのは、駅近の高層マンション。
エントランスに足を踏み入れ、
思わず立ち止まる。
「……ここ、ですよね?」
「はい」
さらっと答える彼。
普通の人が住むような場所じゃないところに住んでる。
エレベータの鏡に映る自分は、
濡れた髪、すっぴん、小太りの場違いな女。
「……私、やっぱり――」
「大丈夫ですから」
振り向くと、
蓮さんは私を見下ろし、
少し眉を下げていた。
「今、無理しないでください」
どうして。。
どうしてこの人は、
そんな言い方をするのかな?
玄関についた。
高そうな表札に 松田 蓮 という名前が彫られていた。
松田蓮さん…?
なぜか懐かしいようなそうじゃないような?
ふわふわした気持ちになった




