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NOSIRP  作者: まるっち
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残りのピース

重さは約5㎏、量にして約1ℓ…

この比重の重い純エーテルを前にルッツとセシルは顔を見合わせた

「…これをどう使うかだな」

「クッソ重いしwこれ使徒にぶっ掛けるの難易度高すぎwww」

あれから、バイロンとアルバートの協力で、これだけの量の純エーテルを手に入れる事に成功した2人だが

これを有効的に使う手立ては思いついていなかった

(…デリックに頼んで武器に加工してもらうか…?)

しかし、加工してもらった武器ではマルクスは殺せなかった

デリックの使っている武器の“エーテル弾”は高い効果が望めそうだが

あの武器を自分達が正しく扱えるかと言われるとNOだろう

(…デリックが一緒に戦ってくれたら…)

そう一瞬考えてすぐにその考えは止めた

使徒を殺す、この計画に一般人を巻き込むのは間違いだと思ったからである


マルクスは魔族であり、彼なりの使徒を殺す理由を持ち

ルッツもまた、夢の実現の為には使徒が邪魔だった

セシル自身、個人的な恨みがあるわけでは無いが、使徒が“魔族”だというのなら

殺さない理由もなかった


一先ず、バイロンの隠れ家から

2人は抽出した純エーテルをノーシルプまで持ち帰ってきた

「あ!セシルさん!」

共有スペースにリゼットが居て、入ってきた2人を見てセシルの方へ手を振った

「そういえば久しぶりじゃんw」

「私はずっと変わらずに生活しているわ

あなたの時間が合わなかっただけよ」

そう言われてみれば、ここ最近はずっと忙しく金策と自分磨き

そしてエーテル集めとあまりゆっくりとこの場所に居なかったとルッツは笑う

「それにしても、少し見ない間に

随分と強くなったのね」

「そっちもなんか雰囲気変わった?w」

もっと幼い印象だったリゼットは

少し見ない間に大人っぽくなった気もする

「髪を切ったからかも」

言われてみれば、白いロングヘアはミディアムヘアに短くなっている

セシルはそんな風に雑談を始めた2人を通り過ぎ、ソファにドカッと座ると煙草に火を付けた

そんな彼を見たリゼットはその隣に座る

「セシルさん、何か危ないことしようとしてないかしら?」

「…生きるって事が危険と常に隣り合わせだろ」

「屁理屈ね」

そうじゃないわよと彼女はクスクスと笑う

「セシルさんは、自分を大切にしていないでしょう?

死に場所を探しているようにも見えるわ

私はあなたが好きだから、そんな風に投げやりになっているのを見るのが辛いの」

ハッキリと好きだと伝えた彼女に

セシルはチラッと一瞬だけ視線を向けた

「…実験台としてか?」

「いいえ、異性として好きよ」

イタズラっぽい笑顔で少女が笑う

セシルは煙草の煙を目一杯肺に満たすと、次の瞬間にそんなリゼットの顔に吹きかけた

「…ガキには興味ねぇな」

「あら、残念ね

もう少し大きくなったらまた挑戦するわ」

セシルは煙草を灰皿に揉み消すと立ち上がり、ルッツを見た

「…おい、例のブツはお前から届けといてくれ

どうせ兵舎で会うんだろ?」

「まあねw」


ルッツは数日ぶりにクリスタルレイへ赴いた

一応、適当な理由をつけて休みは貰っていたので問題はないはずだが

他の兵士からは、逃げたのだと思ったと揶揄われた

まあ、そういうノリなんだとルッツは特に気にした様子もなく

兵舎の執務室にいた騎士団長に挨拶をしてから

ルッツは庭でいつもと変わらず1人淡々と鍛錬に打ち込むマルクスの元へと足を運んだ

「よ、今いい?」

ルッツに声を掛けられた彼は、彼の方へ向き直った

「要件は」

「これ例のブツ、おっさんが兄ちゃんに渡しとけっていうから持ってきたw」

中身は貴重品なので、マジックバックごとマルクスへ差し出す

用事はそれだけなので、じゃ…とその場を去ろうとすると止められた

「夜に一度私の部屋に来ていただけますか

相談があります」

「何?エロい誘い?www」

「いいえ」

つまんねwと笑いながらもルッツはそれを承諾し彼から離れた

自分も久しぶりに鍛錬しなきゃななんて

訓練用のカカシを借りに行こうとしたところで、エドリック王と出会した

いや、エドリック王が待っていた

「今日来ると聞いて待っていたぞ

こんな所では何だ、中庭の鍛錬場へ行くぞ」

「ちょwそれ抜き打ちテスト的な?www」


断る理由の無いルッツはホイホイ着いて行き

…王にボロクソに負けた

「身のこなしはだいぶマシになったが

まだまだ足らんな」

「酷ぇwもっと優しくしてよw」

「強くなりたいのだろう?優しくしていたら強くなんかなれんぞ」

地面に仰向けに転がったルッツを見下ろす王はニヤッと笑う

「ねぇ〜王様、もう一戦しね?」

「結果は変わらんぞ」

「分からないぜ?場所はベッドの上で

お互い武器は身体一つ…どう?」

人1人のベッドルームとは思えないような広い部屋に

キングサイズの豪華な天蓋つきベッドが鎮座している

そんな最上級のベッドの上でうつ伏せに倒れたルッツは、ハァハァと肩で呼吸をしていた

「この戦いも俺の勝ちだな!」

一糸纏わない王がそんなしたり顔で笑いながら、サイドテーブルの水差しから

コップに二つ分水を注いだ

「あー…クソwww本当無理www」

悪態を吐く彼に王は飲めと水を差し出してきたので、ベッドのヘリに座り水を飲んだ

「本当、強いよな王様はさ

何もかも規格外で羨ましいや」

「初めから全て持っていた訳じゃないぞ

俺だってそれなりに努力をしてる」

王はそう言いながら隣に座ってきた

「…王様は前に自分よりも強い奴は沢山いるって言ってたじゃん、例えば誰なの」

「ソイツに頼んで俺を負かそうってか?」

「違うしwちょっと気になっただけだしw」


王は少しの沈黙の後

ベッドの上にそのまま倒れて言った

「先ず魔王だな、奴らとんでもないぞ

目の前に居るだけで命を取られそうなそんな連中だ」

「マジ?そんなのを倒そうってみんな騒いでるわけ?劇ヤバwww」

「後は…使徒だな」

王は暗い表情をした

彼が愛した女が使徒に殺された記憶は新しく、まだ傷は完全に癒えてはいないのだろう

あんなに愛していたのに

その彼女を奪った相手に文句の一つも言えなかった自分を情けないと思いながらも

あの時のウラノフェンの空気を震わせるほどの静かな殺気は、今も思い出すだけで震えがくるのだ

「…もしかして、使徒を恨んでる?」

「ばっバカを言うな!!」

王はルッツの言葉に、飛び起きて辺りを警戒した

「…恨むってより恐い感じか」

「分かったから!もうその話はするな!」

口を手で塞がれ、もががと変な声を上げたルッツを王は逃れられないように抱き締めた

そして、そのまま耳元で小さく言う

「彼らには敵わない、目を付けられるような発言はよすんだ

俺でも助けてやることは出来ないんだぞ」

そっと手を口から外されルッツは解放された

「…もう、兵舎に戻れ」


ベッドルームを出てルッツは1人廊下を進む

鍛錬場やベッドの上で、自分こそが生物最強とでも言わんばかりの強いオスであった

エドリック王が、“使徒”の話題で

まるで去勢された猫のように大人しくなってしまった

「マジであのクソ重液体で勝てんのか?www」

ルッツは勝利を確実にする為に

更なる仲間や武器の必要性を感じたのだった

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