閉話1 桜井守の思いとミミ達の作戦
毎日18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。
僕は桜井守。いまミズホ国で見習い兵として訓練を受けつつ、生産施設で働いている。
正直大変だけど、夢だった戦闘機の搭乗員として訓練を受けられてすごくうれしい。
僕は菊池家の次男として生まれた。菊池家はヤマト開拓時からの家でヤマト国内ではかなりの古い歴史を持っている。
僕が7歳の時、婚約者ができた。それが桜井家の良子と幸江姉妹だった。
その時良子は22歳、幸江は20歳で軍に勤めていた。
最初は優しいお姉さんができたと思っていた。
実際、遊んでくれたし、おもちゃを買ってくれたりした。
いろいろなことを教えてくれたし、すごくなついていたと思う。
それが変わったのは、12歳の時だった。
その日は桜井家に遊びに行って、そのまま泊まったときだった。いつものように一緒に寝ていたら、突然ふたりが襲ってきた。
「だいぶ育ったからもういいよね」「そうだな、そろそろ収穫時だな。守かわいがってやるぞ」目を血ばらせながら僕の服を引きはがした。
それからは地獄だった。
休みのたびに無理やり呼び出され、一方的にむさぼられた。少しでも抵抗すると叩かれた。服を脱がされ、首輪をされておもちゃにされた。
そして15歳の基礎学校終了と同時に、桜井家に婿入りさせられた。
部屋に閉じ込められ、ペットとして扱われた。
結婚してしばらくたった時、基礎学校の同窓会があった。
二人は行かせるのを嫌がったが、他の家の手前、しぶしぶ外に出してくれた。
実はこれは基礎学校のクラスメイト全員で仕組んだことだった。
基礎学校は名家の男子のみ集められて教育を受けていた。なぜなら全員婚約者がいるため、他に虫がつくのを婚約者たちが嫌がったためだ。
そこでは、婚約者からひどい扱いを受けるクラスメイト達が多くおり、なんとかこの状況から逃げたしたいとみな思っていた。
それで、みんなで話し合い、逃亡する計画を立てた。宇宙船を調達するもの、操縦免許を手に入れるもの、物資の調達など、手分けして行った。
そして、同窓会を卒業して3か月後に行うよう手配をして別れた。
そして同窓会当日、我々は逃亡した。クラスメイト30名のうち、10名づつの班に分かれて逃亡する予定だったが、5人が逃亡するのをやめた。5人は配偶者から思ったより優しく扱われており、危険を冒してまで逃げなくてもいいかと思ったとのことだ。ただ、僕らが逃げることは秘密にしてくれた。
なので、のこり25人で逃げだした。
僕らは3班に分かれ散り散りになって逃げた。僕らのグループ10名は一路クリス連邦に向かった。外国に逃げてしまえば大丈夫だと思ったからだ。
ところが国境近くのコロニーで宙族につかまり、危うく奴隷として売られそうなところを九頭の兄貴に救われ、現在に至るわけだ。
で、隣に居るのはミミ、ブラウンの髪で、目の色が青い白人系の女の子だ。12歳とは思えないぐらいスタイルもいい。
助かった10人はこのピトケアンについて、すぐに小屋をもらい、教育兼世話係の子が付いた。
僕についたのがミミだ。本当の名前はZJP45233だそうだ。彼女たちは人工子宮から兵士となるために生まれたそうだ。
名前が付けられるのは将校になってからとのことだが、呼びにくいので勝手につけた。兄貴、いや九頭大尉に確認したが喜んでオーケーを出してくれた。
ミミも名前がもらえて喜んでいた。
ミミは生活一般についていろいろ教えてくれた。
恥ずかしいことだが、僕は今まで自分の身の回りのことを自分でやったことがなかった。
操縦訓練はユウ教官とユア教官に教わっている。
非常に厳しいが、とても丁寧に教えてくれる。
たまにだが、兄貴も操縦を教えてくれる。
厳しいけれどとても実戦的だ。
「ミミ、ご飯だって。一緒に行こう」
「はい、守さん今行きます」
ミミはとっても可愛い。鈴の鳴るような声で、まるで人形のようだ。
いままで、女と言えば、恐ろしい存在だったが、彼女のおかげで苦手意識が減っていくようだ。
僕らは食事をいっしょに取る。当然仕事やらで時間が合わないこともあるが、大部分の人がここに集まる。
「よう、守」同期の齋藤徹だ。一緒に逃げてきた仲間だ。背は高くがっちりとした体で、顔はややこわもてだが性格は穏やかな奴だ。
「こんにちは守さん」こちらはオクさん。徹のペアになっている子だ。本名はZJP45709なのでオクさんと名付けたそうだ。赤毛でたれ目気味の茶色の大きな目をした丸顔のかわいい子だ。この子も人工子宮で生まれたそうだ。
「みんなご飯配るよ~」アイさんがいつもの間延びした声で言っている。アイさんは兄貴の奥さんの一人で、事実上の正妻だ。口調はゆっくりしているが、かなりしっかりした人で、僕らの見るところ兄貴はアイさんの尻にひかれている。
席は自由なので、僕は齋藤と一緒に食べることにした。
「なあ、ミミちゃんとはうまくいっているのか?」
「ああ、齋藤はオクさんとはどうなんだ」
「実はそのことで相談がある」真剣な声で齋藤は言った。
「俺、オクと結婚しようと思っている」
「えっでもおまえヤマトで結婚していたよな」
「あれを結婚というのか?単なるペット、いやおもちゃにされていただけだろ」こいつはたしか政府や研究機関に勤めている3人姉妹と結婚していたはずだ。
「毎日毎日ただ搾り取られる日々だ。特に一番年上の椿姉は研究者だったからいろいろな実験に使われたよ。思い出すだけでも恐怖が甦ってくる」齋藤は体を震わせていった。
「そうだな。俺たちはみなひどい扱いに嫌気がさして逃げ出してきたのだものな」
「俺はここにきて初めて愛を知った。オクやその仲間たちは俺たちに優しくしてくれる。それにオクとは深い仲になったしな」
「おまえ手を出したのか?まだ子供だぞ!」
「オクたちはクリス軍の元兵士だぞ。精神的には俺たちより大人だ。それに、クリス人はヤマト人に比べて発育がいいしな」
「そうはいってもな…」
「そういうお前はどうなんだ。ミミちゃんと一緒になりたくないのか?」
「なりたい…」
「ほかの連中に話をして、みんなで兄貴に掛け合ってみよう。兄貴は頭ごなしにダメだとは言わないだろ」
「それに俺たちの訓練課程はもうすぐ終わる。そうしたら俺たちは正式にミズホ軍人だ。それにここで結婚してしまえばもうヤマトに帰されることもないだろう。もうここでオクと一緒に過ごして、子供をたくさん作ってここで死ぬんだ。ご先祖様がヤマトでそうだったように、俺たちはこのミズホの最初の開拓者になるのだ。」齋藤は熱く語った。
「なあ、ミミ」「なんです守さん」ミミが言った。
「あ~突然でびっくりするかもしれないけど、おれと結婚してくれないか?」俺は緊張で顔を真っ赤にしながら言った。
「はい!」ミミは元気よく答えた。
「ええっと、ほんといいのかい?」
「はい、よろしくお願いします。あっ、でも…」
「何か問題があるの?」
「一つお願いがあるのですが…」
「なに、俺にできることなら何でもするよ」
「私の班10人のメンバーのうち、守さんと結婚を希望する子も一緒にもらってほしいのです。私たちは一緒に育ち、一緒に戦場へ行く仲間として育成されてきました。なので、私一人だけ幸せになるわけにはいかないのです。みんなと一緒じゃだめですか?」
ミミの班の仲間とはよく知った仲だ。
一緒に働いたり、ミミが忙しいときには代わりに来てくれたりしていてとっても仲良くしていた。
「ミミがそういうならば結婚するけど、一番好きなのはミミだよ」照れながら答えた。
「うれしいです。私も守さんが好きです」
満面の笑顔で抱きついてきた。
その夜、僕らはとっても仲良くなった。
ZJP45233(ミミ)達の大作戦
私はクリス軍兵士候補生として人工子宮で生まれた。物心が付いたときには基礎教育と軍事訓練の日々だった。
娯楽は一切与えられず、ただ戦う道具として育成された。特に喜びも楽しみもなく、人間的な感情を発現することも少ない、兵士として訓練が進められた。
イム帝国の戦闘は激しくなっており、私たちより先に製造された個体は次々に前線に配備されていった。
配備される年齢もどんどん早くなっており、私たちは12歳で配備されることになった。
配備される直前の最終訓練で我々は流星雨に巻き込まれサルガッソーに入り込んでしまった。
基本サルガッソーに入り込んで生きて帰ってきたものはいない。皆諦めて、自決命令を待った。
ここで奇跡が起きた。助けが来たのだ。
驚いたことにこのサルガッソーの中に国があり、そこの船が助けに来たのだ。
我々は助けられた後、艦長の決定によりこのサルガッソーの国、ミズホに住むこととなった。
この国は私たちに楽しいこと、嬉しいことを教えてくれた。
音楽を聴いたし、ホロムービーも見た。収穫された生の野菜を食べた。お菓子を食べた。すべて初めてのことだ。
あと、九頭総司令と艦長の結婚式にも参加した。
艦長がとってもきれいだった。
そのあと、二人が仲良くするところを仲間が覗いて怒られた。
でもその仲間はホロムービーで撮っていて、みんなでこっそり見た。
すごい衝撃だった。と同時にある欲望が私たちに沸いてきた。
私たちは兵士となるために生まれてきた存在で、異性と交流したことは一度もない。そして、通常であれば、われわれが結婚できるチャンスはほぼ100パーセントない。
私たちの国では最近は崩れてきて一夫多妻が普通になってきたが、原則宗教上の理由で一夫一婦制であるため、妻の数も最大で2~3人というところだった。更に我々人工子宮生まれは「人工」と言われ物として扱われる道具のようなもので、結婚の可能性はないし、兵士の5年後生存率は1パーセントぐらいしかない。
それがこの国に来て、同じ人工宮出身の艦長が結婚できた。私たちももしかしたらと期待しても不思議はない。みんなの総司令を見る目が変わった。
ある時、ヤマトの男の子が救出された。聞くところによると何人か男の子がいるらしい。
救出作戦に私たちはこぞって参加した。
救出後、艦長から「10人いたから班ごとに1名面倒見てね」と言われた。さらに注意として、無理やり関係を持つのはダメだと言われた。彼らはヤマトでひどい扱いをうけ逃げてきたとのこと。無理やり迫れば逃げ出すかもしれないとのことだった。
班長達による会議が行われた。私たちの班は桜井守を分担することとなった。
艦長や総司令の奥様方に相談して、作戦を練った。
とりあえず、各ターゲットに1名ずつ世話係として付き、警戒を解くことを優先した。
他の班とも情報を共有し、攻略状況を確認することとした。
桜井守は班長の私が付くこととなった。
なるべく感じよく、おとなしい感じを出しながら生活や仕事をサポートしていった。
他の班員も機会をみて桜井守と触れ合う機会を作り違和感を減らしていった。
そのうち一緒に寝るようになった。でも手を出してこなかった。
こっちは準備万端で待っているのに、と不満が沸き上がった。
性的欲求がないのかと思ったが、私が寝たふりをしていると背中を向いてごそごそしていることがあった。思わず、こっちから誘ってみようかと思った。
でもがまんがまん、無理なことをすれば彼はここから逃げだしてしまうかもしれない。
スキンシップは多めにしていた。その方が喜ぶと聞いていたからだ。可能な限り引っ付いた。その際、男が喜びそうなところをわざと当てたりした。
そのうち、私が寝たふりしているといろいろ触ってくるようになった。
班長会で情報共有したところ、ZJP45709から対象者と関係を持ったことを報告された。
艦長のアドバイスのもと、これを突破口に一気に作戦を進めることとなった。
そしてついに桜井守の攻略に成功した。私を突破口に他の班も次々攻略することができた。我々の作戦は完全成功を収めた。
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