表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35歳、年下御曹司に本気で溺愛されていました  作者: 真夜中さん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/28

後悔


蓮は再び管理人の前に戻ってきた。

そして、話を深く聞いてみた。


管理人は、少し言いづらそうに視線を泳がせた。

「……さっきの話ですよね」


蓮の背筋が、ぴんと張る。


「よく一緒にいる方、ですよね。

 マンションの少し離れたところで」


「……一人で?」


問いは短い。


管理人は、首を横に振った。


「いえ。

 男性と一緒でした」


胸の奥が、沈む。


「知り合いみたいでしたけど……

 ちょっと、強引でしたね」


——強引。


その一言で、

頭の中の可能性が、一気に削ぎ落とされる。


「腕を掴まれてました。

 でも、大声を出す感じじゃなくて」


蓮は、何も言えなくなった。


叫ばなかった理由が、いくつも浮かぶ。


怖かった。

驚いた。


周囲に迷惑をかけたくなかった。


——そして何より。


“自分で何とかしようとした”。


「車、覚えてますか」


管理人は首を振る。


「すみません……

 あっという間で」


それでいい、と蓮は思った。

もう、十分だ。


「ありがとうございました」


深く頭を下げ、踵を返す。


エントランスを出た瞬間、

夜の空気が肺に刺さった。


——もう、ここにはいない。


それだけが、はっきりしている。


蓮は、スマホを取り出す。


画面に表示される、未読のままの名前。


光莉。


親指が、一瞬だけ止まる。


出ないと、分かっている。


それでも、押した。


呼び出し音。


無音。



「……光莉」



名前を呼んだ声は、

自分でも驚くほど、低かった。


蓮は通話を切り、別の番号を選ぶ。



「俺だ」


一言で、通じる相手。


「今すぐ動いてほしい。

 女性が一人、連れ去られてる」


迷いはない。


「元彼の可能性が高い。

 感情じゃない。 執着だ」


少しの沈黙。


「場所は、まだ分からない」


——でも。


蓮は、目を閉じる。


光莉の性格。


圭介の歪み。


“連れ去ったあと、どうするか”。


答えは、一つしか浮かばなかった。


「……隠れる気はないはずだ」


電話を切り、夜道を歩き出す。


守るって言った。


一人にさせないって、決めた。


それなのに。


「……待ってろ」


誰にも聞こえない声で、そう言った。


——これは、

探す時間との勝負じゃない。


壊される前に、辿り着けるか。


それだけだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ