表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/69

09-4 ずっと俺の隣にいろ(4) 身も心も満たされて

夕日が落ちた。

王の私室では、ユリウスはテラスに立ち、レオンハルトの背中を見つめていた。

彼は手すりにもたれかかり、何事もなかったかのように夜空を眺めている。


「……お前は、やっぱり強いな」


ユリウスの声は静かだった。


「私の護衛という枠を超えて、まるで……」

「まるで?」


「……英雄のようだ」


その言葉に、レオンハルトは肩をすくめた。


「英雄なんざ、くだらねぇ肩書きだ。俺はただ、お前を守ってるだけだ」

「……そうやって簡単に言う」


ユリウスは少し笑った。


「暗殺者が現れた時……本当に恐ろしかった。もしお前がやられていたらって思うと……心臓が潰れそうで」


その正直な吐露に、レオンハルトは振り返った。

そして、ゆっくりと彼の前に歩み寄る。


「……子猫ちゃん」


大きな手が、ユリウスの肩に触れた。


「……同じだな」

「え?」


「俺が恐ろしいのはお前を失うこと。だから、絶対にそうならないよう、俺はお前を守り抜く。そのためにも簡単にくたばらねぇよ」


その言葉は甘く、力強く、ユリウスの胸を満たしていった。


「……信じていいのか?」

「当たり前だろ。信じてもらわねぇと困る」


****


ユリウスは寝台に横たわり、レオンハルトの大きな手に包まれていた。


「……お前、まだ震えてるぞ」

「仕方ないだろ……」


「なら、もっと俺に甘えろ。全部忘れさせてやる」


その言葉に、ユリウスは小さく頷き、素直にレオンハルトに抱きついた。


(この人が隣にいてくれるなら……どんな闇も恐れないでいられる。すべてを幸せに変えて……)


そうして彼はレオンハルトの体温を体の芯で感じながら、身も心も幸せの渦に落ちていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ