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NOSIRP  作者: まるっち
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故郷へ

行ける範囲が一気に拡大したルッツは、今まで取りにいけなかった範囲での錬金素材集めに拍車が掛かり、僅か2週間のうちに幾つかの魔結石を集めることに成功した

それらを全てノーシルプに捧げ

遂に彼は悲願の故郷、ノロイーストのウルベテルの村だった場所に辿り着くことが出来た


“だった”というのはそこが既に村では無くなっていたからである

「…うわ…ひでぇな…」

最近のニゲラか、はたまたそれより前のニゲラかは分からないが

殆どの建物が倒壊し、村は廃村へと変わり果てていた


ルッツは誰もいないだろうと思いながらも

比較的状態のいい建物に入ってみた

人間の生活の痕跡がそのまま残されている様子から、ここの住民は引っ越した訳ではないのだろうと理解する

何かお金になる物があるかもと2階に上がり

部屋を手当たり次第に調べていく

「…んーまあ、村だしなぁ」

多少のアクセサリーの類いは見つけられたが、あまり高価な物では無さそうだ

最後の部屋の扉を開いた時、その異臭に思わず鼻をつまむ


「久しぶりでビックリしたぜw」

彼には親しみのある臭い

それは、誰もが忌避する人間の腐った臭いだ

この家の人間だろう5人の遺体が、身を寄せ合ってそこにあった

それらは少し干からびたようになっていて

そのせいで臭いがあまり外に漏れていなかった様だ

「…あー、これは魔力あたりかなー」

ぱっと見た感じでは大きな外傷はなく

その代わり、大きな血溜まりの乾いた跡が床に幾つもあった

おそらく、彼らは急激な魔素中毒に吐血し苦しみながら亡くなったのだろう

そんな亡骸を尻目にルッツはその部屋の家探しもしっかり終えて外に出た


そして向かったのは、本命の老ゾンビがいる朽ちた小屋

旅立ったあの日の記憶よりも、墓場は朽ちて荒れていたが

彼の住む小屋は、当時のままそこに建っていた

久しぶりに会える最愛の人の驚く顔を想像しながら

ルッツは意気揚々と小屋の扉に手を触れようとして見えない何かに弾かれた


「えっ…何…?は?何これ」

老ゾンビの小屋は、ルッツがエルカトルに旅立った後

使徒、アルバートによって封印されていた

それを知らないルッツは何が起こっているのか分からず戸惑う

とにかく、思いつく限りの事をしようと

彼はその場にあるもので手当たり次第に扉を攻撃したが意味は無かった


「クソッ…!」

イラつきながら手に持っていた、錆びたシャベルを地面に叩き付けた

その次の瞬間、ボロっと小屋の壁付近の土が崩れたと思ったら

小屋から1メートル範囲の地面に、シンクホールが開き

そこに立っていたルッツはなす術もなく、ぽっかりと口を開いた穴に飲み込まれてしまった

「ーっててて…」

気が付けばルッツは暗い地面の底で仰向けに倒れていた

幸いなのは、落ちた場所がそれ程深くなかったことと下の土が柔らかかったこと

おかげで大きな怪我はしていなかった

それでも登るには高い穴なのは間違いない

「3mくらいか?こう垂直な穴だと

手を引っ掛ける場所もないしな…」

何か使えそうな物は無いかと見回すと、自分が居るのは

大きな穴の壁際の張り出した段差だと気付いた

更にこの下に穴が続いているようで

ルッツはそっと段差の下を覗き込む


「てか、これダンジョンじゃね?」

エルカトルの地下墓地で、相当数のダンジョンに潜った甲斐あってか

ルッツはその穴の底が異空間であることにすぐに気が付いた

そして、この墓地にも地下がありそこがやはりダンジョンであった事を彼は思いだす

「これってあのダンジョンの一部か?

だとしたら、ダンジョン経由で地下墓地の出入り口から出られるじゃんw」

そう考えた彼は滑り降りるようにして、穴を更に下に降りていった


「あれ?こんな所だったっけ?」

穴の一番下まで、何とか滑り降りたルッツは

見覚えのない白い滑らかな壁に疑問を抱く

だが、ダンジョンは同じダンジョンであっても

階層が変わると別世界なんてことは何度も体験したのも確かである

「…俺の知ってる場所より深いのかな」

だとすると今度は敵の強さが気になるところだ


あれからまた少しレベルが上がったとはいえ

まだ彼のレベルは23と低い方

武器のナイフを抜き、ルッツは慎重に進み始め

最初に出会ったのは巨大なウジの魔物だった

「うっわ、キモッ!」

流石にこの魔物相手にやられる様な事はない

中型犬くらいの大きなウジを蹴飛ばし、ダメージを与え

最後はナイフで突き刺し退治した

巨大ウジはダンジョンの奥からどんどん出てくる


「このダンジョンのボスって巨大ハエか?w」

迫り来るウジをドンドン倒し

いつしか部屋の片隅には積み上げられた巨ウジの山が出来上がる

その頃には、奥の部屋から出てくるウジは殆ど居なくなった

やっと進めるとルッツはダンジョンを進む


「このダンジョン虫多くない?www」

奥へ進むほど、虫を中心にした魔物が向かってくるのだ

しかし、お陰でルッツ1人でも全然対応が出来ている

…途中までは

奥へ進む程に魔物のレベルは上がっていく

虫系の魔物は徐々に減り始め、現れる魔物がオオネズミ等に変わっていく

そうなると少しずつルッツもダメージを受ける様になってきて

大ネズミのゾンビが出てきた辺りで限界を感じたルッツは引き返す事を余儀なくされた


降りて来た場所まで引き返したルッツは上を見上げる

縦に開いた大きな穴は上まで20mはあるだろうか、登り返すのはまず無理だろう

そしてあることに気がつく

「てか、ジジイの小屋宙に浮いてるんですけどwww」

ぽっかりと開いたシンクホールの真上に

朽ちて崩れそうな小屋だけがポツンと浮いた状態で建っている異様な光景があった

その地面だった場所は無くなってしまっていて

下側は僅かに残った腐った床板があるだけのがらんどうである


どう考えても、僅かに残ったその狭い床板スペースに老ゾンビが居るとは考えにくく

普通に考えるなら、老ゾンビもこの穴のダンジョン内にいることになる

はたまた、小屋は既に居らず

出掛けているうちに崩落が起こったのか…

とにかく、老ゾンビは小屋の中には居そうに無かった


「でもあいつがここを離れるとは思えないし」

ずっと前に老ゾンビにこんな今にも壊れそうな小屋ではなく

もっと森の中の小屋や廃村に移動しないかと提案した事があったが

「俺はここに留まらなきゃならない理由がある

ここに不満を感じるなら出て行けばいいよ

あんたはいい加減、村に移り住む方がいい」

なんて断られた事があった

人間の居ない場所なら何処でもいい訳ではなく

彼はここに居なきゃいけないと聞かなかったのだ

「…やっぱ、このダンジョンの何処かに居るのかな」


どう攻略したものかと、悩んでいた時

急に目の前の景色が変わった

そこは紛れもないノーシルプの自室

「…あっ…な…のか…」

ルッツはペナルティーとして生命力を奪われその場に倒れた

あのダンジョンを攻略するにはどうすればいいか、そんな事を考えながら

彼の意思は遠のいていった…

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