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学園への帰り道、かゆ、れい、アルフア、オメガは長い上り坂を登っていた。ちなみにアルフアは寝てしまった為オメガが背負っている。


「いや~にしても面白かったね~。」

「こちらは真剣だった。」


かゆが言った一言に内心腹が立つのかオメガの声は少し怒気が含まれている。かゆは頭にたんこぶができているが気にする事無く歩いている。


「オメガ君のあの力は君達の世界では普通なの?」

「分からない。だが俺達の居た場所は姉貴の話では俺達のような奴を作る為の施設だったと聞いた。」

「オメガ君やアルフアさんみたいなって事?」

「そう。」


オメガは背中ですやすやと寝息を立てているアルフアをちらりと見る。


「俺は作られたばかりだからあまりよく知らない。だが姉貴は少なくとも一年はいたらしい。」

「酷い施設だったんですか?」

「いや。比較対象は無いが酷くは無かったと思う。だがどうしても外に出る事が許されなかった。俺は姉貴を連れて外に出る為に施設の脱走を行った。その結果ここに来た。」

「…大変だったのかは分かりませんけど、それほどアルフアさんが大事なんですね。」

「…姉貴は俺の光だから。」


そう言ったオメガの表情は相も変わらず無表情だったが、その頬は心なしか赤く染まって見えた。背中のアルフアも幸せそうな顔で眠り続けていた。


学園に到着すると入り口でギルとゼロが待機していた。ギルがかゆ達に気付き大きく手を振ってくる。かゆも手を振り返し、みんなで部室へと帰った。部室へと戻るとかゆとオメガが戦闘した事についての説教をゼロにされ、れいは料理を作り始め、アルフアはソファーですやすや眠る中、暇なギルはうろうろしている所をれいに呼ばれて料理の手伝いをし始める。以後、オメガもまぁまぁ話すようになり、数日経過すれば部活メンバーの仲は良くなっていた。


皆仲良くなってからまた数日たったころ、ゼロから招集がかかり、普段通りみんなで集まっていた。ゼロからこれからについてはまだ話をされていなかった為、各々予測を含めた話をする。


「また別世界に行くのかな?」

「どうだろう?でも正直その必要が無くない?」


かゆとれいがそう話しているとゼロの部屋の扉が開く。そこにはいつも通りのゼロの姿があったが雰囲気が少し違った。いつもの謎を纏わせているかのようなミステリアスな雰囲気では無く、怒られた子供のような弱弱しい雰囲気。普段閉じられている目が少し開かれ、暗みがかったゴールドの瞳が皆を見渡していた。そんなゼロに驚きを隠せない中、ゼロから名前が呼ばれた。


「かゆ、れい、少し前に来てもらってもいいかしら。」


呼ばれた二人は顔を見合わせてからゼロの前に移動した。困惑したままの二人をゼロはゆっくりと抱きしめた。


「ぜ、ゼロさん?」

「ゼロ?」


突然の事にゼロの名前を呼んだ二人だったが、少しするとゼロの体が酷く震えている事に気が付いた。二人はまたも顔を見合わせてゼロが離れるまでそのまま動かなかった。


「ごめんなさい。」


しばらくするとゼロは感謝をし、二人から離れて皆に背を向けて話をし始める。いつの間にか雰囲気は元のミステリアスな雰囲気に戻っていた。かゆ達はゼロに何かあったのかは問わなかった。聞いても答えてくれるとは思えなかったから。


「あなた達にはこれから強くなって頂きますわ。その経験を得る為に別世界に行きますわ。私達が行く世界はどこも何か問題を孕んだ世界。それをあなた達に解消して欲しいんですの。普段は私が一人で行っているのだけれど、まぁ、一石二鳥という物ですわね。」


ゼロは振り返り、皆の顔を見渡す。


「準備は問題ありませんわね?これから向かうのはワールドコード『フォレスト』。世界樹のそびえたつ森の中に存在する都に向かいますわ。」

「先生!注意事項はありますか?」

「そうですわね。都の住人はエルフと言って他種族を警戒する傾向がありますわ。気長に接する必要がありますわね。それじゃあさっそく行きましょうか。」


そう言ってゼロは杖を持ち、杖で地面を叩くと部室の床に魔法陣が展開される。突然床が光り始めた為皆立ち上がり、床を見る。その瞬間その場全員の姿が部室から消えた。


目を開けるといつの間にか大きな魔法陣の上で周りは星空のような神秘的な光景が広がっていた。魔法陣自体が移動しているようで星々は物凄い速度で流れていく。


「ゼロ。これは?」

「この魔法陣は世界を越える為のもの。そして周りに見えているのは全て私達の世界の近くに存在する別の世界ですわ。」

「こ、これ全部ッスか?」

「綺麗ですね~。」

「そしてここは世界の狭間。私達の世界はあれですわね。面白い形をしているでしょう?」


ゼロが指さした先、細い糸の様な物が様々な方向に延びている。その在り方は見る人が見れば血管の様だと比喩するかもしれない。それが多くの世界の近くに張り巡らされている。


「私達の世界はあのようにありとあらゆる世界の近くに存在している。実際かなり特殊なあり方らしくてね、それでついた名称が『狭間』。ワールドコード『スペース』とも称されていますわね。だから私達の世界には色んな人が良く迷い込みますわ。ここ最近は少し理由があって少なくなっているけれどね。」


ゼロの顔が少し険しくなったがすぐに元に戻る。かゆが手をあげて質問をする。


「少し話がずれるかもしれないんだけど、この前はポータルで移動したよね?なんで今回はこの移動方法なの?」

「あぁ、その事ですの。単純な話ですわ。あれはこの人数通るにはちょっと不安がありますのよ。実はあれは私が昔あの世界に行ったとき作ったポータルの一つでね、ポータルは使えば使う程摩耗していくの。」

「どういう事?」

「最悪なたとえだけれど、摩耗しきったポータルを使用すると高確率でこの世界の狭間に放り出されますわ。そしてどこかの世界に降り立つまで漂う事になりますわね。」

「ひえぇ。」

「だから変に魔法陣から頭を出したりしない様に。」


頭を出そうとしていたかゆとギルは即座に頭をひっこめる。


「あまり時間はかからないから大人しくしていなさいな。」


ゼロがそう伝えた瞬間、魔法陣が大きく揺れ始めた。


「うわぁ!何事ッスか!?」

「これは…まさか!?」


ゼロが視線を向けた先には数多の世界のうちの一つがある。


「…コードリリィ。」(随分早いですわね。)


「「きゃあぁぁぁ!!」」


揺れに耐えきれず、れいとアルフアが体勢を崩して魔法陣から放り出された。


「れいちゃん!!」

「姉貴!!」


二人を追いかけてかゆとオメガも魔法陣を飛び出して行く。ギルもかゆを追って飛び出そうとするがゼロに腕を掴まれその機会を失った。


「何で止めたんスか!」

「あなたまで飛び出したら誰があの子達を助けるのかしら?言ったはずですわよ。あなた達には強くなってもらうと。これは、あなたへの試練と考えなさい。行きますわよ。」


魔法陣は四人が落ちて行ったであろう世界へと向かう。


「今回のは世界からの干渉。あの子達は皆あの世界に集められていますわ。あなたは皆を探して連れ帰るの。」

「………。」

「まずあなたはあの子達がいる所を探しなさい。私は拠点を構えてからあなたと合流しますわ。」

「分かったッス。」


魔法陣が消え、ギルとゼロも世界へと降りていく。世界に降り立つ瞬間、ギルの意識は無くなっていた。

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