14-4 男と男の約束(4) 無邪気なふれ合い
晴れた日の昼下がり。
森の奥の泉は、光を受けてきらきらと輝き、風がそよそよと吹き抜ける。
「わあ……きれい!」
ユリウスは靴を脱ぐと、ぴょんと飛び込む。
水しぶきをあげながら、楽しそうに笑う。
「……ちょ、こら! 飛び散るだろ!」
レオンハルトは思わず目を細めた。
ユリウスの無邪気さに胸がキュッと締め付けられる。
(……なんだこの可愛さ……)
思わず目をそらす。
恥ずかしさを隠すため、レオンハルトはちょっと意地悪に笑いながら、水をユリウスにかけた。
「ひゃっ、な、なにするの!」
「だって、わざとオレにひっかけたんだろ? 水しぶき。オレの気を引こうとしているのバレバレだぞ」
ユリウスは顔を真っ赤にして水を払いながら、怒りと照れで言葉を詰まらせる。
「も、もう……意地悪……!」
レオンハルトはくすくす笑いながら、ユリウスの手首をつかんで引き寄せた。
「……んっ、ちょっと……離してよ!」
「いやだ、離せねぇ」
レオンハルトは真剣な目で見つめる。
少し強引に唇を重ねると、ユリウスは驚きつつも、もじもじと体を預けた。
「んっ……」
「……照れちゃって、かわいい」
恥ずかしさで顔を背けるユリウスに、レオンハルトは優しく額にキスをして、頭を撫でた。
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遊び疲れて、岸辺で重なるように寝転ぶ二人。
ユリウスは流れる雲を見つめて問いかけた。
「ねえ、レオン。聖者って知ってる?」
「……ああ、聞いたことはある。王のそばにいる人だろ?」
「うん。王さまといつも一緒にいて、守って、支えて……ずっと離れないんだって。そういうの、いいなあって思うんだ」
小さな吐息と、ほんのり涙ぐんだ顔。
レオンハルトは、ユリウスの孤独を察した。
(……やっぱりユリウスのやつ、寂しいんだな……)
「……ぼくにもいつか……なんてね」
ユリウスは、照れ隠しににっこりと笑った。
レオンハルトは、ユリウスの頭をポンポンと撫でる。
「……そうか、いつか聖者と出会えるといいな」
「うん」
二人は優しく微笑み合う。
レオンハルトは、胸の奥がじんと熱くなり、またユリウスを抱きしめたくてたまらなくなっていた。




