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35歳、年下御曹司に本気で溺愛されていました  作者: 真夜中さん


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13/17

元彼と再会


数日後の夕方。


光莉は重いバッグを抱え、

元彼・圭介の部屋の前に立っていた。


(……なんで私、

 こんなことしてるんだろう)


鍵を差し込み、扉を開ける。


部屋の中は、相変わらず整頓されていない。


靴や服が散らかっていて、

圭介らしい雑さを感じる。



「……圭介、私の荷物を取りに来ました」


声を震わせながら告げると、

気だるそうに奥から圭介が出てくる。


髪を乱して、少し笑いながら、でも目は冷たい。


「お、来たんだ。まあ、当然だろ。

 俺の邪魔になってるし」


その言い方に、胸がぎゅっとなる。


でも光莉は、目を逸らさずに荷物を見渡す。


「……できれば、

 今日全部持って行きたいです」


圭介は腕を組んで、挑発するように笑った。


「お前、まだそうやって小さくなってるのか。

 35で、体も仕事もダメで……。

 正直、昔から変わらねえな」


言葉の鋭さに、光莉の手が震える。


そのとき、スマホが震えた。


——画面を見ると、蓮からのメッセージ。


『そっちに向かう。荷物の件、俺が同席する』


胸の奥が、少し熱くなる。


「……蓮さん?」


その瞬間、圭介が気づき、声を荒げた。


「なに!? なんでお前の男が関係してんだよ!」


光莉は一歩下がり、圧倒される。


でも、すぐに蓮が玄関から現れた。


スーツは少し乱れているが、

表情は冷静そのもの。


もしかして、

仕事終えて急いできてくれたのかな。


そんな蓮さんの姿に、申し訳なく思う光莉。


「光莉さんの荷物を持ち出すのに、

 文句がありますか?」


その声に、圭介は一瞬固まる。


でもすぐに、いつもの傲慢な笑みを浮かべた。


「お前、誰だよ……」


蓮はゆっくり、しかしはっきりと答えた。


「俺は、光莉さんを守る人です」


その一言に、部屋の空気が変わる。


圭介の表情が微妙に揺れる。


光莉はその背中に、安心感と小さな誇らしさを感じる。


「……持って行く荷物はまとめました」


光莉は荷物を整理し、持って出ようとしたら

すかさず、蓮が持ってくれた。


圭介は言葉を失い、無言で見守るしかなかった。


光莉は心の中で、静かに呟く。


(……もう、あの人に振り回されなくていいんだ)


荷物をまとめ終わった瞬間、

蓮は光莉の肩に軽く触れた。



圧をかけるわけでも、過保護でもない。



ただ、「安心していい」とだけ伝える距離感。



光莉は少し顔を上げ、笑った。



涙が少し混じっているのに気づく。



「ありがとう、蓮さん」


蓮は軽く頷くと、


圭介を一瞥した。


「……これで終わりです」


圭介は何も言えず、

ただ荷物が持ち出されるのを見つめるしかなかった。


外に出ると、

夕日が少しだけ街を赤く染めていた。


光莉の心も、少しずつ色づき始める。



(……私は、守られていいんだ)



雨上がりの空を見上げながら、

光莉は初めて、

自分の人生を取り戻す一歩を踏み出した。



そして、すぐ隣にいる蓮の存在が、

彼女の背中をそっと押す。


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