こっくりさん
シーン1
大学の教室・昼
授業が終わり、それぞれが帰宅していく中、琴音、梨花、当麻が三人で座っている。琴音と梨花の前に当麻が座っている。
梨花「やっと授業終わったー!」
梨花が軽く伸びる
梨花「今日の授業わかった?ちゃんと日本語話してる?って感じなんだけど。」
琴音「確かに難しかったけど梨花は寝てただけじゃん。」
梨花が机に突っ伏してあくびをする
梨花「だってー、あの人の授業何話してるかわからないから眠くなるし。」
琴音「一応言っとくけど見せないからね。この前見せたので終わり。」
梨花「そこを何とか!」
梨花が琴音に対して手を合わせる。それを無視して琴音が片づけ始める。梨花が当麻のほうを見るも当麻も無視する
当麻が自分の荷物を片付けて時計を見て振り返り
当麻「あ、じゃあ俺これからバイトだから帰るわ。」
梨花「当麻も帰る?私も帰ろ~。」
三人が席を立つ
シーン2
学校の帰り道
琴音と当麻が話しながら歩いている。梨花は携帯を見ながら話している
梨花「ねーねーまた行方不明者だって。今年でもう五人目だっけ?最近多いよね。しかもこの近く。」
琴音「ここまで続くと怖いよね。早く解決してほしいけど。」
当麻「コックリさんかもね。」
琴音「え?」
当麻「コックリさんだよ。知らないの?最近また流行ってるんだよね。」
琴音「いや、まぁ知ってはいるけど…。」
梨花が笑う。
梨花「当麻そんなこと信じてるの?子供じゃないんだからさ。」
当麻「信じてはないよ?でも前、仙道先輩がコックリさんやるって言ってて。それ以来連絡取れてないんだよ。」
梨花「え~?じゃあ明日試してみる?」
琴音「やだよ。怖いし。何かあったらいやだし。」
当麻「そうそう。素人がそういう事するのって危ないってよく聞くし。」
梨花「聞くって誰から。」
当麻「…(誰から聞いたかを思い出そうとしている)。」
梨花「そういうのネットのデマだって。絶対何にも起きないから!」
梨花が琴音の肩を組む
梨花「琴音はどう?する?」
すぐに琴音は梨花の腕をどけ、離れる
琴音「私もやらないからね!怖いの苦手だもん!」
梨花「えー?(不服そうな顔)皆行かないの?じゃあ私一人でやる!」
当麻「待って、一人は危ない。梨花が一人でやるなら俺もやる。」
梨花がにやにやする
梨花「どうする?琴音。」
琴音「(諦めの顔)わかったよ!心配だから私もついていく!」
梨花「やった!じゃあ決まり!また場所はラインで言うね!」
当麻「うん、じゃあまた明日ね。」
梨花「バイバイ!」
三人がそれぞれの帰路につく
シーン3
C棟空き教室
教室全景。三人しかいない教室。机の上には五十音と「はい」と「いいえ」の文字が書かれた紙が置かれていた。
琴音「ほんとにここで大丈夫なの?人来ない?」
梨花「大丈夫!この時間ここ人来ないんだよね。私の最近のお気に入りの場所なんだ~。」
梨花が五円玉を紙に書かれた鳥居の上に置く。
梨花「じゃ、早速始める?」
当麻が鞄の中から何かを取り出す
当麻「ちょっと待って。皆手だして。」
琴音と梨花が少し困惑する
琴音「何それ?」
当麻「白檀!神様が好きな匂いなんだって!」
当麻が二人の手を取り、香水をつける。琴音と梨花が匂いを嗅ぐ。
梨花「え!意外といい匂い!」
当麻「よし!これで準備OK!」
当麻が二人の顔を見て頷く。それを見た二人も頷いた。
当麻「じゃあさっきも言った通りに。途中でやめたり指を離さない事。これだけは絶対守ってね。」
琴音が頷く。
琴音の震えている手を梨花が握る。
梨花「大丈夫。こんなもの嘘に決まってるし、何も起こらないから。」
当麻「じゃあ、やろう。」
三人が白い紙の上に置かれた硬貨に指を置く
琴音、梨花、当麻「コックリさんコックリさんおいでください。もしおいでくださったなら「はい」に進んでください。」
三人が口を揃えていうと三人の指を乗せた硬貨が「はい」に進んだ。
当麻「コックリさんコックリさん行方不明者の原因はあなたですか?」
琴音「…(つばを飲む)。」
硬貨が「はい」の所に進む
当麻が二人の顔を見た。そして二人も顔を見合わせる
梨花「いなくなった人はどこに行ったんですか。」
三人の指を乗せた硬貨は「わたしのもと」と進んだ
琴音「お願いです。いなくなった人を返してください」
琴音がそう言うと硬貨が「いいえ」と返ってきた
琴音の呼吸が次第に荒くなっていく。梨花と当麻が声をかけても恐怖で答える事が出来ない。
琴音「もう…限界だよ…。」
当麻「絶対離しちゃだめだよ!」
琴音「じゃあもう終わりにしようよ!」
梨花「当麻!!!」
当麻「待って!!!」
当麻がコインの行方を目で追う
硬貨は「気に入った」と進む
硬貨が進み切る前に琴音が教室から逃げる
梨花「琴音!」
二人が琴音を追いかける。梨花が琴音が置いて行った 荷物を持ちながら追いかける。当麻もその後に続く。
机に紙と硬貨が置かれている
シーン4
学校の敷地内
琴音が一人で早歩きで歩いている。
梨花「琴音!」
梨花の声が聞こえた。琴音が安心したように後ろを振り向く
琴音「梨花!よかった!」
琴音が後ろを振り向くと梨花の姿がなかった
琴音が梨花の声がしたであろう所へ駆け寄る
琴音「梨花?」
当麻「琴音!」
当麻が琴音を見つけて駆け寄る
当麻「大丈夫?」
琴音「私は特に…。さっき梨花の声が聞こえたはずなんだけど…。」
当麻「俺もさっき梨花見かけて話かけようとしたんだけどさ、そこの角曲がったら梨花がいなくて…。」
琴音「え…。」
当麻「…もしかして梨花はもう連れ去られちゃったのかもしれない。」
琴音「どうしよ。私のせいかも。私が昨日コックリさん途中でやめちゃったから。」
暗点。鈴の音が小さく鳴る。
琴音「え…?」
当麻「どうしたの?」
暗点。小さかった鈴の音がどんどん近づいて大きくなっている
琴音「鈴の音聞こえない…?」
当麻「いや、何も聞こえないけど…。」
さらに大きくなる鈴の音。琴音が座り込む
当麻「琴音!?大丈夫!?」
琴音「鈴の音が聞こえてくるの!なんで聞こえ…。」
琴音が振り返ると当麻の姿はそこにはなかった。
鈴の音が近づいて大きくなっていく。琴音が逃げ出す。後ろを確認するために振り向く。その後ひと際大きな鈴の音が鳴り響いたとき琴音が消えていた。