36(world code : lily)
「…る。…ギル!」
「はっ!あ、あれ?ここは?」
ギルは道路のど真ん中に立っていた。目の前にゼロが居る事に驚いて離れる。
「うわぁ!ゼロさん!?」
「そこまで驚く必要もないのではなくて?」
ゼロは呆れたように首を振る。
「あの子達は見つかりましたの?」
「あっ、とっ?あそうだ!見つけた!見つけたんスよ!」
ギルは腕を振りながら説明する。学園に入って行くかゆを見かけ、追いかけようとしたけど男子禁制らしく門前払いされた為、何も出来ず立ち往生していたという。ゼロは話を聞いて頷く。
「そういう事なら準備が必要ですわね。行きますわよ。」
「行くって、どこにッス?」
「私達の拠点にですわ。」
ゼロに連れられて歩き出す。学園の前を通り抜け、細い路地裏を通る。路地裏を抜けた先には古ぼけたアパートがあった。アパートの前にはおばあさんがいて、竹箒で掃除しているようだった。
「あらワイズちゃん。その子がお友達?」
「えぇ、いいかしら?」
「大丈夫よ。どうせこんな所のアパートに住む物好きなんていないんだから。」
「ちゃんと人数分は払いますわ。これからもっと増えるかもしれないけれどその分増やしますから対応して下さる?」
「お安い御用よ。好きに使ってね。」
このおばあちゃんがこのアパートの大家さんらしい。ギルは軽く挨拶してゼロと共に部屋に入る。床に座り、ゼロはインベントリから荷物を取り出し始める。
「一体どうやって部屋を借りれたんスか?」
「ちょっと手助けしてお願いしただけですわ。」
「おおう。早すぎるッス。あとワイズっていうのは?」
「私の偽名ですわ。世界によっては自分の名前が鎖になることもある。その為に他の世界では基本ワイズと名乗っていますの。もし気付いたら気を使ってくれるとありがたいですわ。」
「へぇ~。了解ッス!」
ギルはそのように会話していると、ふとゼロの取り出している物に気付く。
「それは、化粧品ッスか?」
「えぇ。他にもありますわよ。ほら、これとか。」
そう言ってゼロが取り出したのは緑色のウィッグだった。ギルは数秒ぽかんとしてから凄い勢いで立ち上がる。
「ま、まさか。」
「男子禁制なら、男子に見えなければいい。違わなくて?」
「いやいやいや!だめッスよ!すぐにばれるッス!」
「その為の準備ですわ。3日で物にしますわよ!」
「ひえ~ッス!」
そして色々な特訓や修行をみっちりと行った3日後、アパートの前に二人の少女が立っていた。
「ほ、本当に大丈夫ですかね?どこもおかしくないですかね?」
「私のお墨付きですわよ?自信を持ちなさいな。」
「うぅ~皆を助ける為、とは言えやっぱり恥ずかしい事この上ないです。」
(素養はバッチリなのですわよね~。)
こうしてギルはかゆ達を探し、見つけ、連れ戻す為に、性別を偽って学園へと潜入する事になった。今日は初の登校日。ゼロが転入手続きをしており、そのうちの期間の間特訓していたのだ。
(緊張が凄いッス~!!)
学園内廊下、教師に連れられ歩くギル。誰かにバレているのではと気が気でないギルはきょろきょろと周りを見る。廊下に生徒の姿は無く、おそらく朝のHR中だろうと思われる。
「ここです。心の準備は大丈夫ですか?」
「大丈夫…です。」
教師の手によって扉が開かれ、教師と共に中に入る。緊張の中、ちらりと席を見ると窓際の席にとても見覚えのある姿が目に入った。最奥の席にかゆが爆睡しており、最前にはれいが本を読みこんでいる。表紙はどう見ても料理関係の本であった。
(いるー!普通に過ごしてるー!)
ギルは内心の驚きは表情に出さずに教師に促されて自己紹介をする。
「初めまして。ギルリアと申します。これからよろしくお願いします。」




