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二見達也②

 帰社すると、事務所の電気は消されており、鍵がかかっていた。

 鍵を開ける。警報音が鳴り出す。どうやら直前に帰宅した社員は警備をかけて出たらしい。ということは湯村は自分の尻拭いを俺に依頼したことを会社の人間には伝えていないわけだ。いつものことだが。

 俺は警備キーを取り出し、出入り口横に設置されている警備の盤へ差込み、警備を解除する。警報音が鳴り止む。自分のデスクに向かい、パソコンを起動。カメラを取り出しパソコンへ接続して画像を取り込ませる。

 建物設備点検報告書と工事写真帳、加えて最後の異常復旧作業の写真帳の作成に取り掛かる。

 時刻は19:00。事務処理終了まで30分弱といったところか。

最後の異常復旧作業は、上手くいった。作業が上手くいったというよりは、住民を上手く誤魔かせたと云う方が正しいが。

 やはり断線だった。キッチンのガス警報器とインターホンを繋ぐ線がどこかで切れているらしく、その異常を感知してインターホンが断線異常を出していた。  

 本来ならば線の引き直しだがその場で出来る作業ではない上、管理会社が余分な工事を許すはずがないので、誤魔化した。

 インターホン側の操作でガス警報器との断線を感知しないよう設定したのだ。ネジを外してインターホンの盤を開け、そこに結線されていたガス警報器の線を抜いてテーピングし、続いて盤右下にあるディップスイッチ(つまみのスイッチ)を手持ちのボールペンで上から下に倒し、線が抜かれていることを検知しないようにして帰った。

 するとどうなるか。ガス警報器とインターホンが繋がれておらず、またインターホンで繋がれていないことを感知することも出来なくなったため、ガス警報器とインターホンの線が断線していても異常を感知しなくなった。

 そして、ガス警報器とインターホンが繋がれていないということは。本来ならばキッチンのガス警報器がガスを感知して鳴動した場合、同時にインターホンも警報音を発するのだが、それが出来なくなったこととなる。

 インターホンの機能を一つ殺しているわけだから、大問題である。もし露呈したらどうなるか分からない。幸い、住民はクレーマー気質ではあったもののインターホンの知識は乏しいらしく、まったく気付かず適当な俺の説明で納得してくれたが。

 端的に言えば嘘吐きで大げさに言えば犯罪だろう。

 ただ俺の正直な感想を言うと、別にこれでいいと思う。ガス警報器は単体で大音量を流してくれるから例えインターホンと連動していなくてもまさか部屋にいる住民が異常に気付かないわけはない。またガス警報器とインターホンが連動していなくてはならない法令はないはずだから。

 しかしそれらを住民に説明しないのは。

 いけないことだとは分かっているけれど。

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