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12-5 もしかして嫉妬したのか(5) 聖者の約束

その後もいくつもの村を救い、王国に大きな恩を残したセイラは、再び旅立つ日を迎えた。


「いやです! セイラ様、行かないでください!」


ユリウスは子どものように泣きじゃくり、彼女に抱きついた。

セイラはその耳元でそっとささやく。


「……あなたたちの結婚式には、必ずまた来ますよ」

「……!」


ユリウスの顔が一瞬で真っ赤になる。


「し、知っていたのですか!? わ、私とレオンのこと……!」

「ええ、とっくにね」


優しく微笑むセイラ。

その余裕に、ユリウスは涙をぬぐいながらも笑顔を見せた。


「はい……セイラ様!」


一方でレオンハルトは、ぶっきらぼうに手を振る。


「じゃあな、ババア」


だが胸の奥では――ありがとう、と静かに呟いていた。

セイラはそんな彼の心を感じ取り、振り返らずに歩み去る。


残された二人は、バルコニーに上がり一行が見えなくなるまで見送った。

自然と手をつないだ。


「……二人になったな」


ユリウスが微笑む。


「……ったく、とんだ来客だったぜ」


文句を言いながらも、レオンハルトはユリウスの腰に手を回す。

そのままキスをされそうになってストップをかけた。


「……なぁ、もしかして嫉妬してたのか? セイラ様に私を取られたと思って」

「なっ……! うるせぇ!」


赤面する恋人をからかい、ユリウスはくすくすと笑う。

そのままじゃれ合うように抱き合い、キスを交わす二人。


「そういえばさ、レオンの小さい頃の話、セイラ様に聞いたぜ」

「なっ……あのクソババア!」


顔を真っ赤にしてユリウスを長椅子に押し倒す。


「ぜんぶ忘れろ! 今すぐにだ!」

「えぇ? どうしようかなぁ」


甘い口づけの中で、笑いと愛情に包まれた二人。


ーー放浪の聖者との出会いは、彼らの絆をさらに強く深く結びつけたのであった。

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