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35歳、年下御曹司に本気で溺愛されていました  作者: 真夜中さん


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視線の向こう側(蓮)



蓮は、

仕事用のノートパソコンを閉じたあとも、

すぐに立ち上がらなかった。


違和感は、

数日前からあった。


宅配業者。


管理人。


郵便受け。


——説明がつかないほど、

“視線の数”が多い。


(……調べられている)


確信に近い感覚。


エントランスの防犯ログ。


監視カメラの死角。


偶然にしては、

揃いすぎている。


蓮は、

スマホを操作し、

いくつかの履歴を確認した。


——外部調査会社の足跡。


個人調査。


所在確認。


名義は、

ダミー。


だが、

やり口が古い。


(……素人じゃない)


けれど、

プロでもない。


——感情で動いている人間。


視線を上げると、

キッチンの方で、

光莉が静かにカップを持っている。


少しだけ、

落ち着かない様子。


(……気づいてるか)


いや。

“感じている”だけだ。


それ以上は、

まだ分かっていない。


それでいい。


——今は。


蓮は、

スマホを伏せた。


対処は、できる。


証拠も、集められる。


だが。


光莉には、

まだ言わない。


不安を、

増やす必要はない。


(……元彼か)


答えは、

ほぼ出ている。


だが、

名前を確定させるのは、

もう少し後だ。


蓮は立ち上がり、

カーテンを少しだけ引いた。


外は、

何も変わらない夜。


——今のところは。


「……大丈夫ですよ」


独り言のように、

そう呟く。


それが、

誰に向けた言葉なのかは、

自分でも分からなかった。


ただ一つ。


——こちらは、


もう“気づいている”。


そして。


次に動くのは、

圭介ではない。


そう確信しながら、

蓮は静かに、

灯りを落とした。






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